子どもが年に数回、自分で弁当を作り学校に持っていく「弁当の日」が全国に広がっています。これは2001年、香川県の小学校校長だった竹下和夫さんが考案したもの。竹下さんはある時、食べ残しや「まずそうに食べる」子どもが多いことに驚きました。学校や塾で“まなびの時間”は増えているのに、生きるための基本、衣食住に関する“くらしの時間”は減っている。そこで、“くらしの時間“を取り戻して、自立できる環境を親・先生・地域で作ることを目指したのです。
「弁当の日」の弁当作りは、献立、買い出し、調理、弁当箱詰め、片づけ、全て子どもがやります。大人の手出しは禁止、出来具合を批評や評価してもいけません。第1回を行ってみると、興奮状態の子どもたちで教室は大騒ぎ。当初の不安は吹き飛んだそうです。
翌年、「弁当の日」は「地域に根ざした食育コンクール」で農林水産大臣賞を受賞。2012年には十数社の協賛企業が集まり応援プロジェクトが発足。現在では全国2千を超える学校で実践され、竹下さんは著書を出版し、ドキュメンタリー映画も制作されています。
竹下さんが「弁当の日」をきっかけに、こどもたちに描く夢は6つあります。「一家だんらんの食事が当たり前になる夢」「食べ物の命をイメージできるようになる夢」「子どもたちの感性が磨かれる夢」「人に喜ばれることを快く思うようになる夢」「感謝の気持ちで物事を受け止められるようになる夢」「世界をたしかな目で見つめるようになる夢」一方、大人は見守る大切さを知ることで、子どもの成長を通じて子育てが楽しいと思えるようにと願っています。
子どもの自立や感謝の気持ちの感じられることにも繋がる「弁当の日」。もっともっと全国に普及するといいですね。
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