
自動車事故は、事故相手への賠償金や運転者自身・同乗者への治療費などが高額になることもあるため、自動車保険でしっかりとリスクに備えることが大切です。しかし、自動車保険を選ぶ際には、どの補償が必要か迷ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、「自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)」と任意加入の自動車保険である「任意保険」の違いや、主な補償内容を紹介します。また、自動車保険の選び方のポイントについても解説していきます。
自動車保険は、自動車事故などによる損害を補償する保険
自動車保険は、自動車を運転中の事故などによって生じた損害を補償する保険です。法律により加入が義務付けられている「自賠責保険」と、任意加入の「任意保険」があります。
自賠責保険
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法(自賠法)によって、すべての自動車に加入することが義務付けられている強制保険です。交通事故の被害者救済を目的としており、加害者が被害者に支払う損害賠償金を補償します。
補償範囲は、相手のけが・死亡に限られ、自動車やガードレールなどの「物」に生じた損害は、補償の対象になりません。また、下記のように補償限度額が設定されています。
なお、自賠責保険の補償内容および保険料は、どの保険会社や代理店で加入しても共通です。一方、任意保険の場合、保険料は保険会社ごとに異なります。ただし、同じ保険会社の商品であれば、どの代理店を通じても保険料は変わりません(※)。
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※ 団体扱いや集団扱いの契約では、同じ商品でも割引が適用される場合があり、保険料が異なることがあります。
自賠責保険の補償限度額(被害者1人につき)
支払対象となる損害内容 | 限度額 |
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死亡による損害 | 3,000万円 |
後遺障害による損害 | 75万円〜4,000万円 |
けがによる損害 | 120万円 |
*「問1 自賠責保険は、どのような保険ですか。」(一般社団法人日本損害保険協会)
(https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q001.html)を参考にして作成
任意保険
任意保険は、対人賠償や対物賠償、人身傷害など、広範囲にわたるリスクをカバーする、運転者の判断で加入する自動車保険です。損害保険料率算出機構「2023年度 自動車保険の概況」によると、自家用普通乗用車のうち約8割が任意保険に加入しています。
一般的に「自動車保険」というと、任意保険を指すことが多いでしょう。
自賠責保険における補償対象は対人賠償のみであり、補償額には上限があります。そのため、事故内容や損害規模によっては、大きな自己負担が発生する可能性があります。
運転者が多様なリスクに備えるには、補償が充実している任意保険にも加入するのがおすすめです。
自動車保険(任意保険)の主な補償内容
続いては、自動車保険(任意保険)における主な補償内容を7つ解説します。自動車保険は、すべての補償が自動的に付帯されるわけではなく、補償内容によっては加入が任意となるものもあります。自賠責保険だけでは補償しきれない部分もあるため、必要に応じて任意保険の補償を検討することが大切です。
対人賠償保険
対人賠償保険とは、自動車で他人を死傷させ、損害賠償責任を負った場合に、自賠責保険では補償しきれない分をカバーする保険です。ほとんどの自動車保険では、基本的な補償とされています。
対人賠償の損害賠償金は高額になることもあるため、保険金額の上限は「無制限」にするのがおすすめです。
対物賠償保険
対物賠償保険とは、相手車両や建物、ガードレールなど、他人の「物」に損害を与えた際の損害賠償金をカバーする保険です。こちらも、対人賠償保険同様に、自動車保険では基本的な補償とされています。
対物賠償保険は、壊した車や建物の修理費だけでなく、店舗に損害を与えた場合に相手が営業を続けられないことによって生じた「営業損害」の賠償にも対応しています。営業損害は高額になるケースもあるので、保険金額の上限は「無制限」にするのがおすすめです。
SBI損保の対物賠償保険の詳細については、下記のページをご覧ください。
対物賠償保険人身傷害保険
人身傷害保険とは、契約自動車に乗車中の事故で、運転者や同乗者が死傷した際の治療費や休業損害、精神的損害などをカバーする保険です。
自動車保険における基本的な補償の1つであり、保険会社によっては、ほかの自動車に乗車中の事故や歩行中に自動車事故にあった際の治療費なども補償します。
たとえば、SBI損保の「自動車事故補償」では、ほかの自動車に乗車中の事故によるけがや、歩行中などにおける自動車事故によるけがも補償の対象となります。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは、契約自動車に乗車中の方が事故で死傷した場合に、あらかじめ設定した定額の保険金が支払われる保険です。
契約自動車に乗車中の方が補償対象となるのは人身傷害保険と同じですが、人身傷害保険は実際の損害額に応じて支払われるのに対し、搭乗者傷害保険は契約時に設定した定額の保険金が支払われる点が異なります。
搭乗者傷害保険は、治療途中でも保険金が支払われるので、よりスピーディーに補償を受けられるというメリットがあります。
自損傷害保険
自損傷害保険は、電柱、ガードレールとの衝突など、相手方のいない自損事故(単独事故)で、契約自動車の運転者や同乗者が死傷した場合の損害をカバーする保険です。損害の実費ではなく、契約時に設定した定額の保険金が支払われます。
さらに、自損事故以外のケースでも、事故の相手に過失がなく、相手の自賠責保険から補償を受けられない場合に利用可能です。たとえば、相手のいる事故でこちらの過失割合が100%の場合でも、自損傷害保険を活用することで保険金が支払われます。
このように、相手からの補償が期待できない状況でも、自損傷害保険がサポートしてくれます。
無保険車傷害保険
無保険車傷害保険は、自動車保険に加入していない車や加入している保険の補償が不十分な車との事故により、死亡または後遺障害を被った場合に、不足する分の金額を保険金として受け取れる保険です。ひき逃げなどで、相手が不明の場合も補償の対象となります。
なお、無保険車傷害保険が自動車保険の基本的な補償に組み込まれているかどうかは、保険会社によって異なります。
SBI損保の場合、自動車保険に無保険車傷害保険が自動的にセットされています。
車両保険
車両保険とは、契約自動車が事故や災害で損害を受けた際に、その修理費をカバーする保険のことで、盗難にあった場合も補償対象です。
自動車事故が発生した際、通常は相手の対物賠償保険から保険金が支払われるので、別途車両保険を追加する必要はないように思えます。しかし、車両単独事故のように相手がいないケースでは、修理費はすべて自己負担となります。
また、相手がいる事故でも自分に過失がある場合は、過失割合に応じた保険金しか支払われません。このようなとき、車両保険に入っていれば、単独事故や自身の過失割合分についても保険金が支払われるので安心です。
車両保険は、一般的にはカバーできる範囲が広い「一般型」と、範囲の狭い「エコノミー型」の2種類から選択できます。
名称は保険会社によって異なり、SBI損保の場合は「一般車両」と「車対車+限定A」です。
補償プランの違いについては、下記のページをご覧ください。
お車の補償(車両保険)自動車保険(任意保険)を選ぶ際の9つのポイント
保険会社は、さまざまな自動車保険(任意保険)を提供しているので、その中から自分に合ったものを選ぶことが大切です。自動車保険を選ぶ際に検討すべき、9つの項目をまとめました。
ポイント1
代理店型かダイレクト型かを選択する
自動車保険は大きく分けて、「代理店型」と「ダイレクト型」の2つのタイプがあります。
代理店型は、保険代理店を通じて加入手続きを行うタイプの保険です。担当者と対面で面談をしながら保険の内容を相談して決められるため、疑問点をその場で解消できるのがメリットです。一方で、代理店を維持するための人件費や事務費といったコストが代理店手数料として上乗せされるため、その分保険料が高くなる傾向があります。また、対面相談には時間がかかる点も特徴です。
ダイレクト型は、Webサイトや電話を通じて保険会社と直接契約するタイプの保険で、一般的には代理店手数料が発生しないため保険料が安くなる傾向があります。ダイレクト型の保険でも代理店を経由して契約する場合は、代理店手数料が発生します。しかし、この場合に手数料を負担するのは保険会社なので、契約者が負担することはありません。
また、基本的に自己判断で契約を進める必要があるため、相談やサポートが限られるケースもあるでしょう。しかし、多くのダイレクト型保険ではコールセンターやチャットサポートなどが用意されており、契約時の疑問を解消する手段も提供されています。
ポイント2
使用目的や運転頻度を考える
自動車保険は、加入の際に使用目的や運転状況を申告します。虚偽の申告をすると、いざというときに補償を受けられないことがあるので、正直に申告することが重要です。
使用目的は、「日常・レジャー使用」「通勤・通学使用」「業務使用」の3区分から選ぶのが一般的です。
日常と業務の両方で使う場合などは、主に使用する目的に合わせて選びましょう。たとえば、年間を通して月平均15日以上業務で自動車を利用する場合には、「業務使用」が適切な選択肢となります。
また、自動車保険は年間の走行距離が短いほど、保険料がお得になるしくみです。走行距離の確認方法は保険会社によって異なり、過去の年間走行距離を基準にする場合と、将来の予想年間走行距離を基準にする場合があります。SBI損保では、過去の年間走行距離を採用しています。
自動車保険の使用目的については、下記のページをご覧ください。
自動車保険の使用目的の選び方ポイント3
対人賠償・対物賠償保険の補償は無制限が基本
対人賠償と対物賠償は、事故内容によって、損害が高額になる場合があります。万が一の事故に備え、対人賠償保険と対物賠償保険の保険金額は、無制限を選んでおくのがおすすめです。
対人賠償は、ある程度までは自賠責保険で補償されますが、賠償金が保険の上限金額を超えることも珍しくありません。また、対物賠償は自賠責保険の補償対象外で、損害には営業損害が含まれることから、店舗の什器などを壊してしまうと多額の賠償金が発生する可能性があります。
対人賠償保険と対物賠償保険の保険金額を無制限にしても、一般的に保険料への影響はそれほど大きくありません。そのため、予期せぬ事故に備えて、対人賠償保険と対物賠償保険が無制限の自動車保険を選ぶのがいいでしょう。
対人賠償・対物賠償の保険金額については、下記のページをご覧ください。
「対人賠償保険」や「対物賠償保険」の保険金額は「無制限」にすべき?ポイント4
車両保険の必要性を見極める
自動車保険に車両保険を追加すると保険料が高くなるため、車両の市場価格や修理費用を考慮して、加入するか否かを判断するのがおすすめです。
一般的に次のケースでは、車両保険があったほうがいいといわれています。
<車両保険に加入したほうがいいケース>
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・新車などで車両の市場価格が高い
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・返済すべきローンがある
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・運転に自信がない
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・車の使用頻度が高い
一方、購入から年月が経ち車両の市場価格が下がっている場合や、貯蓄が十分にあり修理や買い替え費用を用意できる場合は、車両保険の必要性はそれほど高くありません。
ポイント5
特約を活用して補償をカスタマイズする
自動車保険は、対人賠償・対物賠償・人身傷害・搭乗者傷害などが基本的な補償になりますが、特約を追加することで、補償内容をカスタマイズできます。
たとえば、自動車保険に追加できる特約には、下記のようなものがあります。
<自動車保険に追加できる特約の例>
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・弁護士費用特約:もらい事故などで相手方と交渉するときにかかる訴訟費用などを補償してもらえる
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・個人賠償責任危険補償特約:日常生活の偶然の事故で損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われる
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・ファミリーバイク特約:原動機付自転車(原付)の使用中に他人をけがさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりした場合に補償を受けられる
ポイント6
ロードサービスの充実度を比較する
自動車保険には、走行中に事故やトラブルが起きた場合に救助を依頼できるロードサービスが付帯されている場合があります。ただし、ロードサービスが必ず付帯されるわけではなく、保険会社によって異なります。SBI損保ではロードサービスが付帯されていますが、別途オプションとして提供している保険会社もあるため、事前に確認が必要です。
また、年間に利用できる回数やレッカーサービスを利用した場合に無料で運んでくれる距離の上限のほか、対応してくれる地域や全国の拠点数などに違いがありますので、しっかり比較するようにしましょう。
ポイント7
補償される運転者の範囲を決める
自動車保険に加入する際、補償される運転者の範囲を選択します。基本的には、「本人限定」「本人と配偶者限定」「家族限定」「限定なし」の4パターンで、補償対象となる方が限られるほど、保険料の割引率は高くなります。
なお、別居している子どもの場合、その子どもが未婚であれば「家族」扱いになるのが一般的です。運転する方が決まっている場合は、運転者の範囲設定にも留意すると保険料を抑えることができます。
家族限定にした場合のメリットや注意点については、下記のページをご覧ください。
家族限定で自動車保険料を節約するポイント8
保険会社が実施している割引を確認する
自動車保険の中には、一定条件を満たした場合に保険料が割引されるものがあります。たとえば、ダイレクト型の自動車保険を提供している保険会社では、インターネット契約割引や証券不発行割引などが適用される場合があるのです。
これらの割引をうまく活用することで、新規加入や更新時における保険料の負担を軽減できるので、保険会社のWebサイトなどを確認してみましょう。
ポイント9
事故対応の評判やサポートを確認する
自動車事故が起きたときにどのように対応してくれるのかは、保険会社を選ぶうえで重要なポイントです。
保険会社の事故対応の品質や評判は、契約後の安心感に大きく影響するため、事前に情報を収集してから自動車保険を選ぶと安心できます。
自動車保険(任意保険)を選ぶ際の9つのポイント

自分に最適な自動車保険(任意保険)を比較して選ぼう
自動車事故のリスクに備えるため、「自賠責保険」と「任意保険」という2つの自動車保険があります。
強制保険である自賠責保険に対し、任意保険は自動車の所有者の判断で加入するもの。ただし、自動車にかかわるさまざまなリスクに対応するためには、任意保険への加入がおすすめです。
自動車保険は、運転目的や頻度に応じて必要な補償と特約を選び、保険料とのバランスを考えて決めることが大切といえるでしょう。保険料の安さや契約手続きの簡便さを重視する場合には、代理店型よりもダイレクト型が適しています。
特に、保険会社が実施している割引制度を活用すれば、保険料の負担軽減を図ることもできますので、各社の自動車保険を比較検討しながら、自分に合った保険を見つけてみてください。
SBI損保の自動車保険は、リーズナブルな保険料に加え、インターネットからの新規加入で証券不発行の場合、保険料が14,500円割引となります(※1)。また、基本的な補償に加えて、業界最高水準(※2)のロードサービスが無料付帯しています。保険料の無料見積りが可能ですので、まずはこちらからお見積りください。
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※1 ①インターネット割引(14,000円)②証券不発行割引(500円)を適用した割引額です。月払の場合は年間14,520円(①14,040円②480円)となります。
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※2 2023年2月SBI損保調べ。各社の無料ロードサービスの比較表はこちら。
執筆年月日:2024年12月12日