事故や故障で車が自力で動けなくなってしまった場合、レッカー車を手配して、修理工場まで運んでもらうことになります。ただ、レッカー車を利用する機会はあまり多くないだけに、どのように手配すればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、レッカー車の概要や必要になるシーン、手配方法などを解説します。また、レッカー車の手配にかかる費用や、レッカーサービスを利用する際の注意点なども併せて紹介します。
目次
自力走行ができない車を牽引して運ぶレッカー車
レッカー車とは、事故や故障で自力走行ができない車を牽引して運ぶ特殊車両です。クレーンやウインチなどの牽引装置を備えており、故障車の前輪または後輪を地面から持ち上げた状態で固定し、そのまま牽引して運んでいきます。
レッカー車には物を積む設備はなく、故障車のタイヤが回らない場合は、クレーンなどで車を持ち上げて積載車に載せて運ぶこともあります。
なお、レッカー車は、サイズや牽引できる車両、必要な免許で、下記のように分類可能です。
レッカー車の種類と主な用途
- ・小型レッカー車
小型レッカー車は通常、軽自動車や普通車の移動に使われます。小回りがきくので、幅の狭い道路でも対応できます。小型レッカー車の運転に必要なのは普通免許ですが、最大積載量が2t未満、かつ車両総重量が3.5t未満であることが条件となります。
- ・中型レッカー車
中型レッカー車は、小型トラック(積載量2t以内)や中型トラック(積載量4t以内)などの牽引に使われます。中型レッカー車の運転に必要なのは中型免許または準中型免許です。最大積載量が4.5t未満(車両総重量7.5t未満)であれば、準中型免許で運転できます。
- ・大型レッカー車
大型レッカー車は、大型トラック(積載量25t以内、通常20t)やバス、建設機械などを牽引する際に使われます。大型レッカー車の運転には、大型免許が必要です。
レッカー車が必要になるシーン
レッカー車が必要になるのは、故障や事故により、車が自力走行できなくなった場合です。具体的には、下記のようなケースが挙げられます。
パンクや故障などで動けなくなったとき
タイヤのパンクやスポーク(ホイールの中心と外側をつないでいる棒状の部分)の破損、パーツの故障などで、物理的に走行できなくなった場合、レッカー車の利用が必要になります。また、電気系統のトラブルなど、エンジンがかからない状態になったときもレッカー車を手配することがあります。
事故にあって走行不能になったとき
レッカー車は、事故にあって車が自力走行できなくなった場合にも使用されます。事故の衝撃でフレームが歪んだ状態や、タイヤが変形して正常に回転しない状態なども該当します。
保安上の問題があり、走行できないとき
自動車が走行自体はできるものの、そのまま走ると道路交通法第62条の「整備不良車両の運転の禁止」違反に該当するケースでも、レッカー移動が必要になります。
たとえば、「ウインカーが点滅しない」「ブレーキランプが消えない」「ライトがつかない」「フロントガラスに蜘蛛の巣状のヒビが入っている」などが該当します。
このような整備不良車両にあたる状態でもし走行すると、道路交通法違反で罰金を科される可能性があります。
被災車両を移動させるとき
水害や地震、土砂崩れなどで被災し、車を動かせない場合、レッカー車が使用されます。このケースでは、災害用レッカー車や工作車などが出動することもあります。
駐車違反の車を移動させるとき
道路交通法第51条にもとづき、警察は違法駐車の車両の運転者が現場におらず車の移動を命令できない場合は、違法駐車車両を移動させることができます。その際は、レッカー車が使われます。
なお、駐車違反によるレッカー移動は持ち主が行うものではありませんが、車の移動や保管にかかった費用は、車両の運転者や使用者の負担となります。
レッカー車の手配方法は?
一般のドライバーがレッカー車を使うのは、車が故障や事故によって走行不能になったときか、整備不良車両に該当するときが考えられます。こうしたケースでは、レッカーサービスを手配することになります。レッカーサービスとは、レッカー車で車を修理工場などの目的地まで運んでもらえるサービスのことです。
レッカーサービスを利用するには、自分で業者やサポートセンターなどに連絡してレッカー車を手配します。通常は、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)やJRS(日本ロードサービス株式会社)などのロードサービスか、加入する自動車保険に付帯するロードサービスのいずれかに依頼します。
JAFなどのロードサービスに依頼する
JAFやJRSは、24時間365日対応のロードサービスを提供しており、その一環としてレッカーサービスも行っています。Webサイト、アプリ、電話、FAXなどから依頼可能です。
ロードサービスはレッカーサービス以外に、バッテリー上がり、キー閉じこみ、燃料切れへの対応などがあります。どれも年会費を支払っている会員向けのサービスですが、料金を払えば、非会員でも利用可能です。
ただし、非会員の場合、JAFは「会員によるロードサービスの利用に支障を及ぼさない範囲」、JRSは「一部サービスを利用できない場合がある」などの制限もあります。
なお、JAFやJRSのロードサービスの対象となるのは、車両ではなく人(会員)なので、サービスを受けられる車に制限はありません。
たとえば、自家用車ではなく仕事用の車を運転中にトラブルがあり、レッカー移動が必要になった場合も、JAFやJRSに登録していれば会員としてサービスを利用できます。
保険会社のロードサービスに依頼する
任意の自動車保険には多くの場合、ロードサービスが自動付帯しています。自動車保険に加入していれば、この保険付帯のロードサービスの一環としてレッカーサービスを利用できます。
通常は、保険会社の専用ホットラインに電話をして依頼します。ロードサービスを利用しても、翌年度の等級が下がったり、保険料が上がったりすることはありません。
自動車保険は、契約自動車を対象とするものです。そのため、契約自動車以外を運転している際に起きたトラブルに関しては、特約で補償対象になっていない限り、自動車保険のロードサービスは利用できません。なお、対人賠償保険のみの自動車保険の場合には、任意で特約を付ける必要があったり、保険会社によってはロードサービスが自動付帯ではないケースもあったりするので、契約前には必ず付帯内容と条件を確認しておく必要があります。
ロードサービスの内容や費用については、下記のページをご覧ください。
トラブル時に便利なロードサービスにはどのくらい費用がかかる?レッカー車を利用するときにかかる費用
レッカー車を利用する際にかかる費用は、利用するロードサービスによって異なります。JAFなどへの加入の有無や、契約している保険会社の無料利用の範囲などによっても変わってくるので、事前のチェックが必要です。
JAFなどのロードサービスは会員・非会員で料金が異なる
JAFやJRSのロードサービスの場合、年会費を支払っている会員は、定められた上限距離以内の移動であれば無料、非会員は有料になります。年会費はJAFが4,000円(初年度は+入会金2,000円)、JRSが1,800円です。
会員は、移動距離がそれぞれ20km、15kmまでのレッカー移動なら無料ですが、この距離を超えると1kmごとに追加料金がかかります。
非会員の場合、レッカーサービスの利用料金は、JAFが27,700円からで、JRSが15,000円からとなっています。
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*年会費、利用料金ともに2024年9月24日時点のもの
保険会社のロードサービスは無料対応が充実し、アフターケアも安心
自動車保険に付帯するロードサービスは、保険会社が定める範囲内であれば無料で利用できます。通常は、移動距離の上限が設けられているため、それを超える場合には有料となります。
自動車保険によって受付時間や無料範囲、カバーしているエリアといったサービス内容は異なりますが、一般的に保険会社のロードサービスは、アフターケアも充実しているのが特徴です。
中には、レッカー業者での車の保管、レンタカー利用サービス、搭乗者宿泊費用補助、臨時宿泊費用補助などが含まれている自動車保険もあります。
SBI損保のロードサービスについては、下記のページをご覧ください。
SBI損保安心ロードサービスレッカーサービスを使う際の注意点
レッカーサービスを利用するにあたっては、注意しておきたい点があります。レッカーサービスで動かせるのは自分の車だけであることと、無料で利用できる場合でも移動距離の上限があることです。
事故相手の車はレッカー移動できない
レッカーサービスを利用して移動できるのは、依頼者自身の車だけです。これは、JAFやJRSなどのロードサービスも、任意保険の付帯サービスも同じです。
たとえば、事故相手の車が動かなくなってしまった場合に、相手の車を修理工場まで運ぶためにレッカー車を手配することはできません。同様に、私有地に無断駐車している他人の車をレッカー移動することもできません。
この場合は、単にレッカーサービスを利用できないだけでなく、もし実行すると「自力救済」という不法行為にも該当します。
また、レッカー移動は、事故や故障などで自力走行不能になった車を移動させるサービスです。そもそも公道を走行できない車検切れの車も、ロードサービスの対象にはならない可能性が高い点に注意しましょう。
無料で利用する場合には、移動の上限距離がある
JAFやJRSの会員が会員向けロードサービスを依頼する場合や、自動車保険の加入者が自動付帯のロードサービスを手配する場合は、基本的に料金はかかりません。
ただし、無料での利用には、移動できる距離の上限が設けられています。無料で利用できる距離は、JAFは20km、JRSは15kmまでです。
自動車保険に付帯するロードサービスの場合は、どこに移動させるかによって料金設定が異なります。多くの保険会社では、自社が指定する最寄りの修理工場までなら無料としています。
一方、利用者が指定する修理工場への移動には、距離制限が設けられているのが一般的です。
レッカーサービスを選ぶときのポイント
レッカーサービスは、利用するロードサービスによってサービス内容が違うので、よく比較検討した上で選ぶことが大切です。利用しやすいサービスを見極めるには、次の3点がポイントになります。
無料利用の範囲とアップグレードの可否を確認する
無料で利用できるレッカー移動の距離は、JAFやJRSなどに比べて、自動車保険に付帯するロードサービスのほうが長い傾向があります。
自動車保険の付帯サービスを選ぶ際には、無料移動の距離とどこまでの移動ならば無料なのか、条件をしっかり確認することが大切です。
なお、自動車保険によっては、アップグレードによって上限距離が延びるものもあります。
たとえば、SBI損保の「SBI損保安心ロードサービス」は、最寄りの修理工場までであれば距離制限なしで、利用者が指定する工場までの場合は50kmまで無料です。ロードサービスを【プレミアム】にアップグレードすると、利用者が指定する工場までの無料距離が150kmにまで延びます。【プレミアム】への加入条件は、同社の自動車保険に3年以上加入していること、または同社のがん保険に加入していることなどです。
SBI損保のロードサービスの特徴
SBI損保安心ロードサービス【プレミアム】については、下記のページをご覧ください。
SBI損保安心ロードサービス【プレミアム】対応時間・対応エリアを確認する
レッカーサービスの対応時間・対応エリアも、サービスによって異なります。トラブルはいつ起こるかわからないので、24時間365日対応のものを選んでおくと安心です。
また、レッカーサービスを含むロードサービスは、依頼を受けると、現場に近いサービス拠点からレッカー車やサービススタッフを派遣するしくみになっています。旅先などでトラブルに遭遇することもありうるので、拠点数が多く、全国展開しているサービスがいいでしょう。
たとえば、SBI損保のロードサービスは、24時間365日受付。10,800か所のサービス拠点があり、全国に対応しています(2024年3月末現在)。
アフターケアなど付帯サービスの内容を確認する
事故などで車のレッカー移動が必要になると、現場からどのように移動するか、遠方の場合はどのように帰宅するかといった問題にも直面します。また、修理すべきか廃車にすべきかなどに悩むこともあるでしょう。
そうしたケースを考えると、レッカーサービス選びでは、車を移動した後のアフターケアやサポート体制が充実していることも重要です。
SBI損保のロードサービスは、当面の目的地までの移動または帰宅の費用を支払う「帰宅費用サービス」、帰宅手段がなく宿泊した場合の費用を支払う「宿泊費用サービス」、修理完了後の車両搬送費・引取り費用を支払う「修理後車両搬送・引取り費用サービス」が付帯。【プレミアム】にアップグレードすると、修理工場や廃車などの相談ができる「車両相談サービス」も付くので、しっかりサポートしてくれます。
レッカー車を無料手配できる自動車保険に加入して、万が一への備えを
レッカーサービスを利用するには、主にJAFなどのロードサービスを利用する方法と、自動車保険に自動付帯するロードサービスを利用する方法があります。
JAFなどのロードサービスは基本的に会員向けで、非会員が利用する場合は有料となりますが、自動車保険に付帯するロードサービスなら、追加費用なしで利用可能です。
SBI損保の自動車保険は、24時間365日対応で全国をカバーしています。SBI損保が指定する最寄りの修理工場までであれば距離制限なしで、利用者が指定する工場までの場合は50kmまで無料です。【プレミアム】にアップグレードすれば150kmまで無料になります。さらに、保険料が最大14,500円安くなるインターネット割引なども実施しています(※)。
自動車保険への加入や保険の見直しをお考えの方は、まずは無料のお見積りをご検討ください。
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※ ①インターネット割引(14,000円)②証券不発行割引(500円)を適用した割引額です。月払の場合は年間14,520円(①14,040円②480円)となります。
執筆年月日:2024年9月25日