軽自動車が売れています。2015年度の新車販売台数ランキングトップ10を見ると、なんと6台もの軽自動車がランクインしており、圧倒的な支持を得ています。その理由は普通自動車(小型自動車を含む)に劣らないクオリティに加え、維持費の安さにあります。ここでは普通自動車と軽自動車を比較しながら、必要な維持費や節約方法をお伝えします。
軽自動車の維持費一覧
- ・軽自動車
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品目 | 費用 (年間) |
算出方法 | 頻度 | 備考 |
---|---|---|---|---|
駐車場代 | 都内 ¥377,160 |
31,430円(月平均)×12 | 1か月ごと | 自宅の場合は 0円 |
全国 ¥95,172 |
7,931円(月平均)×12 | |||
ガソリン代 | ¥85,300 | 年間走行距離10,000km、ガソリン単価128円、燃費は15km/Lと仮定 | 12か月ごと | 走行しない場合は0円 |
保険料 (任意) |
¥67,042 | 20歳から65歳以上の平均 | 一般的に12か月ごと | 未加入の場合は0円 |
軽自動車税 | ¥7,200 | 2015年3月31日以前登録 7,200円 |
12か月ごと | |
2015年4月1日以降登録 10,800円 |
||||
車検代 | ¥29,500 | 車検代行からディーラー平均約59,000円÷2 車検のための整備費用と法定費用(自賠責保険料:26,370円+重量税:6,600円)の合計額で計算 |
24か月ごと | |
整備費用 | ¥8,500 | 12か月点検費用 (仮定) |
12か月ごと | |
消耗品費 | ¥40,000 | 消耗品の交換度合いによる(仮定) | 都度 | 年間0円の場合もある |
合計 / 年間 | ¥614,702、全国¥332,714 | |||
最低限¥45,200 | ||||
合計 / 月間 | 都内¥51,225、全国¥27,726 | |||
最低限¥3,767 |
*エコカー減税なし、13年経過未満、2015年3月31日以前登録車を想定
*自賠責保険料は離島、沖縄県は異なります
*最低限の金額は駐車場代・ガソリン代・任意保険・消耗品費を除く
軽自動車にかかる経費を説明します。
- ・駐車場代
都道府県別の平均駐車場代(月額)は東京都が最も高く31,430円、一番安いのは長野県で4,036円、全国平均は7,931円です。主要都市別の平均でみると東京(23区)32,342円、大阪市30,148円、名古屋市15,430円、横浜市23,152円、札幌市10,227円、福岡市12,674円となっています。
駐車場代は経費の大部分を占めることが多く、「軽自動車だから安くなる」というものでもありませんので、有料か無料かによって出費は大きく異なります。 - ・ガソリン代
軽自動車は車体が小さいので低燃費だと思われがちですが、実際には普通自動車より燃費が劣る車もあります。たとえば、A社の人気軽自動車は総重量1t以上で、B社の5ナンバーハイブリッド車と同じ総重量です。これを軽自動車はより低い排気量(エンジンのパワー)で動かすことになるので、当然燃費は悪くなります。 - ・公的費用
自賠責保険料や税金などの「公的費用」が普通自動車よりも低く設定されていることが軽自動車の最大のメリットです。しかし軽自動車の好調な販売台数に目を付けた国は、2015年4月1日以降に登録された車にかける軽自動車税を3,600円増税しました。次第に恩恵は薄れていくかもしれません。 - ・消耗品費
タイヤ、ワイパー、ウォッシャー液、エンジンオイルなどが消耗品です。軽自動車のタイヤは普通自動車よりも安く、筆者は先日4本セットを交換料込み2万5千円で購入しました。以前乗っていたRV車は4本セットで6万円でした。軽自動車は普通自動車よりもエンジンオイル容量も少ないですし、バッテリーも安いので、非常にコストパフォーマンスがよいです。 - ・任意保険
任意保険において普通・小型自動車には型式別料率クラスが適用されます。事故を起こしやすい傾向にある車種は保険料を高めに、そうでない車種は低めに設定されるのですが、軽自動車には型式別料率クラスがありません。したがって同じ補償内容でも軽自動車のほうが安いことがあります。
普通自動車の維持費一覧
- ・普通自動車
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品目 | 費用 (年間) |
算出方法 | 頻度 | 備考 |
---|---|---|---|---|
駐車場代 | 都内 ¥377,160 |
31,430円(月平均)×12 | 1か月ごと | 自宅の場合は 0円 |
全国 ¥95,172 |
7,931円(月平均)×12 | |||
ガソリン代 | ¥106,700 | 年間走行距離10,000km、ガソリン単価128円、燃費は12km/Lと仮定 | 12か月ごと | 走行しない場合は0円 |
保険料 (任意) |
¥75,000 | 20歳から65歳以上の平均 | 一般的に12か月ごと | 未加入の場合は0円 |
自動車税 | ¥39,500 | 12か月ごと | ||
車検代 | ¥36,764 | 車検代行からディーラー平均73,528円÷2 車検のための整備費用と法定費用(自賠責保険料:27,840円+重量税:24,600円)の合計額で計算 |
24か月ごと | |
整備費用 | ¥10,000 | 12か月点検費用 (仮定) |
12か月ごと | |
消耗品費 | ¥60,000 | 消耗品の交換度合いによる(仮定) | 都度 | 年間0円の場合もある |
合計 / 年間 | ¥705,124、全国¥423,136 | |||
最低限¥86,264 | ||||
合計 / 月間 | 都内¥58,760、全国¥35,261 | |||
最低限¥7,189 |
*総排気量1.5リットル超2リットル以下、総重量1t超から1.5t、エコカー減税なし、13年経過未満、2015年3月31日以前登録車を想定
*自賠責保険料は離島、沖縄県は異なります
*最低限の金額は駐車場代・ガソリン代・任意保険・消耗品費を除く
- ・コンパクトカー
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品目 | 費用 (年間) |
算出方法 | 頻度 | 備考 |
---|---|---|---|---|
駐車場代 | 都内 ¥377,160 |
31,430円(月平均)×12 | 1か月ごと | 自宅の場合は 0円 |
全国 ¥95,172 |
7,931円(月平均)×12 | |||
ガソリン代 | ¥64,000 | 年間走行距離10,000km、ガソリン単価128円、燃費は20km/Lと仮定 | 12か月ごと | 走行しない場合は0円 |
保険料 (任意) |
¥75,000 | 20歳から65歳以上の平均 | 一般的に12か月ごと | 未加入の場合は0円 |
自動車税 | ¥34,500 | 12か月ごと | ||
車検代 | ¥46,020 | 車検代行からディーラー平均92,040円÷2 車検のための整備費用と法定費用(自賠責保険料:27,840円+重量税:24,600円)の合計額で計算 |
24か月ごと | |
整備費用 | ¥10,000 | 12か月点検費用 (仮定) |
12か月ごと | |
消耗品費 | ¥50,000 | 消耗品の交換度合いによる(仮定) | 都度 | 年間0円の場合もある |
合計 / 年間 | ¥656,680、全国¥374,692 | |||
最低限¥90,520 | ||||
合計 / 月間 | 都内¥54,723、全国¥31,224 | |||
最低限¥7,543 |
*コンパクトカーは排気量1000ccから1500cc程度、ボディサイズが全長4,000mm未満、全幅1,700mm未満を想定
*総排気量1.5リットル超2リットル以下、総重量1t超から1.5t、エコカー減税なし、13年経過未満、2015年3月31日以前登録車を想定
*自賠責保険料は離島、沖縄県は異なります
*最低限の金額は駐車場代・ガソリン代・任意保険・消耗品費を除く
普通自動車といってもその大きさはピンキリですので、ここではコンパクトカーとスタンダードな5ナンバー枠の1500ccから2000cc車、3ナンバー枠の高級車を例にお話します。
- ・燃費
車はガソリンがなくては動きません。もちろん燃費がいいほうが財布にも地球にも優しいですね。ガソリン車の中で最も燃費がいいのはコンパクトカーです。室内空間が広いトールタイプの軽自動車より軽く、それでいて排気量は1000ccから1300ccと、非常にバランスが取れています。5人がゆったり乗れて荷物も積みたいなら、コンパクトカーよりもさらに上の車格が必要です。 - ・公的費用
「排気量がグレードアップするほど公的費用も高くなる」と思っていて間違いなし。自賠責保険料は変わらないものの、自動車税は排気量、重量税は車重によって段階的に税額が異なります。 - ・車検・整備費用
車検費用は軽自動車、小型車、中型車、大型車などクラスによって料金が異なります。検査項目はコンパクトカーでもフェラーリでも変わらないのですが、高級車になるにつれて交換部品代が高くなります。外車にいたっては「工賃」なども高額請求されるようです。 - ・消耗品費
エンジンオイルは定期的に交換が必要です。オイルの価格をB社のコンパクトカーと「日本で最も売れた大衆車」と呼ばれる普通自動車、そして「いつかは○○」のキャッチコピーで有名な3ナンバーの高級車を比較してみました。オイル容量はコンパクトカー約3L、普通自動車約4L、高級車約6Lです。B社の純正オイルは1Lあたり720円。コンパクトカーと高級車の価格差は2倍の2,160円になりました。 - 次にタイヤです。C社のスタンダードタイプのタイヤで比較すると、1本あたりコンパクトカーは4,890円、普通自動車5,500円、高級車11,049円(取り付け工賃別)でした。4本に換算すると、それぞれ19,560円、22,000円、44,196円となります。普通自動車と高級車では実に2倍の差があるのです。
- ・任意保険
自動車保険は車種・グレードなどによって保険料が異なります。スポーツカーや高級車などスピードが出て事故を起こしやすい、または修理代が高い車は高く設定され、比較的安く済むコンパクトカーは低く設定されています。
軽自動車と普通自動車の維持費比較
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品目 | 軽自動車 | 普通自動車 (3ナンバー) |
普通自動車 (5ナンバー) |
---|---|---|---|
駐車場代 | 都内¥377,160 | 都内¥377,160 | 都内¥377,160 |
全国¥95,172 | 全国¥95,172 | 全国¥95,172 | |
ガソリン代 | ¥90,000 | ¥168,750 | ¥112,500 |
保険料(任意) | ¥67,042 | ¥75,000 | ¥75,000 |
自動車税 | ¥7,200 | ¥45,000から¥111,000 | ¥39,500 |
車検代(※) | ¥29,500 | ¥50,000 | ¥36,764 |
整備費用 | ¥8,500 | ¥15,000 | ¥10,000 |
消耗品費 | ¥40,000 | ¥80,000 | ¥60,000 |
合計 / 年間 | 都内¥619,402 | 都内¥810,910から¥876,910 | 都内¥710,924 |
全国¥337,414 | 全国¥528,922から¥594,922 | 全国¥428,936 | |
最低限 | ¥45,200 | ¥110,000から¥176,000 | ¥86,264 |
合計 / 月間 | 都内¥51,617 | 都内¥67,576から¥73,076 | 都内¥59,244 |
全国¥28,118 | 全国¥44,077から¥49,577 | 全国¥35,745 | |
最低限 | ¥3,767 | ¥9,167から¥14,667 | ¥7,189 |
※自賠責・重量税を含む
*最低限は駐車場代・ガソリン代・任意保険・消耗品費を削除
*保険料(自賠責)は離島、沖縄県は異なります
*整備費用、消耗品費は仮定の金額
- ・燃費
3つを比較して真っ先に目につくのが燃費でしょう。ガソリン単価128円と仮定して東京から大阪(約500q)を軽自動車(燃費15q/L)・普通自動車(排気量2000cc:燃費12km/L)・3ナンバー車(排気量3000cc:燃費8q/L)で走った場合のガソリン代は、軽自動車4,267円・普通自動車5,333円・3ナンバー車8,000円。広島(約800q)だと軽自動車6,827円・普通自動車8,533円・3ナンバー車12,800円となり軽自動車と3ナンバー車の差額は5,973円にもなります。 - ・公的費用
自動車税や重量税などは車の排気量や重さによって増税されます。自動車税の最高額は総排気量6001cc以上の111,000円です。実に軽自動車の17倍、B社の最高級車の2倍です。該当する国産車はありませんが、ロールスロイス ファントムやシボレーコルベットなどの外車には、排気量6000ccを超える車が存在しています。 - ・車検
車検前に交換が多いブレーキパッド(前輪2セット)を例にすると、軽自動車で部品・工賃込みで約1万円、普通自動車・国産3ナンバー車で約1万5千円です。高級車や外車の場合、前述のとおり、部品代や工賃などが高めに設定されていますので、もう少し高くなります。
軽自動車と高級車に二極化している日本
現在日本で売れている車は、軽自動車と高級車に二極化されていると言われています。軽自動車を1か月間維持するのにかかる費用は駐車場代なしで約3万円、もしフェラーリを維持するとしたら16万円にもなるそうです。「車は単なる移動手段」と考えるか、「ステータスシンボル」として考えるかによって費用の捉え方も変わってきそうです。
各維持費の節約方法
駐車場にガソリン代、車検に消耗品費と車を維持するためには結構お金がかかるもの。上手に節約して負担を減らしたいですね。そのためのコストカット方法をお伝えいたします。
自家用車を持たない
究極はこれです。最近ではガソリンスタンドなどを拠点として格安レンタカーも増えてきましたので、使うときだけ借りれば維持費はかかりません。また会員間で車をシェアする「カーシェアリング」もおすすめです。「車はあるけど、あまり乗らない」という方は検討してみてはいかがでしょうか。
リースの車を利用する
カーリースは、客が乗りたい新車をリース会社が代わりに購入し、月々のリース料を徴収して貸し出すしくみです。クルマの所有者はリース会社となるため各種税金の納付などはリース会社が行います。リース期間は自分のクルマのように乗ることができます。
軽自動車に買い替える
これまでも説明したとおり、最もコストパフォーマンスが高いのが軽自動車です。車両価格はコンパクトカーと変わりなく、むしろそれよりも高い場合もありますが、長く所有するなら維持費の安さで十分ペイできます。ファミリー向けからオープンカーまで多彩なモデルが揃っていますので、ライフスタイルによってお選びください。
エコカー減税対象車を選ぶ
エコカーとは二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などの排出量が少なく、燃費もよい自動車のこと。燃費が良く環境にも優しいため各メーカーが販売しています。しかもエコカー減税対象車の重量税は、半額になります。総重量が重い車ほどおトクで、2,500kgから3,000kgの車にいたっては15,000円も安くなります。いいことづくめと言えますね。
駐車場を変更する
現在利用している駐車場を見直してみましょう。屋根の有無などの条件を変更すれば、今よりも安い駐車場がほかに見つかるかも知れません。駐車場無料または低額の物件に引っ越すという方法もあります。駐車場代を家賃に含めることで、場所によっては今よりもよい物件に住めるかも知れませんよ。
自動車保険を見直す
現在加入中の保険会社や保険のプランを見直すことで保険料を安く済ませることができます。ロードサービス目的でJAFに入会しているのなら、その補償が付いた保険に入ることでJAFを脱会して費用を浮かすこともできます。まずは保険会社に見積りを請求してみてください。
また、自動車保険は事故率の低い車種であればあるほど保険料が安くなる「型式別料率クラス」を採用しています。保険料を安くできる可能性がありますので、車選びのときに料率クラスも検討材料にするとよいでしょう。
近くの安いガソリンスタンドを利用する
いくら1、2円安くても遠くのガソリンスタンドを利用しては結局割高になります。家の近くで安いガソリンスタンドを探しましょう。支払いはそのガソリンスタンドの会員価格になるクレジットカードは割引率が高く、ポイントも付くのでおトクです。上手に利用してください。
ユーザー車検を利用する
自分で軽自動車検査協会や陸運支局に車を持ち込み、車検を通すのが「ユーザー車検」です。費用は手数料を含めた法定費用のみ。書類の記載方法は見本を見れば誰でも書けますし、検査レーンも係員が親切に教えてくれるので心配なし。最も安く車検を通すことができます。
ただし、ユーザー車検では不具合の整備ができなかったり、不合格になった場合は再度検査を受ける必要があったりとデメリットもあります。メリット・デメリットを理解したうえで利用しましょう。
自分で整備・点検する
消耗品の交換程度なら古いものを外して新しいものを装着するだけなので、整備士のような技術は必要ありません。自分で交換までしなくても、インターネットで安く入手して取り付けだけをプロに頼む方法もあります。特にタイヤなどはショップとインターネットでの価格差が大きいので、タイヤ持ち込みで頼むと費用が抑えられることがあります。試してみてください。
電気自動車・ハイブリッドカー維持費一覧
2015年度の自動車販売トップ10を見ると6台が軽自動車、そして残りすべてはハイブリッド車となっています。一般的に車両本体価格は高くてもガソリン代で十分にペイできるのが人気と言われています。最近ではハイブリッド車のタクシーもよく見かけますね。ガソリン車と比較して本当におトクなのかを検証してみました。
- D社の同一車種のガソリン仕様とハイブリッド仕様の比較
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品目 | ガソリン仕様 | ハイブリッド仕様 |
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価格 | 約130万円 | 約170万円 |
最高燃費 | 約26q/L | 約36q/L |
重量税 | 50%軽減 7,500円 | 50%軽減 7,500円 |
自動車税 | 34,500円 | 34,500円 |
年間走行距離を10,000q、ガソリン代を128円/Lと換算して比較してみたところ、年間のガソリン代はガソリン仕様が49,230円、ハイブリッド仕様が35,555円、差額は13,675円です。車両価格は約40万円もの差がありますので、実は長距離トラック並みに走る人でもない限りコストパフォーマンスはよいとは言えません。しかもハイブリッド車はガソリン車よりもバッテリーが高価です。そのため盗難件数も多く発生しています。
こう考えるとハイブリッド車にかかる費用は、ガソリン車に比べて安いわけではありませんね。環境保護や静粛性に優れるなどのメリットはありますが、同じサイズでガソリン仕様のエコカーのほうが、コストパフォーマンスがよいようです。
一度費用を見直してみましょう
車を維持するのにはお金がかかりますが、排気量を抑えたり、ハイブリッド車にしたりすることで、これまでより維持費を安くできます。また車を変えなくても、自動車保険や駐車場を変更することでも費用を抑えることができるかもしれません。普段当たり前のように支払っている経費を、一度見直してみてはいかがでしょうか。
*各費用は執筆者調べ