【INDEX】
「共済」と「保険」のがん保障はどう違う?
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相談者
相談者:30代のパート主婦です。出産後、生協の宅配を利用していて、子どもと一緒に共済にも加入しています。掛金が毎月1,000から2,000円と手軽ですし、ケガや病気の時の入院保障が欲しかったので、自分はこれで十分かなと思っています。ただ、最近、ママ友に乳がんが見つかり、治療のため通院していると聞き、今の保障だけでは足りないのかもと心配になってきました。とはいえ、物価もどんどん上がっていますし、住宅ローン返済や子どもの教育費を考えると、保険料負担は抑えたいのです。共済でもがん保障をプラスできるようですが、それで大丈夫でしょうか?それとも民間の保険のほうがよいでしょうか?共済と保険の違いやメリット・デメリット、がん保障に対する共済の活用法などについて教えてください。
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黒田FP:共済は、掛金が一律で比較的安く、保障内容がシンプルで加入しやすい点が大きな魅力です。一方で、高齢期になると保障が減額されてしまったり、保障内容が「広く浅く」設計されているケースが多かったり。どちらかといえば「最低限の備え」と考えたほうがよいかもしれません。特に近年は、入院期間が短期化し、がんなどの治療も「入院」から「通院・長期治療」へとシフトしています。共済は病気やケガなど幅広く保障できますが、多くの商品では入院や手術への保障が中心で、治療に対する通院保障はそれほど手厚くなっていないのが現状です。診断時などに受け取れる一時金の条件も民間のがん保険ほど柔軟ではありません。
まずは、今の公的制度を踏まえて、がんになった時に共済や保険で備えておきたいリスクを洗い出してみましょう。そして、共済の「年齢ごとの保障の変化」を確認し、保障が足りなかったり、対応できる共済がなかったりすれば、民間の保険で賢くカバーしてみてはいかがでしょうか。
「共済」とは?「保険」との違いは?
ご相談者のように物価上昇が続く中、負担を抑えながら保障を備えたいと考える人が増えています。生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、直近で契約した保険の加入理由について、「掛金が安かったから」が上位にあり、特に30代で3割以上と高い割合を占めています。
その中で注目されているのが「共済」です。
共済は保険と同じく、どちらも「相互扶助」の精神に基づいて運営されています。相互扶助とは、多くの人が少しずつお金を出し合って協同の財産を作り、病気やケガ、死亡など不測の事態が発生した人が、お金を受け取れるようにした助け合いのしくみです。
ただ、保険と共済は、単に呼び方が違うだけではなく、次のように根拠法令や監督省庁などが異なります(【図表1】参照)。
また、金融庁では、生命保険分野と損害保険分野を分けており、同じ保険会社で生命保険事業と損害保険事業を兼営することができません(ただし、子会社としての参入は可能)。一方、共済では、両分野の保障(補償)商品を取り扱っています。たとえば、損害保険分野である火災共済や自動車共済と、生命保険分野である生命共済を同じ共済団体で契約することが可能です。
【図表1】保険と共済の違い
横スクロールできます
| 共済 | 保険 | |
|---|---|---|
運営主体 |
協同組合 |
生命保険会社・損害保険会社 |
目的 |
非営利 |
営利 |
加入対象者 |
協同組合の組合員とその家族 |
不特定多数 |
根拠となる法律 |
消費生活協同組合法または農業協同組合法 |
保険業法 |
監督庁 |
厚生労働省または農林水産省 |
金融庁 |
セーフティネット |
なし(契約は消滅。ただし各共済で独自のセーフティネットがある) |
生命保険契約者保護機構・損害保険契約者保護機構 |
商品の特長 |
保障内容がパッケージ化されている |
商品のバリエーションが豊富 |
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*筆者作成
おもな共済団体と共済の種類は?
共済とひとくちにいっても、さまざまな団体があり、取り扱う商品も異なります。
おもな共済団体で実施している共済の種類は次のとおりです(【図表2】参照)。
共済によって、取り扱いが大きく異なることがおわかりいただけるでしょう。
これらの共済団体のうち、日本で広く利用されているおもな共済としては、農業協同組合による「JA共済連(以下、JA共済)」、生活協同組合による「こくみん共済 coop〈全労済〉(以下、こくみん共済)」「コープ共済連(以下、コープ共済)」「都道府県民共済グループ(以下、県民共済)」の4つが代表的です。
【図表2】
- ※1こくみん共済 coop の共済事業規約にもとづく共済です。
- ※2一部の会員組合で実施しています。
- ※3そのほかの共済種類については、JA共済連の「財産形成貯蓄共済」「農業者賠償責任共済」「賠償責任共済」「ボランティア活動共済」、こくみん共済 coop の「慶弔共済」「個人賠償責任共済」、神奈川県民共済の「賠償共済」、日火連の「休業対応応援共済」「労働災害補償共済」「所得補償共済」「休業補償共済」「中小企業者総合賠償責任共済」、交協連の「労働災害補償共済」、中済連の「労災費用共済」、開業医共済の「開業医共済休業保障制度」、NOSAI協会の「農作物共済」「家畜共済」「果樹共済」「畑作物共済」「園芸施設共済」「農機具共済」「保管中農産物補償共済」などです。
- *筆者作成
「共済」の加入率や加入件数など現状は?
それでは、どのくらいの人が共済に加入しているのでしょうか?
生命保険文化センターの「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」では、2人以上世帯の世帯主の生命保険加入率(※1)は全体で85.5%、うち民間保険(かんぽ生命を含む)が74.6%に対し、県民共済・生協など(※2)は18.2%、JA共済は4.8%となっています。
また、配偶者の加入率は民間保険が69.0%、県民共済・生協などが19.7%、JA共済が3.8%と、配偶者のほうが、県民共済・生協などへの加入率がやや高めです。
世帯加入件数については、民間保険が3.2件に対して、県民共済・生協などおよびJA共済のいずれも平均2.2件です。2人以上世帯の場合、それぞれ複数を契約しているご家庭が多いのでしょう。固定費の見直しで、加入件数がじわじわと減少傾向にある中、前回の2021年調査に比べて、県民共済・生協などが若干増加しているのも割安な掛金の影響かもしれません。
さらに、加入率を世帯主年齢別に見ると、全生保でおおむね60代後半をピークに加入率が年齢とともに激減する一方、県民共済・生協などは60から64歳で24.6%、65から69歳で25.1%、75から79歳でも22.7%と、高齢者でも高い割合です(【図表3】参照)。80代になると加入率は9.3%まで低下しますが、背景には、保障の減額や満期による終了など、共済特有の商品設計の影響もあるのかもしれません。
- ※1民保に加入している場合も民保と簡保両方に加入している場合も1としてカウントするため、民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、県民共済・生協などの4機関のそれぞれの加入率を合計しても全生保の加入率とはならない。
- ※2県民共済・生協などは、全国生活協同組合連合会、日本コープ共済生活協同組合連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop)の3機関であり、それらの機関および商品の総称として用いている。
【図表3】
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*出典:(公財)生命保険文化センター「2024年度生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行)
また、同調査は、3年に1度実施される私たちFPがよく活用するデータの一つですが、国内世帯の3分の1以上が「おひとりさま」という世帯構造の変化を踏まえ、今回より単身世帯も対象になっています。
そこで、単身世帯を見てみると、全体で45.6%、うち民間保険(かんぽ生命を含む)が37.3%に対し、県民共済・生協などの加入率が10.6%、JA共済が3.1%など、共済が単身世帯でも一定の存在感を持っています。
2人以上世帯と同様に、特に60代以降では県民共済・生協などの加入率が2割近くまで上昇。共済は若い世代向けというイメージを持たれがちですが、ファミリー・シングルを問わず、共済が、現役世代からそのまま継続あるいは退職後も家計負担を抑えながら保障を確保したいシニア層に支持されている側面がうかがえます。
また、加入件数は平均1件程度ですから、これ一つで「最低限の保障を手頃な掛金で確保したい」というニーズに応えているのでしょう。
【図表4】
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*出典:(公財)生命保険文化センター「2024年度生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行)
「共済」のメリットは?
このように、多くの方が共済を利用されている状況を踏まえて、共済のメリットは何かを整理してみましょう。
- 1.掛金が割安かつ一律
共済の場合、契約者(加入者)が支払う金銭のことを「保険料」ではなく「掛金」といいます。共済によって異なりますが、多くの基本コースが月2,000から4,000円程度と一律です。年齢が上がっても掛金が変わらないタイプが多く、シニア層はもちろん、子育て世代や教育費のピークを迎える世帯でも、家計の固定費を低く抑えるための強力な味方となっています。 - 2.「割戻金」による実質コストの安さ
共済は営利を目的としない組織ですから、決算状況によっては「割戻金」が組合員に還元されるというのも大きなメリットです。
割戻金とは、1年間の運営で掛金から共済金や経費を差し引いた後に残った剰余金を、加入者に掛金額に応じて返金するお金のことです。保険の「配当金」に近いしくみですが、毎年必ず出るとは限らず、金額や率は決算結果で変動します。
たとえば、都道府県民共済グループの一つである東京都民共済の「総合保障型」「入院保障型」の2024年度の割戻率は、払込掛金の38.57%です。総合保障2型+入院保障2型の年間48,000円(月掛金4,000円)の場合、割戻金は18,513円となかなかの金額です。もとの掛金が割安な上、割戻金が実質的な‘割引’になっているといえます。 - 3.加入手続きや告知が簡単で、持病があっても入りやすい場合がある
共済は、民間の保険のように特約をいくつも組み合わせるのではなく、基本保障がワンパッケージになっており、相対的に審査基準を複雑にする必要がありません。
ですから、保険に比べて、健康状態の告知義務(加入時の質問事項)が緩やかなコースが多いのが特長です。医療保障に関しても、民間保険の告知内容でよく見られる「過去5年以内の病気やケガの経歴」など細かく問う形式ではなく、「直近の状況」に絞った3から4問程度の質問や、シンプルに「はい」か「いいえ」で答えられる質問で構成されています。
医師の診査が不要で、自己申告のチェックだけで手軽に加入できる点が、忙しい方や健康に少し不安がある方も加入しやすい実用的なセーフティネットとなっています。 - 4.保障内容がシンプルでわかりやすい
民間保険は商品によって保障内容が細分化されていますが、共済は比較的シンプルで、しかもあらかじめパッケージ化されています。
死亡や医療、がんなど保険に詳しくない人でも、「入院したら〇〇円」「死亡したら〇〇円」というイメージが持ちやすく、初めて保障を考える人には理解しやすい商品といえます。
「共済」のデメリットや注意点は?
共済には多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。
- 1.保障額が十分とは限らない
共済は「広く多くの人に生活の不安を保障する保険を提供する」考え方を基本とする一方で、死亡に対する共済金は数百万円から最高でも2,000万円程度が上限であることが多く、残された家族の生活費や、子どもの教育費をすべてカバーするための「数千万円規模の死亡保障」が必要な現役世代には、保障額が不足します。
また、医療やがんに対する保障も、治療の長期化や通院保障、就業不能、医療費以外の交通費や差額ベッド代、ウイッグ代などの費用で、保障額が不足する可能性もあります。 - 2.年齢とともに保障が「先細り」になる
掛金が一律の代わりに、60代から80代にかけて「医療リスクや死亡リスクが高まる年齢」になると、保障内容が自動的に縮小(半減など)していく設計が一般的です。若いうちは「安くて十分」と感じても、年齢が高くなると保障内容に物足りなさを感じる人もいます。特に、がんの罹患率は年齢とともに上昇するわけですから、「リスクが高まる年代で保障が小さくなる」可能性については、しっかり確認しておきたいところです。 - 3.特約や保障のカスタマイズ性が低い(パッケージ型)
必要な保障がパッケージ化されているのは便利な反面、自分にとって不要な保障も含まれていたり、特定の不安やリスクに対してピンポイントで手厚くするのが難しかったりするのが難点です。
たとえば、入院保障が必要なのに死亡保障とセットでなければ加入できない。あるいは「がんの治療保障だけを手厚くしたい」「就業不能リスクに備えて通院保障を長くしたい」「女性特有の疾病に備えたい」といった細かなオーダーメイドができません。良くも悪くも「みんなに平均的なパッケージ」の商品となっています。 - 4.全世代にとって掛金が「割安」とは限らない
共済は、年齢や性別によって大きく掛金が変わらない点がメリットの反面、民間の保険は年齢や健康リスクに応じて保険料を計算するため、20から30代の若く健康な人であれば、保障内容によっては保険のほうが割安になるケースも出てきます。また、高齢期になると一定年齢で保障内容が変わる商品が少なくありません。掛金の安さだけで判断するのではなく、「その年齢で本当に必要な保障が確保できているか」を確認することが大切です。
「4大共済」の特徴とがん保障のポイント
それでは、具体的に、4大共済とも呼ばれる代表的な共済のそれぞれの特徴とがん保障のポイントを見てみましょう。
- 1.
農業協同組合による「JA共済」
特徴:組合員だけでなく、地域住民も「准組合員」として広く利用できます。医療や生命保障だけでなく、建物や自動車など総合的な生活保障を提供しているのが強みです。特に地方では、「農協=金融・保険・生活インフラ」になっている地域も多いことから、地域密着型で対面相談力が強く、高齢者を中心に安心感があります。がん保障のポイント:ほかの共済に比べて「保障の専門性」が高く、単体の「がん共済」を取り扱っています。2025年4月の商品改定では、従来の入院日数に応じた支払いから月単位の保障に変更。「がん治療月額共済金」として、従来の手術・入院・放射線治療に加え、抗がん剤やホルモン剤などの薬物療法や、がん性疼痛などの緩和のための在宅医療も対象にするなど保障が拡充されました。通算の支払限度回数はなく、長期療養にも対応可能。「がん診断時共済掛金払込免除特則」が付帯できるなど、民間のがん保険に近い手厚い保障を組み立てやすくなっています。一方で、保障を充実させると、掛金がほかの共済より高めになりがちです。
- 2.
こくみん共済 coop 〈全労済〉
特徴:全国労働者共済生活協同組合連合会が運営する、働く人とその家族のための共済です。JA共済と同じく「総合保障+医療+介護+住まい+自動車」まで幅広く扱う大型共済です。「全労済」といえば、団体の名称でもある「こくみん共済」や「マイカー共済」を思い浮かべる人も多いでしょう。全労済は、創立60周年を節目に、2019年6月から「こくみん共済 coop」を愛称にすると発表。さらに2026年5月には、Web完結型の「こくみん共済 あっと」が発表されました。これは、従来のターゲット層である「労組・生協中心」から、「若年層」の新しい生活防衛インフラを狙った動きといえます。がん保障のポイント:「こくみん共済」は、手頃な一律の掛金で、年齢やニーズに合わせて複数のタイプが用意されています。がんに備える場合、「医療保障タイプ」や「終身医療タイプ」などにオプションとして「がん保障プラス」を月々1,400円の掛金で上乗せする形が一般的です。
がん保障プラスは、「がん(悪性新生物)と初めて診断されたら一時金100万円」+「がん入院日額5,000円(日数無制限)」などシンプルな構成で、とにかくわかりやすく、ベースの医療保障と合わせても月々3,000円台と手頃です。その一方、加入可能年齢の上限があり(満18歳から49歳まで)、がんのリスクが高まるシニア期をカバーできない点は注意が必要です。診断共済金も1回のみで、手術・放射線以外の治療に対する保障もありません。
このほかに、「総合医療共済」で備える方法も考えられます。一生涯保障が続く「終身医療プラン」をベースに、「三大疾病医療特約」や「三大疾病タイプ」を選択します。
一生涯、保障額も掛金も変わらない「終身」の形でがんや医療の備えを確保でき、高齢期も保障が減額されないため、老後の安心感は「こくみん共済」より高くなります。
その一方で、民間のがん保険と同じように「加入時の年齢」で掛金が決まるため、40代や50代など加入時の年齢が高いと掛金が高くなります。また、あくまで「医療共済の特約」の枠を出ず、「入院・手術」保障ベースなので、最近の医療の現状に即した通院治療単体を手厚くカバーするような設計にはなっていません。 - 3.
コープ共済
特徴:各地域の生協(コープ)の組合員とその家族が加入できます。「たすけあい」をコンセプトに、特に女性や子ども向けの手厚いプランが有名です。同じグループで宅配や店舗事業を展開しているだけあって、生活に密着した共済です。
2024年度には、不妊治療中の方でも加入しやすくなるよう商品を改定。また同年9月1日より受付を開始した「お誕生前申し込み」は、医療保障《たすけあい》J1000円コースに妊娠中から申込みできるユニークな制度です。出産は何かとリスクが伴うもの。誕生後の健康状態に関わらず、生まれたその日から保障が受けられるのは、大きな安心につながります。がん保障のポイント:《たすけあい》は、入院やケガに備える医療保障が中心で掛金は2,000から4,000円、長期入院(270日以上連続した入院)やケガの通院保障があり、女性疾病保障・先進医療なども上乗せできますが、がんに特化しているわけではありません。
がんに対しては10年更新の《あいぷらす》に「入院特約」や「新がん特約」を付帯することで備えられます。満18歳から満60歳まで加入できるプランの場合、最高3,000万円の生命保障を基本に「がん治療共済金」(100万円・200万円)や日数無制限の「がん入院共済金」(日額1万円)、「がん通院共済金」(日額5,000円)が受けられます。
「新がん特約」の掛金は、30歳女性860円、男性320円、40歳女性1,740円、男性820円(いずれも、がん治療共済金100万円の場合)とかなり割安。また、60歳以降も、保障額は小さくなるものの、満70歳で更新の手続きをすれば、保障を85歳まで継続できます。
ただ、特約ですので、単体では契約できず、生命保障と一緒に加入しなければなりません。がん治療共済金は複数回受け取れますが、2回目以降は前回支払事由から2年以上経過していることが条件です。その上、給付条件が「入院」で、通院が含まれない点が気になります。 - 4.
都道府県民共済(全国生協連)
特徴:「県民共済」「都民共済」など、お住まいの地域ごとに運営されている共済です。各都道府県が運営しているため、加入できるのは、各都道府県に住所を有している人か、職場がある人限定です。複数の県で重複加入はできず、加入者が引越しをした場合、転居先の都道府県民共済(神奈川県では全国共済と呼称)に移管手続きをすることで保障を引き継ぐことが可能です。がん保障のポイント:県民共済の「生命共済」は、入院や死亡の保障で、0歳から85歳まで継続して保障します。年齢に応じて、「こども型」「総合保障型」「熟年型」のほか、「入院保障型」「熟年入院型」があります(【図表5】参照)。
さらに、「総合保障型」と「熟年型」には、「医療特約」「新がん特約」「新三大疾病特約」「長期医療特約」「死亡保障特約」を追加することも可能です。
このうち、死亡保障特約は、2025年4月に新設されたもので、18歳から49歳までの健康な方であれば、月掛金+1,000円で400万円の死亡保障を確保できます。
また、2026年4月からは、シニア世代の基本コースに付帯する「熟年医療特約」「熟年新がん特約」「熟年新三大疾病特約」について、保障期間の終期が80歳から85歳に延長。最長85歳まで継続できるようになるなど、加入者の声や要望が反映されて保障が見直されています。
「新がん特約」は、月掛金+1,000円もしくは+2,000円で、「がん診断共済金」50万円/100万円、日額5,000円/1万円の入院保障や手術、先進医療など、ベーシックな保障が装填されています。
ただ、やはり60歳以降の保障額は下がります。85歳まで保障が継続できるとはいえ、65歳から69歳まで申し込める“熟年”の新がん特約は、年齢が上がるにつれ5歳刻みで診断共済金が15万円→10万円→5万円(熟年新がん1型特約の場合)と大きく減額されます。
そして、診断共済金が2回目以降も受け取れるのは安心ですが、その条件は、がん治療が終了して5年経過後に新たながんの診断がされた場合のみ。がん治療が継続していれば共済金は受け取れません。「新三大疾病特約」は、月掛金+1,200円もしくは+2,400円です。プラス数百円分は、新がん特約に心筋梗塞と脳卒中の保障を加えた形で、保障内容はほぼ同じ。重複加入は不可です。
【図表5】県民共済の加入年齢とコース
横スクロールできます
| 加入年齢 | 選択できるコース | 内容 |
|---|---|---|
0から満17歳 |
こども型 |
こども1型(月1,000円)、こども2型(月2,000円) |
満18から満64歳 |
総合保障型 |
総合保障1型(月1,000円)総合保障2型(月2,000円)、総合保障4型(4,000円) |
入院保障型 |
入院保障2型(月2,000円) |
|
満65から満69歳 |
熟年型 |
熟年2型(月2,000円)、熟年4型(月4,000円) |
熟年入院型 |
熟年入院2型(2,000円) |
-
*「総合保障1型+入院保障2型」(月掛金3,000円)と「総合保障2型+入院保障2型」(月掛金4,000円)、「熟年2型+熟年入院2型」(月掛金4,000円)などの組み合わせで申込みも可能*筆者作成
「共済」が向いている人や活用法は?
共済は、ご相談者のような若い世代や子育て世代など保険料を抑えて、最低限の保障を一つで持ちたいというニーズと非常に相性が良いといえます。
ただ、備えるべきリスクや必要な保障(補償)はライフステージによって変わるものです。長い人生の中で「共済だけで十分かどうかは別問題」だということです。
たとえば、一般的に、独身・会社員、貯蓄もある人の場合、共済だけで十分な場合もあるでしょう。しかし、子育て世代は、死亡保障や収入保障保険などの上乗せが必要な場合が多く、自由業・自営業者は、公的保障が薄い分、働けなくなった場合の就業不能リスクへの対応が欠かせません。家族構成や働き方によって必要な保障は変わります。
さらに、公的制度の改正も考慮しておく必要があります。配偶者の扶養に入っている主婦(夫)でも、配偶者の年収が高ければ、高額療養費の自己負担額も高くなります。たとえば、2026年8月以降の高額療養費の改正によって、配偶者が年収1,000万円の会社員の場合、年間111万円(月平均9万2,500円)の医療費負担がかかる可能性があります。現在加入している共済でこの負担に家計が耐えられるでしょうか?
がんへの備えも、多くの共済は入院保障をカバーできても、治療のための通院保障はまだまだ十分とはいえません。診断時などの一時金に関しても、1回のみ、あるいは2回目以降の条件が民間のがん保険よりも厳しく、長期療養や再発・転移への対応に課題が残ります。がんは治療費そのものよりも、治療が長引くことで生じる収入減少や生活コストの増加が家計に影響するケースも少なくないのです。
いずれにせよ、大切なのは「共済」か「保険か」を比べることではありません。自分に必要な保障を過不足なく準備できているかを確認することが重要です。その上で、共済を上手に活用しながら、共済ではカバーしきれない「一生涯変わらない安心(終身保障)」や「通院治療・抗がん剤治療への手厚い備え」をピンポイントで補強するために、民間の保険も併せたハイブリッドな保障設計を考えてみてください。
<参考>
・一般社団法人日本共済協会
https://www.jcia.or.jp/index.html
・JA共済連
https://www.ja-kyosai.or.jp/
・こくみん共済 coop〈全労済〉
https://www.zenrosai.coop/
・コープ共済連
https://coopkyosai.coop/
・都道府県民共済グループ
https://www.kyosai-cc.or.jp/index.html
執筆年月日:2026年5月28日
執筆監修 黒田 尚子(くろだ なおこ)
CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士
一般社団法人患者家計サポート協会顧問
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
消費生活専門相談資格
執筆監修 黒田 尚子(くろだ なおこ)
CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
消費生活専門相談資格
富山県出身。立命館大学法学部修了後、1992年(株)日本総合研究所に入社、SEとしてシステム開発に携わる。在職中に、自己啓発の目的でFP資格を取得後に同社退社。1998年、独立系FPとして転身を図る。現在は、セミナー・FP講座などの講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。近著に[がん患者(サバイバー)が教えてくれた本当のところ がんとお金の真実(リアル)](セールス手帖社保険FPS研究所)、[お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動](日経BP)など。
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【第12話】がんのステージ(病期)で治療費はどう変わるのか?
2022年1月26日(水)
正社員として働くアラフィフ女子です。独身で子どももいません。マンションは10年前に購入し、仕事も順調です。今の心配事といえば、老後のことくらいです。でも、最近、身近な同年代の友人・知人が立て続けに乳がん、大腸がんになりました。・・・>続きを読む
【第13話】男女別がん保険の考え方(女性編)
2022年4月20日(水)
夫は会社員、私はパートで働いています。二人とも40代前半ですが、結婚が遅かったため、子どもはまだ5歳で、これから教育費もかかりますし、マイホームも購入するつもりです。・・・>続きを読む
【第14話】男女別がん保険の考え方(男性編)
2022年5月10日(火)
50代前半のフリーランスです。以前は会社員でしたが、約10年前に独立し、Web制作などを行っています。妻は4歳年下で、正社員として勤務していましたが、昨年、乳がんと診断を受け、現在も治療を続けています。・・・>続きを読む
【第15話】AYA世代とは?AYA世代とがん保険
2022年8月9日(火)
30代の独身女性です。2年前に乳がんと診断されました。ステージはT期で、早期発見できたのはよかったのですが、まだホルモン治療中で10年間治療をする予定です。・・・>続きを読む
【第16話】がん保険に「患者申出療養」への備えは必要か?
2022年11月1日(火)
50代男性です。これまでがん検診などでは異常を指摘されたことはありませんが、妻が乳がんになったことをきっかけに3年前からがん保険に加入。がん診断一時金や抗がん剤治療など通院治療に対する給付金も支払われます。・・・>続きを読む
【第17話】がん保険に加入しても保険金が受け取れない!?90日の「待機期間(待ち期間)」とは?
2022年12月22日(木)
先月、がん保険に加入したばかりです。加入した時はまったく体調に問題はなかったのですが、最近、胸にしこりがあるような気がしてなりません。現在43歳で、自治体のがん検診は定期的に受けています。・・・>続きを読む
【第18話】リスク高まる60代以降の高齢者に「がん保険」は必要か?
2023年3月14日(火)
先月、子宮頸がんと診断された20代の会社員です。医療保険には入っており、入院や手術の給付金を受け取りましたが、診断一時金や通院保障などはなく、やっぱり、がん保険も入っておけば…と後悔しています。・・・>続きを読む
【第19話】本当にがん保険は不要?がん治療の「経済毒性」とがん保険の役割
2023年5月18日(木)
10年前から御社の「SBI損保のがん保険」に加入しています。保険料が割安で自由診療も含めて幅広く補償が受けられる点に魅力を感じて契約しました。ただ、50代も半ばになり、保険を見直して、老後に備えて貯蓄や資産運用に回したほうがよいのではと悩んでいます。・・・>続きを読む
【第20話】がん患者のアピアランスケアとがん保険
2023年9月21日(木)
先日、美容院に行った際、「ヘアドネーション」のチラシを目にしました。小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで、頭髪を失ったお子さんのために寄付された髪の毛でウィッグを作り、無償で提供する活動だそうです。このような取り組みがあることを初めて知りました。・・・>続きを読む
【第21話】がん遺伝子パネル検査とがん保険
2023年12月12日(火)
50代男性です。先日、会社の同期が肺がんと診断されました。ステージWでほかの臓器に転移している状態のため、薬物療法を受けるそうです。でも、まだ体力がある間に、がん遺伝子パネル検査を受けようか悩んでいると言っていました。・・・>続きを読む
【第22話】〜子宮頸がんとがん保険〜子宮頚部の異形成と診断!がん保険には加入できる?
2024年3月19日(火)
20代独身の会社員です。先日受けた子宮頸がん検診で要精密検査の通知が届き、婦人科で検査を受けたところ、「中等度異形成」と診断されました。医師からは、がんではないと言われています。・・・>続きを読む
【第23話】知っておきたいがん保険の「付帯サービス」の活用法
2024年6月14日(金)
最近、保険会社の付帯サービスが目に付くようになりました。いろいろなものがあるようですが、付帯サービスは、すべて無料で受けられるのでしょうか。また、どうして保険会社では付帯サービスを提供するのでしょうか。・・・>続きを読む
【第24話】資産形成とがん保険
2024年7月31日(水)
SBI損保のがん保険(自由診療タイプ)に加入している40代独身(男性)の会社員です。今度、5年間ごとの更新時期を迎え、保険料があがってしまいます。数年前から、将来のためにNISAで積立投資も始め、・・・>続きを読む
【第25話】がん検診でがんが見つかる人はどれくらい?〜がん検診のメリットとデメリット〜
2024年11月22日(金)
今年20歳になる大学生の娘に自治体から子宮頸がん検診の案内が届きました。近年、子宮頸がんは若年化が進んでいるそうですし、もちろん検診は受けさせるつもりです。ただ、がん検診でがんが見つかる人はどれくらいいるのでしょうか?・・・>続きを読む
【第26話】がん保険は、生命保険会社と損害保険会社でどう違う?
2025年3月26日(水)
40代の会社員です。もうそろそろがん保険への加入を検討しています。どんながん保険があるのか、インターネットでおすすめ商品を検索してみましたが、あまりにもたくさんあって、どれを選べばよいのかわからなくなるばかりです。・・・>続きを読む
【第27話】高額療養費制度を踏まえたがん保険とは?
2025年6月19日(木)
昨年、乳がんが見つかり、現在も薬物療法で治療中の40代主婦です。今年の8月から高額療養費制度が見直しになって限度額が上がると聞いて、心底、震えあがりました。私は、夫の扶養に入っているのですが、・・・>続きを読む
【第28話】がん保険に「先進医療特約」は必要?先進医療の現状と考え方
2025年8月29日(金)
40代のパート主婦です。医療保険には加入していますが、がん保険には未加入のため、加入を検討しています。気になるのは先進医療特約についてです。子どもがまだ小さく、できるだけ保険料を抑えたいのですが、・・・>続きを読む
【第29話】生命保険の見直しのタイミングと見直し方法
2025年11月30日(日)
40代男性・会社員です。現在、加入している保険は、終身保険が主契約で定期保険や入院・手術・成人病などの医療保障が特約として付帯されているパッケージ型の商品です。親に「社会人になったのだから保険くらい入っておきなさい」といわれ・・・>続きを読む
【第30話】がん保険の「定期型」と「終身型」はどう選ぶ?
2026年2月28日(土)
医療保険には加入していますが、がん保険には入っておらず、加入したいと思っています。インターネットで調べてみると、がん保険のほとんどは「終身型」のようです。現在、30代後半で、就学前の子どもが2人います。・・・>続きを読む
【第31話】「共済」と「保険」のがん保障はどう違う?
2026年5月28日(木)
30代のパート主婦です。出産後、生協の宅配を利用していて、子どもと一緒に共済にも加入しています。掛金が毎月1,000から2,000円と手軽ですし、ケガや病気の時の入院保障が欲しかったので、自分はこれで十分かなと思っています。ただ、最近、・・・>続きを読む
2026年6月 26-0121-12-001