がんにかかった今だから言えること 「がん」と「お金」と「がん保険」
がんにかかった今だから言えること 「がん」と「お金」と「がん保険」

AYA世代とは?AYA世代とがん保険

相談者

相談者:30代の独身女性です。2年前に乳がんと診断されました。ステージはT期で、早期発見できたのはよかったのですが、まだホルモン治療中で10年間治療をする予定です。未婚で、出産もしておらず、主治医のすすめで、妊孕性(にんようせい)温存のため卵子凍結をしました。治療費以外にこの維持費用がかかりますし、契約社員で収入や貯蓄も十分ではありません。今後、がんが再発・転移をした際のことが心配です。がん経験者でも加入できるがん保険はありますか?

黒田FP:原則として、一度がんと診断された場合、通常のがん保険やがんを保障する三大(特定)疾病保障保険には加入できません。ただし、例外として、「がん経験者向けがん保険」を取り扱っている保険会社もあります。また、告知や診査が不要の「無選択(無告知)型医療保険」や既往症のある方向けの条件を緩和した「引受基準緩和(限定告知)型医療保険」を利用する方法もあります。ただ、「AYA世代」と呼ばれる15歳から39歳の場合、相対的にがん罹患から長い期間の人生を過ごす可能性が高いわけですから、保険に加入する場合は保険料と給付のバランスをよく見極めることが重要です。

AYA世代のがん患者さんは年間2万人以上

がんは「老化の一種」とも言われる病気ですが、若いからといってがんにならないわけではありません。
私自身、40歳のときに乳がんに罹患しました。周囲からは「まだ若いのに・・・」と驚かれたものですが、ご相談者は、それよりもっと早い時期にがんを発症されたのですね。さぞ、ご本人もご家族も不安なお気持ちだったことでしょう。

一般的に、「小児がん」とは、15歳未満の子どもに発生するがんのこと。そして、15歳から30歳前後(欧米では15歳から39歳などの定義もある)の思春期・若年成人のがんの患者さんのことを、[Adolescent(思春期) and Young Adult(若年成人)]の頭文字をとって、「AYA(アヤ)世代」と呼んでいます。
統計(※1)によると、2009年から2011年にかけてのAYA世代のがん罹患率は15歳から19歳で14.2、20代で31.1、30代で91.1(人口10万人あたり)という結果となっています。(※2)これらの罹患率を日本全体の人口に当てはめると、1年間にがんと診断されるがんの数は15歳から19歳で約900例、20代で約4,200例、30代で約16,300例と推計されており、年間21,400例となっています。

今や、新たにがんと診断された患者さんは年間100万人近くにのぼりますが、全体に占めるAYA世代の割合は約2%とごくわずか。そのため、対策の遅れが指摘されてきました。しかしながら、2018年から2022年度まで実施される「第3期がん対策推進基本計画」の中に、ライフステージに応じたがん対策が盛り込まれたことで、AYA世代のがんに対する支援がクローズアップされるようになったのです。

※1:国立がん研究センターがん情報サービス「小児・AYA世代のがん罹患」(2022年6月29日確認)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html
※2:がんは通常、悪性の腫瘍を指すが、小児など若年のがん統計では良性・良悪不詳の脳腫瘍を合わせて含むことがある。ここでの罹患率は良性・良悪不詳の脳腫瘍を含む。

AYA世代のがんの特徴は?

では、AYA世代のがんにはどのような特徴があるのでしょうか?
前掲の同計画では、AYA世代のがんについて次のように言及されています。

(AYA世代は)診療体制が定まっておらず、また、小児と成人領域の狭間で患者が適切な治療が受けられないおそれがある。他の世代に比べて患者数が少なく、疾患構成が多様であることから、医療従事者に、診療や相談支援の経験が蓄積されにくい。また、AYA世代は、年代によって、就学、就労、生殖機能等の状況が異なり、患者視点での教育、就労、生殖機能の温存等に関する情報・相談体制等が十分ではない。心理社会的状況も様々であるため、個々のAYA世代のがん患者の状況に応じた多様なニーズに対応できるよう、情報提供、支援体制及び診療体制の整備等が求められている。

*出所:「がん対策推進基本計画(平成30年3月)」(厚生労働省)より一部抜粋、下線は筆者によるもの
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000196975.pdf

まず疾患構成が多様な点について、AYA世代はほかの世代に比べて患者数が少ないだけに、がん種が多岐にわたるのも当たり前のように感じます。ただ、罹患者のデータを分析した結果、かかりやすいがんの特徴もわかってきました。
2017年12月1日に開催された厚生労働省主催の「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」では、AYA世代の特徴について、次のように発表されています。

  • 若年世代、とくに25歳未満では、希少がんが多い
  • 25歳以上では、子宮がん、乳がん、消化器がんが増加
  • 造血器腫瘍については小児型と同じで白血病とリンパ腫が多い

*出所:厚生労働省「2017年12月1日 小児・AYA世代のがんの医療・支援のあり方検討会資料『思春期・若年成人(AYA)世代のがんの現状と課題』」国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科 清水千佳子
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000186548.pdf

もう少し詳しくみてみましょう。
【図表1】は、15歳から19歳、20歳から29歳、30歳から39歳までの年代別の罹患率が高いがん種の一覧です。
15歳から19歳は「白血病」が最も多く、これは14歳以下の小児がんと同じです。そして、20歳から29歳までは「胚細胞腫瘍・性腺腫瘍」、30歳から39歳までは「乳がん」が多くを占めるなど、年齢層によって、がんの種類が異なっていることがわかります。
30代のご相談者さんも罹患されたのは乳がんでしたね。また、20代、30代で上位にあがる子宮頸がんも20代後半から増え始めますので、若い女性にとっては要注意と言えます。

【図表1】AYA世代の罹患率が高いがん種

横スクロールできます

  1位 2位 3位 4位 5位
15歳~19歳 白血病
(24%)
胚細胞腫瘍・
性腺腫瘍
(17%)
リンパ腫
(13%)
脳腫瘍
(10%)
骨腫瘍
(9%)
20歳~29歳 胚細胞腫瘍・
性腺腫瘍
(16%)
甲状腺がん
(12%)
白血病
(11%)
リンパ腫
(10%)
子宮頸がん
(9%)
30歳~39歳 女性乳がん
(22%)
子宮頸がん
(13%)
胚細胞腫瘍・
性腺腫瘍
(8%)
甲状腺がん
(8%)
大腸がん
(8%)

( )内は全がんに占める割合
*参考:国立がん研究センターがん情報サービス「小児・AYA世代のがん罹患」の図表から一部抜粋のうえ、筆者編集

なお、「胚細胞腫瘍・性腺腫瘍」というのは、あまり聞き慣れないがんかもしれませんね。胚細胞腫瘍とは、原始生殖細胞という胎児のもととなる未熟な細胞が成熟する過程で発生するがんの総称で、発生する部位によって分類されます。
そして、性腺腫瘍とは、生殖腺から発生する胚細胞腫瘍であり、男性では精巣がん、女性では卵巣がんなどです。
いわゆる、「人口10万人あたり6例未満の「まれ」な「がん」、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題がほかに比べて大きいがん種」を「希少がん」(※)とも言いますが、胚細胞腫瘍も、新たに診断される人が、1年間に10万人あたり数人かそれ以下と少なく、希少がんの一つと言われています。
数年前に、10代の精巣がんの患者さんにお目にかかる機会がありました。これから抗がん剤治療を行う予定とのことでしたが、その当時は、AYA世代について知識があまりなく、「まだ大学生でこんなに若く、しかもデリケートな部位のがんに罹患されて、いろいろな面で、さぞおつらいだろう」と感じたのをよく覚えています。

※:国立がん研究センター 希少センター「さまざまな希少がんの解説」(2022年6月30日確認)
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/index.html

AYA世代のがんの社会経済的な問題は?

次に、AYA世代の社会経済的な問題について考えてみましょう。
主なものとして、就学や就労・結婚・出産などライフイベントにまつわるものや、医療費負担・交通費・QOLを維持するためにかかる費用、それを担保する収入・預貯金が少ない、民間保険に未加入といった経済的な問題などが挙げられます。
たとえば、医療費については、自治体の「乳幼児医療費助成制度」は0歳から15歳までが一般的です。そのため、AYA世代になると、医療費負担が3割となり、保険適用となる治療であっても経済的な負担は軽くありません。

ただし、前掲した基本計画でも明記されていますが(筆者下線部分)、AYA世代と一口に言っても、15歳から30歳代と対象が広く、年代によって個々の状況はさまざまです。特に、社会経済的な問題に関しては15歳から19歳の「A世代」、20代以降の「YA世代」に分けて整理するとよいかもしれません。

【図表2】は、AYA世代の治療中と現在の悩みについて調査した結果です。全体として、「今後の自分の将来のこと」に対する悩みが上位にあがっています。また、治療中は、A世代で学業(就学)、YA世代で仕事(就労)や経済的なことに関する悩みも多いことが伺えます。
実際の相談現場においても、A世代では、患者本人の親が40代から50代などと若く、医療費などについては、ほぼ扶養の範囲内です(ただし、子どもの医療費負担で親が困窮するケースもあり、その場合は親への支援も不可欠)。
そしてYA世代は仕事と治療あるいは育児と治療の両立、医療費負担など、ほかの世代のがん患者さんと同様のお金の悩みが増えてきます。

以前ご相談を受けた20代女性の子宮頸がんの患者さんが治療中の心境をこんな風に話してくださいました。
「同じ世代の友人が旅行に行ったり、おしゃれをしたり、おいしいものを食べたりしているのに、自分はそれをガマンして、少ないお給料から医療費をやりくりしなければ入院もできない。高齢の親は地方在住で、心配をかけたくないし、経済的にも頼れない。がんになったことは辛いけど、それ以上にお金の悩みが心配なんです」
まさにリアルながん患者さんの声ではないでしょうか。

【図表2】

横スクロールできます

調査期間:H26年6-11月

現在治療中(治療中の悩み 年齢別 上位5)
  全体
(n=213)
15~19歳
(n=33)
20~24歳
(n=22)
25~29歳
(n=33)
30~39歳
(n=119)
1位

今後の自分の将来のこと
(60.9%)

今後の自分の将来のこと
(63.6%)

今後の自分の将来のこと
(72.7%)

仕事のこと
(63.6%)

今後の自分の将来のこと
(57.1%)

2位

仕事のこと
(44.0%)

学業のこと
(57.6%)

仕事のこと
(50.0%)

今後の自分の将来のこと
(63.6%)

仕事のこと
(47.1%)

3位

経済的なこと
(41.5%)

体力の維持、または運動すること
(45.5%)

経済的なこと
(45.5%)

経済的なこと
(48.5%)

経済的なこと
(43.7%)

4位

診断・治療のこと
(36.2%)

診断・治療のこと
(42.4%)

診断・治療のこと
(40.9%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(48.5%)

家族の将来のこと
(42.0%)

5位

不妊治療や生殖機能に関する問題
(35.3%)

後遺症・合併症のこと
(36.4%)

後遺症・合併症のこと
(31.8%)

診断・治療のこと
(39.4%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(36.1%)

横スクロールできます

AYA発祥のがんサバイバー(現在の悩み 上位5)
  全体
(n=132)
15~19歳
(n=5)
20~24歳
(n=15)
25~29歳
(n=24)
30~39歳
(n=88)
1位

今後の自分の将来のこと
(57.6%)

今後の自分の将来のこと
(80.0%)

今後の自分の将来のこと
(80.0%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(54.2%)

今後の自分の将来のこと
(53.4%)

2位

不妊治療や生殖機能に関する問題
(45.5%)

後遺症・合併症のこと
(80.0%)

後遺症・合併症のこと
(53.3%)

今後の自分の将来のこと
(54.2%)

仕事のこと
(43.2%)

3位

仕事のこと
(40.9%)

学業のこと
(60.0%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(46.7%)

後遺症・合併症のこと
(50.0%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(42.0%)

4位

後遺症・合併症のこと
(34.8%)

不妊治療や生殖機能に関する問題
(60.0%)

仕事のこと
(40.0%)

がんの遺伝の可能性について
(45.8%)

体力の維持、または運動すること
(31.8%)

5位

体力の維持、または運動すること
(29.5%)

仕事のこと
(40.0%)

結婚のこと
(40.0%)

仕事のこと
(33.3%)

後遺症・合併症のこと
(25.0%)

*出所:厚生労働省「2017年12月1日 小児・AYA世代のがんの医療・支援のあり方検討会資料『思春期・若年成人(AYA)世代のがんの現状と課題』」国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科 清水千佳子
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000186548.pdf

2021年4月からAYA世代の妊孕性(にんようせい)温存への費用助成がスタート

さらに、【図表2】の悩みの一つに挙がっているのが「不妊治療や生殖機能に関する問題」です。
ご相談者は治療前に卵子凍結をされたとのことですが、AYA世代では、治療費以外に、このような妊孕性(にんようせい)(妊娠するための力)を温存する費用がかかる方も少なくありません。なぜなら、不妊治療と同じく基本的に全額自己負担の自由診療になるからです。

ただ、従来、高額な不妊治療に関しては自治体などによる「不妊に悩む方への特定治療支援事業」が実施され、一部の費用に対する助成が行われてきました。そして2022年4月からは、タイミング法や人工授精などの「一般不妊治療」や体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」が保険適用となっています(従来の助成制度は2021年度で終了)。
しかし、これらは既婚者(事実婚含む)のみが対象で、ご相談者のような未婚女性は適用が受けられません。
そこで2021年4月から、AYA世代などのがん患者さんの経済的負担を経験する目的で、国の小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性(にんようせい)温存療法研究促進事業が開始。2022年4月からは体外受精などの生殖補助医療も助成対象となっています(【図表3】参照)。

【図表3】妊孕性(にんようせい)温存療法に対する費用助成

横スクロールできます

対象治療 助成上限額/1回(※) 助成回数
未受精卵子凍結 20万円 2回まで
精子凍結 2.5万円 2回まで
精子凍結(精巣内精子採取) 35万円 2回まで
胚(受精卵)凍結 35万円 2回まで
卵巣組織凍結 40万円 2回まで
(組織採取時に1回、再移植時に1回)

※医療保険適用外費用の額が上限となります。助成上限額に関しては自治体によって異なる場合がありますので、詳細はお住いの自治体窓口にお尋ねください。
*厚生労働省「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性(にんようせい)温存療法研究促進事業」のリーフレットより一部抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/ninyoseiA4_s.pdf

残念ながら、ご相談者の場合は妊孕性(にんようせい)温存療法を受けたのが助成制度開始前のため、全額自己負担でした。最初に採卵した際に約20万円。その後、保存継続のための費用が毎年約5万円かかるといいます。
ご相談者いわく、「将来のために、卵子凍結できて良かったと思います。妊孕性(にんようせい)温存について、医療者から何も聞かなかった患者さんもいるそうですから。主治医がすすめてくださってラッキーでした。でも、結婚の予定はまだありません(苦笑)。50歳までは継続できると聞いていますが、お金のことを考えると何歳まで続けようか更新のたびに悩みます」
ちなみに、この維持費用は助成の対象外で、全額自己負担は続きます。

AYA世代のがん患者さんは「がん保険」に加入できる?

最後に、ご相談者のご質問のがん保険への加入についてご紹介しましょう。
AYA世代に関わらず、原則として一度がんと診断されると、通常のがん保険もしくは特定(三大)疾病保障保険には加入できません。
例外として、がん経験者向けがん保険が販売されていますが商品数は少なく、社名は差し控えますが筆者が確認する限り2022年6月現在、取り扱っているのは3社のみとなります。

ただし、すべてのがん経験者が加入できるわけではなく、罹患経験のある部位が「乳がん」のみや、「女性特有の所定のがん」のみ対象、「入院中でないこと」、「再発・転移がないこと」、「がん(悪性新生物)の治療を受けた最後の日から5年経過(がんの診断・治療を受けていないこと)」、「過去2年経過観察や追加検査をすすめられていないこと」など、加入条件が各社で設けられています。

ご相談者は、乳がん経験者ですので、加入できる可能性はあります。しかし現在もホルモン治療中のため、現在取り扱いのある保険会社どれにでも加入できるわけではなく、候補は限られてくる可能性があります。
また、リスクが高い分、通常のがん保険に比べて保険料は高くなりがちで、罹患リスクに応じて保険料が変動する保険会社もあります。

これらのがん経験者向けがん保険以外にも、がんの再発・転移やほかの疾病に備えたい場合は「無選択(無告知)型医療保険」や「引受基準緩和(限定告知)型医療保険」を利用する方法もあります。
図表4は、これら3つの選択肢の特徴などをまとめたものです。

【図表4】

横スクロールできます

種類 おもな特徴・ポイント 注意点
無選択(無告知)型
医療保険
・医師の診査・健康状態の告知は不要
・年齢制限などを満たせば、がん治療中でも加入できる
・保険料が割高
・既往症や現在治療中の疾病の保障は、契約日から一定期間(2年など)経過後から
・保険加入後90日間の疾病は保障の対象外
・商品数が少ない
・加入可能年齢が高め(40歳以上など)
引受基準緩和(限定告知)型医療保険 ・告知項目が一般的な保険に比べて少なく加入条件が緩やか
・がんが寛解(病状が落ち着いて安定した状態)していること
・完治した状態でなくでも申込みできる商品もある
・がんについては、入院や手術、治療などから5年経過が加入の目安
・保険料が割高
・加入後1年間は給付金等が1/2になる(支払削減期間を撤廃している商品もある)
・診断一時金やがん治療給付金など、特約も豊富だが、がん経験者の場合、別途告知が必要
がん経験者向け
がん保険
・がん経験者向けに開発されたがん保険 ・保険料が割高
・商品数が少ない

*筆者作成

とにかく大切なのは、「加入できる民間保険もある」という情報を知ること。「いる・いらない」を決めるのは、その後からで十分です。
がん医療が進歩しているように、保険会社もビッグデータを活用し、リスクの細分化や商品の改定や引受基準の見直しが進んでいます。
とりわけ、AYA世代は、がんに罹患してからの人生が長いだけに、「以前、検討したけれども加入できなかった」という方でも加入できる可能性があることを知っていただきたいと思います。
そのうえで加入する場合は、保障(補償)内容と保険料のバランスをよく考えてみること。あくまでもケースバイケースですが、ムリに割高な保険に加入しなくても再発・転移が心配なのであれば、生活習慣病の見直しや日々の健康管理などがん予防につとめ、預貯金などをコツコツ積み立てて「医療貯蓄」で備える方法が向いている方もいます。
そして、「がん経験者の自分でもどんな保険に加入できるのか?」「保険に加入したほうがよいのか?」「貯蓄で備えたほうが合理的なのか?」など、迷った場合は、ぜひともFPにご相談ください。

執筆年月日:2022年8月18日

執筆監修 黒田 尚子(くろだ なおこ)

執筆監修 黒田 尚子(くろだ なおこ)

CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士
一般社団法人患者家計サポート協会顧問
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
消費生活専門相談資格

執筆監修 黒田 尚子(くろだ なおこ)

CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
消費生活専門相談資格

富山県出身。立命館大学法学部修了後、1992年(株)日本総合研究所に入社、SEとしてシステム開発に携わる。在職中に、自己啓発の目的でFP資格を取得後に同社退社。1998年、独立系FPとして転身を図る。現在は、セミナー・FP講座などの講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験をもとに、がんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。近著に[がん患者(サバイバー)が教えてくれた本当のところ がんとお金の真実(リアル)](セールス手帖社保険FPS研究所)、[お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動](日経BP)など。

その他コラム

【第1話】もうそろそろ心配だけれど…「がん保険」って、入るべき?

【第1話】もうそろそろ心配だけれど…「がん保険」って、入るべき?
2020年8月11日(火)

正社員として働く30代女性です。結婚は、特に予定も願望もありませんが、子どもは欲しいと思っています。最近・・・>続きを読む

【第2話】遺伝性乳がんの疑いが…。乳房を予防的切除した場合、がん保険の補償は受けられる?

【第2話】遺伝性乳がんの疑いが…。乳房を予防的切除した場合、がん保険の補償は受けられる?
2020年10月13日(火)

先日、乳がんの告知を受けた40代の会社員です。これから、手術・入院、抗がん剤治療などを行う予定ですが、実は・・・>続きを読む

【第2話】最近のがん保険のトレンドと選び方

【第3話】最近のがん保険のトレンドと選び方
2020年10月29日(木)

40代男性の会社員です。妻と子どもが2人(小学生、中学生)います。健康には自信があるつもりでしたが、最近立て続けに同僚や友人ががんと診断され・・・>続きを読む

【第4話】がんにかかった時に本当に必要な保障とは?

【第4話】がんにかかった時に本当に必要な保障とは?
2020年12月18日(金)

現在、フリーのカメラマンとして働くアラフィフ女子です。仕事柄、重い機材を運んだり、ずっと立ちっぱなしだったり。カラダが資本なので、日ごろから健康には留意していますが、40代も後半になると、ムリが利かなくなり・・・>続きを読む

【第5話】もし、経済的な理由で、がん治療の変更を迫られたら…。〜がん治療にかかるお金と保険について〜

【第5話】もし、経済的な理由で、がん治療の変更を迫られたら…。〜がん治療にかかるお金と保険について〜
2021年2月5日(金)

先日、経済的な理由から、がん治療を変更せざるを得ない人がいるというニュースを見ました。日本は国民全員が何らかの公的医療保険に加入していて、医療費が高額になった時にも高額療養費制度が使えると聞きます。実際、・・・>続きを読む

【第6話】まだ若いから大丈夫?がん保険はいつ加入したらいい?

【第6話】まだ若いから大丈夫?がん保険はいつ加入したらいい?
2021年3月9日(火)

昨年結婚した、30代の会社員です。夫は、独身の頃から医療保険や個人年金に加入しているようなのですが、自分はまったく保険に加入していません。これを機に、検討したいと思って・・・>続きを読む

【第7話】就業不能保険とがん保険

【第7話】就業不能保険とがん保険
2021年5月12日(水)

30代男性・独身です。新卒でIT企業に入社しましたが数年前に退職し、現在はフリーランスでWeb制作などを請け負っています。年収は約800万円です。でも、ここから税金や社会保険料・経費などを支払うと・・・>続きを読む

【第8話】ライフステージ別のがん保険の選び方

【第8話】ライフステージ別のがん保険の選び方
2021年5月21日(金)

保険に加入する際には、「ライフステージ別に保険を見直すとよい」などと聞きます。そもそもライフステージとは何ですか?がん保険も同じようにライフステージが変わった場合に見直したほうがよいのでしょうか?・・・>続きを読む

【第9話】ライフステージ別のがん保険の選び方

【第9話】がん保険とがん団信は、どう違う?どう選ぶ?
2021年9月3日(金)

30代の会社員です。昨年結婚をして、現在マイホームの購入を検討中です。結婚直後に、共働きの妻と一緒に勤務先の団体保険で、死亡保障と医療保障を確保しましたが、がん保険はまだ早いと思って加入しませんでした。でも、住宅ローンをいろいろ調べているうちに、がん団信付きのものを選んだほうがよいのかなと思い始めて・・・。>続きを読む

【第10話】「光免疫療法」はがん保険の給付の対象になる?

【第10話】「光免疫療法」はがん保険の給付の対象になる?
2021年10月11日(火)

40代男性です。昨年父を肺がんで亡くしました。父はがん保険に加入していたのですが、ずいぶん前に加入した保険だったので、受け取れたのは最初にがんが見つかったときの診断給付金50万円のみ。足りなかったと痛感しています。・・・>続きを読む

【第11話】検査する前に知っておきたいがん検診とがん保険の関係

【第11話】検査する前に知っておきたいがん検診とがん保険の関係
2021年12月2日(木)

先日、ネットでタレントさんが、尿で簡単にがんかどうかがわかる検査を受けたというニュースを見ました。まだ30代ですが、父が数年前にがんで亡くなっていますし、結婚して子どももいます。でも、コロナ禍でがん検診にはなかなか行きにくい。・・・>続きを読む

【第12話】がんのステージ(病期)で治療費はどう変わるのか?

【第12話】がんのステージ(病期)で治療費はどう変わるのか?
2022年1月26日(水)

正社員として働くアラフィフ女子です。独身で子どももいません。マンションは10年前に購入し、仕事も順調です。今の心配事といえば、老後のことくらいです。でも、最近、身近な同年代の友人・知人が立て続けに乳がん、大腸がんになりました。・・・>続きを読む

【第13話】男女別がん保険の考え方(女性編)

【第13話】男女別がん保険の考え方(女性編)
2022年4月20日(水)

夫は会社員、私はパートで働いています。二人とも40代前半ですが、結婚が遅かったため、子どもはまだ5歳で、これから教育費もかかりますし、マイホームも購入するつもりです。・・・>続きを読む

【第14話】男女別がん保険の考え方(男性編)

【第14話】男女別がん保険の考え方(男性編)
2022年5月10日(火)

50代前半のフリーランスです。以前は会社員でしたが、約10年前に独立し、Web制作などを行っています。妻は4歳年下で、正社員として勤務していましたが、昨年、乳がんと診断を受け、現在も治療を続けています。・・・>続きを読む

【第15話】AYA世代とは?AYA世代とがん保険

【第15話】AYA世代とは?AYA世代とがん保険
2022年8月9日(火)

30代の独身女性です。2年前に乳がんと診断されました。ステージはT期で、早期発見できたのはよかったのですが、まだホルモン治療中で10年間治療をする予定です。・・・>続きを読む

【第16話】がん保険に「患者申出療養」への備えは必要か?

【第16話】がん保険に「患者申出療養」への備えは必要か?
2022年11月1日(火)

50代男性です。これまでがん検診などでは異常を指摘されたことはありませんが、妻が乳がんになったことをきっかけに3年前からがん保険に加入。がん診断一時金や抗がん剤治療など通院治療に対する給付金も支払われます。・・・>続きを読む

【第17話】がん保険に「患者申出療養」への備えは必要か?

【第17話】がん保険に加入しても保険金が受け取れない!?90日の「待機期間(待ち期間)」とは?
2022年12月22日(木)

先月、がん保険に加入したばかりです。加入した時はまったく体調に問題はなかったのですが、最近、胸にしこりがあるような気がしてなりません。現在43歳で、自治体のがん検診は定期的に受けています。・・・>続きを読む

【第18話】リスク高まる60代以降の高齢者に「がん保険」は必要か?

【第18話】リスク高まる60代以降の高齢者に「がん保険」は必要か?
2023年3月14日(火)

先月、子宮頸がんと診断された20代の会社員です。医療保険には入っており、入院や手術の給付金を受け取りましたが、診断一時金や通院保障などはなく、やっぱり、がん保険も入っておけば…と後悔しています。・・・>続きを読む

【第19話】本当にがん保険は不要?がん治療の「経済毒性」とがん保険の役割

【第19話】本当にがん保険は不要?がん治療の「経済毒性」とがん保険の役割
2023年5月18日(木)

10年前から御社の「SBI損保のがん保険」に加入しています。保険料が割安で自由診療も含めて幅広く補償が受けられる点に魅力を感じて契約しました。ただ、50代も半ばになり、保険を見直して、老後に備えて貯蓄や資産運用に回したほうがよいのではと悩んでいます。・・・>続きを読む

【第20話】がん患者のアピアランスケアとがん保険

【第20話】がん患者のアピアランスケアとがん保険
2023年9月21日(木)

先日、美容院に行った際、「ヘアドネーション」のチラシを目にしました。小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで、頭髪を失ったお子さんのために寄付された髪の毛でウィッグを作り、無償で提供する活動だそうです。このような取り組みがあることを初めて知りました。・・・>続きを読む

【第21話】「がん遺伝子パネル検査とがん保険」

【第21話】がん遺伝子パネル検査とがん保険
2023年12月12日(火)

50代男性です。先日、会社の同期が肺がんと診断されました。ステージWでほかの臓器に転移している状態のため、薬物療法を受けるそうです。でも、まだ体力がある間に、がん遺伝子パネル検査を受けようか悩んでいると言っていました。・・・>続きを読む

【第22話】「〜子宮頸がんとがん保険〜子宮頚部の異形成と診断!がん保険には加入できる?」

【第22話】〜子宮頸がんとがん保険〜子宮頚部の異形成と診断!がん保険には加入できる?
2024年3月19日(火)

20代独身の会社員です。先日受けた子宮頸がん検診で要精密検査の通知が届き、婦人科で検査を受けたところ、「中等度異形成」と診断されました。医師からは、がんではないと言われています。・・・>続きを読む

2022年7月 22-0175-12-001