自動車保険〜クルマの貸し借り、保険はどうするの?

借りている車を運転している最中に事故をおこしてしまったら・・・、どうしたらいいのでしょう。
誰がその損害を賠償しなければならないのでしょうか。自分の加入している自動車保険で対応できるのでしょうか。ここでは、他人の車で事故を起こした時の対処の仕方や自動車保険について解説していきます。

 

他人の車を運転するときはどんな時?

他人の車を運転するときはどんな時?

ゴールデンウイークや夏季休暇の行楽シーズン、仲間同士で運転を交代しながら出かけることもあるでしょう。またお盆や年末年始などで、実家に帰省した時に親の車を運転することもよくある例です。(血縁関係があっても、あなたが親御さんと別居で、既婚者の場合、自動車保険においては「家族」の範囲に含まれず、「他人」とみなされます。)
このように、他人の車を運転する機会は、年間を通して意外とあるものです。はたして気軽に運転を代わったり、車を貸し借りして、いざという時は大丈夫なのでしょうか。

賠償責任を負うのは誰?

賠償責任を負うのは誰?

他人の車を運転中に事故を起こした時、まずどうしたらいいのでしょう。
一般的に、交通事故を起こしてしまったときは3つの義務があります。1つ目は「救護義務」。事故の相手や運転していた車の同乗者にけがはないのか確認し、けがをしていれば救護する義務です。怠ると、救護義務違反となり罰せられます。そして2つ目の義務は「危険防止措置義務」。事故を起こしてしまったあと、第2第3の事故を起こさないために、車の誘導など危険を防止する義務です。3つ目は「警察に報告する」義務です。1つ目、2つ目の義務を行ったうえで、警察に報告することが重要です。事故状況を知らせるため、可能であれば現場の写真を撮っておくと、後で役に立つかもしれませんね。ここまでは、運転していた車が自分の車でも他人の車でも、同様に行わなければならないことです。

そして保険会社へ連絡をする時・・・、そもそも賠償責任は、運転者と車の貸主のどちらにあるのでしょうか。他人の車を運転中の事故の場合、運転者に損害賠償責任が生じます。さらに、自動車損害賠償保障法(自賠法)に定める「運行供用者責任」の考え方により、車の貸主にも損害賠償の責任が生じます。(ただし物損事故の場合は、車の所有者に賠償責任はおよびません。)

貸主の保険を使う場合

賠償責任を負うのは誰?

自動車保険とは、車にかける保険です。そのため、他人が運転していて起こした事故であっても、車の持ち主=貸主の保険を原則として使用することになります。それでは貸主の保険についてご説明していきます。

○貸主の自賠責保険

自動車保険には、「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」の2種類があります。
「自賠責保険」は法律で加入が義務付けられているため、強制保険とも言われており、被害者が死傷した場合に保険金が支払われます。ですが、自賠責保険は補償の対象が人身事故のみであり、また補償金額の上限も決まっているため、それを超える損害に対しては任意保険で備える必要があります。

○貸主の任意保険

つづいて「任意保険」です。任意保険は人身事故だけでなく、物損事故もカバーすることが可能です。ただし、「運転者限定」や「年齢条件」など、補償の対象となる運転者を制限して加入している場合、他人が運転して起こした事故は補償の対象外となることがあります。
また、任意保険は「ノンフリート等級制度」という、事故歴に応じて保険料の割増引をする制度があります。そのため、保険を使うことによって、等級が下がり、翌年の保険料が高くなってしまうことがあります。

運転者の保険を使う場合

運転者の保険を使う場合

運転者の自分が起こした事故なのに、貸主の自動車保険料がアップしてしまうのは申し訳ないので、自分(運転者)の保険を使いたい・・・、そんな時、運転者の保険に下記の特約が付いているか確認しましょう。

他車運転特約」です。

SBI損保では「他の自動車運転危険補償特約」といいます。
この特約は、他人の車を借りて起こした事故の際、車の貸主の保険よりも運転者の保険を優先して使用することができます。基本的にはどこの会社の自動車保険でも自動付帯されている特約ですが、念のためご自身の保険にも付帯されているかどうか確認してみてください。

他車運転特約の補償範囲

運転者の保険を使う場合

借りた車の運転中のリスクに備えることができる心強い本特約ですが、補償を受けるには条件があります。

ここからは、SBI損保の「他の自動車運転危険補償特約」の場合についてご説明していきます。保険会社によって補償内容や適用条件は異なりますので、必ずご加入中の保険会社にご確認ください。

○補償される事故

他車運転特約は、対人事故・対物事故・自損事故・車両事故に対して、運転者の保険から保険金が支払われます。

  1. 歩行者、相手の車の搭乗者の方などを死傷させてしまった場合の賠償責任(対人賠償保険)
  2. 相手の車や自転車、ガードレールや街灯などを破損させてしまった場合の賠償責任(対物賠償保険)
  3. 借りた他人のお車の損害(車両保険)(※1)
  4. 借りた他人のお車使用中の自損事故によるケガなど(自損事故保険)(※2)

(※1)運転者の加入している保険に車両保険がセットされている場合にのみ補償されます。

(※2)相手がいない事故や相手方に過失がない事故で、自賠責保険や人身傷害補償保険から補償が受けられない場合に補償します。

なお、他車運転特約は「走行中の事故」であるときにかぎり補償されます。駐車、停車中にぶつけられた場合などは補償の対象外となるので注意が必要です!(赤信号や踏み切り、渋滞などによる、走行中の一時的な停車は「走行中」に含まれるので、これらの場合は補償の対象となります。)

他車運転特約

駐車、停車中にぶつけられた!

「走行中の事故」ではないので補償の対象外!

○補償の対象となる用途・車種

他車運転特約は、他人の車が下記の「自家用8車種」に該当する場合に使用できます。

  1. 自家用普通乗用車
  2. 自家用小型乗用車
  3. 自家用軽四輪乗用車
  4. 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
  5. 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
  6. 自家用小型貨物車
  7. 自家用軽四輪貨物車
  8. 特種用途自動車(キャンピング車)

上記用途・車種以外の車を借りて運転した場合、運転者の保険に他車運転特約が付いていても補償の対象とはなりません。
また「他人の車」は、記名被保険者、配偶者、またはその同居の親族が所有、常時使用する車は含まれませんので、こちらも注意が必要です。

他車運転特約

バイクを借りた

「自家用8車種」ではないので補償の対象外!

同居している子供の所有する車を親が借りた

「他人の車」ではないので 補償の対象外!

○補償の対象となる運転者の範囲

他車運転特約の対象となる方は、運転者が下記の場合です。

  • 記名被保険者
  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
  • 記名被保険者またはその配偶者と別居の未婚の子(婚姻歴のない方)

また、年齢条件や運転者限定割引によりそもそも補償対象に含まれない方は、前記に該当する方であっても当該特約の補償対象となりません。

このように、基本は自動付帯の他車運転特約ですが、条件によっては補償されないこともあります。いざという時に貸主に迷惑をかけないよう、運転者となる借主はきちんと自分の保険を確認しておきましょう。

車を持っていない場合は、ドライバー保険がおすすめ

「自動車保険」は、車を所有していることが前提となりますので、そうでない方は加入することができません。自分で車は持っていないけれど、他人の車を運転する機会はある、という方には「ドライバー保険」がおすすめです。他人の自動車を借用し、運転中に起こった事故について補償され、運転免許証をお持ちの方がご契約いただけます。

1日単位で加入できる自動車保険もあります

SBI損保ではお取り扱いしておりませんが、24時間単位で加入できる自動車保険もあります。ワンコインから必要な日数だけ加入できるものが多いので、短期間他人の車に乗る場合は、検討してもよいでしょう。ですが、加入できる日数に制限があること、また人身傷害補償が付かない場合もあるので、補償内容には十分注意しましょう。

まとめ

他人の車で事故を起こしてしまうと、事故の相手だけでなく車の貸主にも損害を与えてしまいます。いざという時に誰の保険を使用するのか、またその保険の特約および補償内容で対応ができるのか、車の貸し借りをする前に、必ず確認しましょう。急ぎの際は、コンビニで24時間加入できる1日保険を活用するのも一案です。車で旅行や帰省などの際に、安心して他人の車を運転することができるよう、このコラムをぜひ参考にしてみてください。

ファイナンシャルプランナー高杉雅紀子

高杉 雅紀子(たかすぎ まきこ)

生命保険会社8年、工務店13年勤務経験を活かして、お客様第一に考えるFPとして活動しています。保険、住宅ローン、住宅資金計画、自営業向けの老後資金に詳しく執筆や地域でのセミナーで情報提供をしています。主婦・母・自営業の嫁の立場がわかることから、様々な立場の人を応援するFPを目指しています。