自動車の運転免許証は有効期限があるため、定期的に更新が必要です。定められた期間内に更新手続きを行わなかった場合、運転免許証は失効してしまいます。そのため、運転免許証の更新期間を正確に把握したうえで、所定の更新手続きを確実に行うことが大切です。
この記事では、運転免許証の更新期間や、運転免許証更新のお知らせはがき(以下、通知はがき)を紛失した場合の対応について解説します。更新手続きを忘れてしまった場合の対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
運転免許証の更新期間は、誕生日の前後1か月
運転免許証の更新期間は、有効期限が切れる直前の誕生日の前後1か月です。たとえば、2024年に運転免許証を更新する場合、誕生日が6月1日の方であれば、更新期間は2024年5月1日から7月1日までの2か月間となります。この期間内に更新手続きを行わないと運転免許証が失効してしまうため、忘れずに更新手続きを行わなくてはなりません。
運転免許証の有効期限の最終日が土日や祝日、年末年始(12月29日から1月3日)に該当する場合には、次の平日までが有効期限となります。更新手続きを行う際には、指定の警察署や運転免許更新センター、運転免許試験場へ出向くことになりますが、土日・祝日・年末年始はこれらの機関で更新手続きを受け付けていないからです。
なお、やむをえない事情で更新期間に手続きができないことが事前にわかっている場合、誕生日の1か月以上前に手続きを行うことも可能です。
通知はがきを失くした・届かなかった場合の運転免許証の更新方法
運転免許証の更新期間が近づくと、公安委員会から通知はがきが送られてきます。目安として、誕生日の35日程前に通知はがきが届くのが一般的です。
通知はがきには更新手続きが可能な期間と場所のほか、手続きに必要な書類などの詳細が記載されているので、紛失しないようにしましょう。
また、運転免許証の更新手続きの際には、原則として通知はがきを提出することになっています。必要なものは下記のとおりです。
<運転免許証の更新手続きに必要なもの>
- ・運転免許証
- ・通知はがき
- ・眼鏡、補聴器(必要な場合)
- ・更新手数料
- ・高齢者講習終了証明書など(70歳以上の方)
- ・在留資格を確認できる書類(外国籍の方)
なお、2024年2月1日より、東京、千葉、愛知などの一部地域では、運転免許証の更新手続きが予約制となりました。予約が必要な地域においては、上記の持ち物に加えて、「予約完了画面」または「受付番号」が必要です。
免許不携帯で運転してしまった場合の罰則については、下記のページをご覧ください。
運転免許証不携帯とは?免許証を忘れたときの反則金や点数は?通知はがきを紛失した場合は再発行が必要?
公安委員会から届いた通知はがきを失くしてしまった場合、再発行の手続きは必要ありません。警察署や運転免許更新センターなどで、通知はがきを紛失したことを伝えれば手続きを進めることができます。
更新手続き当日に通知はがきを忘れた場合も同様です。通知はがきを忘れた旨を受付時に伝えれば、通常どおり更新手続きを進めてもらうことができます。
ただし、通知はがきには運転免許証の更新期間や手続きの場所、当日必要なものなど、重要な情報が記載されています。通知はがきの紛失は運転免許証の更新手続きを失念する要因の1つにもなりかねないため、失くさないように確実に保管しておくことが重要です。
通知はがきが届いていないときはどうすればいい?
通知はがきが届かない理由として、転居した際に運転免許証の住所変更手続きをしていなかったケースと、公安委員会による発送ミスのケースが想定されます。
まずは公安委員会や運転免許更新センターに問い合わせ、通知はがきが届いていないことを伝えます。発送ミスが原因であれば、すみやかに発送の手配をしてくれるはずです。
ただし、問い合わせてから通知はがきが届くまでには、日数がかかるケースがほとんどです。更新期限が近づいている場合や、更新手続きを行いたい時期が近い場合には、通知はがきを持たずに更新手続きを行ったほうがいいでしょう。
なお、運転免許証に記載されている住所が変わった場合には、更新手続きの際に住所変更手続きも併せて行えます。本来、運転免許証に記載の住所は、居住地と一致している必要があることから、転居した際にはすみやかに住所変更手続きを行うことが大切です。
運転免許証の更新手続きとともに住所変更手続きを行うのは、あくまでも更新の時点まで住所変更をしていなかった場合に限られます。
運転免許証の更新期限が過ぎた場合の再取得の条件
運転免許証は、更新期限を過ぎてしまった場合、失効してしまいます。その際、運転免許証が失効した理由や失効後の経過期間によって、再取得の可否が異なる点に注意が必要です。どのような場合に運転免許証を再取得できるのか、ケース別に見ていきましょう。
やむをえない理由で運転免許証が失効してしまった場合
海外旅行や入院などのやむをえない事情により更新期限を過ぎてしまい、運転免許証が失効した場合には、失効後6か月以内であれば再取得が可能です。また、失効後6か月以上3年以内の場合、やむをえない理由が終わった1か月以内なら再取得ができます。
いずれのケースにおいても、再取得時に必要となるのは適性試験のみで、学科試験と技能試験は免除されます。再取得の手続きを行う際には、やむをえない理由を証明する書類が必要です。具体的な書類の例は後述します。
なお、運転免許証の有効期限が過ぎてから3年を超えた場合は、再取得のための救済措置はありません。したがって、運転免許証を取り直すことになります。
自分のミスで運転免許証が失効してしまった場合
運転免許証の更新を忘れていたなど、自分のミスによって失効してしまった場合は、失効した日から6か月以内であれば再取得の手続きが可能です。再取得時に受ける必要があるのは適性検査のみとなり、学科試験と技能試験は免除されます。
また、運転免許証が失効した日から6か月以上1年以内であれば、仮免許証を取得できます。仮免許証はあくまでも、路上教習を実施するために交付される免許証であり、正式な運転免許証ではありません。
よって、本免許証を取得するには、所定の路上教習を実施したのち、学科試験・技能試験・みきわめ・効果測定・卒業検定(技能試験)を経て、本免許証が交付されます。
運転免許証が失効した日から1年以上経過している場合には、再取得のための救済措置はありません。したがって、運転免許証を取り直す必要があります。
2001年6月19日以前にやむをえない理由が発生し、失効後3年を超えた場合
2001年6月20日に一部改正された道路交通法の公布により、2001年6月19日以前にやむをえない理由が発生し、運転免許証の失効後3年を超えた場合には、その理由が解消された日から1か月以内であれば再取得が可能です。
たとえば、2000年4月に海外赴任が始まり、同年12月に運転免許証が失効して2024年8月に帰国した場合、帰国後1か月以内に手続きを行えば失効した免許証を再取得できます。この場合、適性試験と学科試験のみ行われ、技能試験は免除となります。
なお、再取得の手続きには、やむをえない理由を証明する書類の提出が必要です。ただし、書類が受理されず、救済措置が適用されない場合があります。
たとえば、海外赴任や長期入院を証明する書類に必要な日付や情報が不足していたり、提出期限が過ぎてしまっていたりする場合には、再取得手続きが認められない可能性があります。2001年6月19日以前に発生した事由であれば、どのような事情であっても考慮されるわけではない点に注意してください。
運転免許証の更新期間と再取得期限(誕生日:6月1日 更新年:2024年)
*「運転免許証の有効期限が過ぎてしまった方へ(失効手続等)」(警視庁)
(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshin/shikko/index.html)を参考にして作成。
運転免許証の再取得手続きが認められる正当な理由とは?
前述のとおり、運転免許証が失効した際に再取得が可能かどうかは、やむをえない理由によるものか否かが重要なポイントとなります。
運転免許証が失効してしまった際、再取得を申請するときに正当な理由として認められるのは次のようなケースです。
<運転免許証の再取得手続きが認められる理由の例>
- ・長期にわたる海外渡航(海外旅行、海外留学、海外出張など)
- ・病気やけがなどによる入院
- ・在監など何らかの理由による身体の拘束
- ・地震や洪水などの災害
- ・その他、公安委員会がやむをえないと認める事情
いずれも、本人の不注意や認識不足によるものではなく、更新手続きを行うための手段がなかったことが客観的に認められるケースといえます。個人的な事情や不注意に起因する場合は、やむをえない理由とは認められない点に注意が必要です。
たとえば、「仕事が多忙で時間を確保できなかった」「通知はがきを確認していなかった」「更新期間を勘違いしていた」などの理由は認められません。
運転免許証の再取得手続きが認められる理由
*「運転免許の期限切れ手続き(やむを得ない理由がなく、失効後6か月を超え1年以内)」(熊本県警察)
(https://www.pref.kumamoto.jp/site/police/8752.html)を参考にして作成。
*「運転免許証の有効期限が過ぎてしまった方へ(失効手続等)」(警視庁)
(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshin/shikko/index.html)を参考にして作成。
やむをえない理由を証明する書類の例
やむをえない理由により運転免許証の更新期間に所定の手続きを行えなかった場合、その理由を証明する書類を提出する必要があります。証明書の例は下記のとおりです。
<運転免許証の再取得手続きに必要な証明書類の例>
- ・診断書:病状や入院などの事情がわかる診断書の原本(入院の場合は入院期間が明記されているもの)
- ・パスポート:出入国年月日が確認できる原本、または出入国管理庁の記録
- ・在所証明書:拘束されていたことを証明する書類の原本
- ・乗船履歴証明書・船員手帳:船舶名や乗船期間を証明する書類・船員としての履歴や健康証明などが記録された手帳
- ・公安委員会事情失効理由証明(確認)書:運転免許の失効理由について正式に証明する書類
なお、パスポートの場合は、スタンプ(出入国記録)が押されている必要があります。自動ゲートを利用したことによりスタンプの押印が省略された場合には、出入国年月日が確認できる書類が別途必要です。具体的には、下記に挙げるような書類が該当します。
<出入国年月日が確認できる書類>
- ・在外公館が発行する在留証明
- ・申請者の勤務先が発行する駐在証明
- ・申請者の氏名が記載された航空機関係の記録(搭乗券の半券、搭乗証明書、印刷したeチケット)
- ・申請者の氏名が記載されたマイレージの履歴を印刷したもの
運転免許証の有効期間は、運転者の分類によって変わる
運転免許証は、運転者の分類ごとに色や有効期間が異なります。それぞれの分類に対応する運転免許証の色や有効期間は下記のとおりです。
運転者の分類別・運転免許証の有効期間
運転者の分類 | 色 | 有効期間 |
---|---|---|
新規取得者 | グリーン | 3年 |
一般運転者 | ブルー | 5年 |
一般運転者(70歳) | ブルー | 4年 |
一般運転者(71歳以上) | ブルー | 3年 |
初回更新者 | ブルー | 3年 |
違反運転者 | ブルー | 3年 |
優良運転者 | ゴールド | 5年 |
優良運転者(70歳) | ゴールド | 4年 |
優良運転者(71歳以上) | ゴールド | 3年 |
*「運転免許証の色、種類・有効期限について」(千葉県警)
(https://www.police.pref.chiba.jp/menkyoka/licence_update-about.html)を参考にして作成。
運転免許証を初めて取得した方には、通称「グリーン免許」が交付され、有効期間は3年となります。
「ブルー免許」は一般運転者、運転免許証を初めて更新する方、違反運転者に交付される免許証です。一般運転者とは5年以上継続して免許証を保有し、過去5年間に3点以下の軽微な違反が1回以下の方が該当します。
一方、過去5年間に違反歴(3点以下の軽微な違反が1回の方以外)や事故歴がある方は違反運転者に該当します。同じブルー免許でも、違反の回数や運転者の年齢によって有効期間が異なる点に注意する必要があります。
なお、「ゴールド免許」は、過去5年間に無違反でけがのある事故などを起こしていない優良運転者に交付される運転免許証です。有効期間は通常5年ですが、優良運転者が70歳の場合は4年、71歳以上の場合は3年となります。
運転免許証と保険料の関係については、下記のページをご覧ください。
自動車保険はゴールド免許で保険料が割引に〜免許証の色が変わったときの疑問も解決〜運転免許証を適切に更新し、ゴールドに変わったら保険の見直しを
運転免許証の更新期間は、誕生日の前後1か月です。基本的にはこの期間内に更新手続きを行わなければ、運転免許証が失効してしまいます。更新時期が記載された通知はがきが届いた際には大切に保管し、更新期間内に手続きを行うことが大切です。通知はがきを紛失した場合にも、運転免許証の更新手続きそのものは可能です。
仮に、更新期間内に手続きを行わなかったことで運転免許証が失効しても、所定の期間内であれば再取得の手続きを行うことはできます。
ただし、通常の更新手続きに比べて手間がかかるうえ、状況によっては適性試験や学科試験などを再度受けるケースもあります。運転免許証に記載されている有効期限を確認し、誕生日の1か月前後は更新手続きのための時間を確保しておくなど、失効を防ぐための対策を講じることが大切です。
なお、運転免許証を更新し、無違反の状態が続いてゴールド免許(優良運転者)を取得すると、有効期間が延びるだけでなく、自動車保険の保険料が割引になるケースもあります。運転免許証の色がブルーからゴールドに変わったときは、自動車保険を見直すのに適したタイミングです。
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執筆年月日:2024年11月5日