電気自動車をフル充電した場合、その航続距離(走行距離)はおおよそ200kmから500kmが目安です。ガソリン車は燃料タンクを満タンにすると500km以上走れることが多いため、電気自動車の航続距離の短さが気になる方もいるでしょう。
ただし、車の使い方にマッチした航続距離があれば、大きな問題ではありません。この記事では、電気自動車の航続距離に関して押さえておきたいポイントと、代表的な電気自動車の航続距離について解説します。
- * 記事の内容は2024年7月時点のものです。
目次
電気自動車の航続距離(走行距離)とは
電気自動車における航続距離とは、バッテリーを満充電にした状態で走行可能な最長距離のことです。航続距離は搭載されているバッテリーの容量やドライバーの運転の仕方、走行環境などによって変動します。そのため車選びでは、航続距離の大まかな目安を把握しておくことが大切です。
電気自動車の航続距離(走行距離)はどれくらい?
電気自動車の航続距離は車種によってさまざまですが、大まかに200km程度と400kmから600km程度に分けられます。軽自動車などの小型の電気自動車の場合は、買い物や通勤・通学などの日常使いを想定しているため航続距離は200km前後が一般的です。
一方で、400kmから600km程度の航続距離のモデルは大容量のバッテリーを搭載しており、長距離移動に向いていることから遠出やレジャーなど幅広い用途で活躍します。
車の使用用途は人それぞれで、1日に走行するのが20km程度の方もいれば、200km以上走行する方もいるでしょう。電気自動車を購入するときは、自分自身の使用用途に合わせて航続距離を選択することが大切です。
ガソリン車との航続距離(走行距離)の違いは?
技術の発展により、電気自動車の最大航続距離は長くなっていますが、まだガソリン車には追いついていません。ガソリン車の航続距離は、500km以上確保されていることが一般的です。
また、燃料補給のためのガソリンスタンドが多く、給油時間も短いことからガソリン車は利便性も高いといえます。電気自動車がガソリン車と同等の利便性を持つためには、充電施設の充実やバッテリーの技術革新が欠かせないでしょう。
電気自動車のカタログ値と実際の航続距離(走行距離)
電気自動車の航続距離は、「一充電走行距離」としてカタログに記載されています。ただし、これは1つの指標であり、必ずその距離を走行できるわけではありません。実際の航続距離は、カタログ値の7割程度とされています。
実際の航続距離が短くなる理由としては、外気温によるバッテリー性能の低下や、エアコンやオーディオなどの電装品の使用が挙げられます。また、登り坂が多かったり道路が渋滞していたりなど、走行環境が悪条件の場合は電力の消費量が多くなるので航続距離は短くなってしまうのです。
電気自動車に必要な航続距離(走行距離)
電気自動車にどの程度の航続距離が必要なのかは、ライフスタイルによって異なります。ここでは、車の使用目的別に、必要な航続距離の判断基準について解説するので参考にしてください。
日常使いなら200kmあれば十分
車の日常使いにおける代表的な例には、通勤や通学、お子さまの送迎などが挙げられるでしょう。また、食材や生活雑貨などの買い物も日常で車を使用するよくあるシーンです。このように一日で数十km程度しか走行しない場合は、航続距離が200km前後でも十分といえます。
また、市街地にお住まいの場合は充電施設が比較的利用しやすく、航続距離が短い電気自動車でもさほど問題になりません。ただし、地域によっては充電インフラが整っていない場合もあるので、購入前に調べておくことを推奨します。
頻繁に遠出をするなら400km以上を選択
遠くへ出かけることが多い場合は、航続距離が400km以上あると充電をはさむ頻度が少なくなります。片道100km程度であれば、充電なしで帰ってこられるでしょう。航続距離のカタログ値が400kmの場合、実際の航続距離は7割の280kmほどです。日常使いにおいて距離が遠い場所に通勤や通学する場合も、航続距離が400km以上あると安心して運転できます。
片道で数百kmある場合は、充電切れになる可能性が高いため、事前に充電スポットを確認しておきましょう。その場合、到着予定時刻に間に合うよう充電にかかる時間も考慮することが大切です。
代表的な電気自動車の航続距離(走行距離)一覧
ここでは、国産と輸入車に分けて、販売されている電気自動車の航続距離を紹介します。自分自身の車の使用シーンに照らし合わせつつ、車選びの参考にしてください。
国産電気自動車の航続距離(走行距離)
代表的な国産電気自動車の航続距離は以下のようになっています。カタログ値ですので参考程度にご覧ください。
車種 | 航続距離 (一充電走行距離:WLTCモード) |
バッテリー容量 (総電力量) |
---|---|---|
トヨタ・ bZ4X |
487km〜567km | 71.4kWh |
日産・ リーフ |
400km | 40kWh |
日産・ アリア |
460km〜640km | 66kWhもしくは91kWh |
日産・ サクラ |
180km | 20kWh |
ホンダ・ Honda e |
259km | ― |
- * 2024年7月時点の情報
輸入電気自動車の航続距離(走行距離)
輸入電気自動車の購入を検討している方もいるでしょう。代表的なモデルの航続距離は以下のとおりです。
車種 | 航続距離 (一充電走行距離:WLTCモード) |
バッテリー容量 (総電力量) |
---|---|---|
テスラ・Model3 | 573km〜706km | ― |
BMW・iX3 | 517km | 80kWh |
メルセデスベンツ・EQB | 468km〜557km | 66.5kWhもしくは70.5kWh |
ボルボ・ C40 Recharge |
484kmもしくは502km | 69kWhもしくは78kWh |
フィアット・500e | 335km | 42kWh |
BYD・DOLPHIN | 400kmもしくは476km | 44.9kWhもしくは58.56kWh |
- * 2024年7月時点の情報
電気自動車の航続距離(走行距離)に影響する要素
電気自動車の航続距離は、冷暖房の使用や地形・運転スタイル、バッテリーの劣化などに影響を受けます。ここからは、航続距離に影響する要素について具体的に解説します。
冷暖房使用時の影響
電気自動車は、バッテリーに蓄えた電気を使って走行しますが、電装品の使用でもエネルギーを消費します。特に、車内の冷暖房や窓ガラスのくもりを取るために使用するエアコンは、多くのエネルギーを必要とする装備です。これらを使用するほど航続距離が短くなります。
また、猛暑や極寒の状況に近づくほどエアコンによるバッテリーへの負荷は大きくなります。もし、バッテリー残量が少ない場合は、冷暖房の使用を控える必要が出てくるでしょう。ちなみに、ガソリン車は暖房によるエネルギー消費はほとんどありませんが、電気自動車は熱風を作り出すのに多くのエネルギーが必要です。
地形や運転スタイルの影響
登り坂で前進するには平坦な道よりも大きなパワーを必要とするため、よりアクセルペダルを踏み込みます。すると、電気エネルギーを多く失ってしまうので、登り坂が続くほど航続距離が短くなるのは避けられません。
ただし、電気自動車は回生ブレーキが採用されており、ブレーキを踏むと運動エネルギーを電気エネルギーに変換できます。変換された電気エネルギーはバッテリーに充電され、航続距離が伸びます。
ガソリン車でも同じことではありますが、アクセルペダルを踏み込むほど航続距離が短くなるので、必要以上にエネルギーを消費しないためにも加速はゆるやかに行うことが大切です。
バッテリーの劣化
電気自動車のエネルギー源であるバッテリーには、多くの場合リチウムイオン電池が使われています。充放電を繰り返すとバッテリーは徐々に劣化していき、フル充電時の航続距離は徐々に短くなっていきます。リチウムイオン電池の場合は8年、もしくは走行距離16万km程度が寿命の目安です。
劣化の早さは、使用環境や運転の仕方によって変動します。劣化による航続距離の減少で、充電の頻度が増加すると不便に感じることもあるかもしれません。その点を考慮して、航続距離が長いモデルを選ぶのも1つの方法です。
バッテリーが劣化したら交換はできる?
電気自動車のバッテリーが劣化した場合は交換可能です。自動車メーカーの保証内容によりますが、バッテリーに著しい性能低下や不具合がある場合は、無償での交換・修理となるケースもあります。
ただし、自費で交換することになった場合は、数十万円から数百万円の高額な費用が必要です。そのため、バッテリーの劣化をきっかけに乗り換えを検討するケースもあるようです。
航続距離(走行距離)の短さが心配…。有効な対策方法を解説
ガソリン車の燃料切れはガス欠ですが、電気自動車の場合、「電欠」と表現されるのが一般的です。エネルギーを補給するための充電スポットが限られている電気自動車では、電欠が心配な方もいるでしょう。ここでは、電欠にならないための有効な対策を紹介します。
充電スポットを把握しておく
電気自動車を所有する場合は、まず生活圏内の充電スポットを把握しておくことが大切です。また、航続距離を超える場所まで走行する場合は、経路にある充電スポットをいくつか調べておきましょう。スマートフォンやカーナビに充電スポットを登録しておくことが、電欠を防ぐ有効な対策です。
また、目的地に到着するまでの間で充電する必要がある場合は、その時間も考慮してスケジュールを組むことも重要です。急速充電であれば、おおよそ30分で十分に補充できます。
電欠時はJAFなどのロードサービスを利用する
電欠により車を動かせなくなった場合は、JAFなどのロードサービスを利用することになるでしょう。ロードサービスとは、電欠やガス欠、事故や故障、鍵の閉じ込みなど、車に関するトラブルに対応するサービスのことです。電欠時にロードサービスを利用することで、近くにある充電スポットまで車を移動してくれます。
バッテリー残量を日常的に確認し、電欠にならないよう対策することも大切ですが、電欠を含む車のトラブルに対応するためには、ロードサービスに加入することが有効です。なお、ロードサービスは自動車保険に付帯されているものも利用できます。
まとめ
電気自動車を購入する場合は、航続距離をチェックすることが大切です。自分自身のライフスタイルに合わせて十分な航続距離のモデルを選ぶと、充実したカーライフにつながります。また、航続距離に影響を与える要素を把握したうえで、電欠の対策を講じることも重要です。
電気自動車を購入する際は、自動車保険を見直してみてはいかがでしょうか。SBI損保の自動車保険(総合自動車保険)は、電欠による搬送が回数無制限(※1)で利用できます。リーズナブルな保険料と業界最高水準(※2)のロードサービスが強みです。保険の見積りは無料ですので、お気軽にお試しください。
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※1お客さまが指定する充電施設などへの搬送は、レッカーサービスの無料範囲が上限となります。
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執筆年月日:2024年8月27日