電気自動車の購入を検討しているものの、充電の手間や充電費用に不安を感じている方は少なくないでしょう。確かに、電気自動車の充電は、ガソリン車の給油と比較すると時間がかかります。ただし、電気自動車は自宅に充電設備があれば、給油所に行かず自宅で充電が可能です。夜間充電することで、充電コストの負担も軽減できます。
また、充電できるスポットの数に不安を感じている方もいるでしょう。これについても、政府が電気自動車の普及を推進していることから、充電設備は増えており、今後も増加する見通しです。
本記事では、電気自動車の充電場所や充電時間、充電費用などについて解説します。
電気自動車(EV)の充電ができる場所は?
電気自動車の充電は、充電設備が設置されている自宅や施設などで充電可能です。充電設備がある場所は、カーナビやスマートフォンのアプリなどでも検索できます。
以下に、充電ができる場所と特徴などについて解説します。
充電器が設置されているスポット
電気自動車の普及には、充電設備の拡充が不可欠です。これまで充電設備の不足が指摘されていましたが、補助金の交付などもあり、充電器の数は約4万口まで増えています。
- * 2024年3月末時点の情報です。
充電設備がある主な施設を紹介します。
- ・カーディーラー
- ・コンビニエンスストア
- ・商業施設
- ・宿泊施設
- ・道の駅
- ・サービスエリア、パーキングエリア
- ・飛行場
- ・市役所 など
電気自動車の充電器には、バッテリー容量が30kWhの自動車を約30分で80%の充電ができる急速充電器(50kW)と、10時間ほどで充電が完了する普通充電器(3kW)があります。
サービスエリアやパーキングエリア、コンビニのような短い時間滞在する場所では、急速充電器が設置されていることが多く、宿泊施設など長時間の滞在になる場所には普通充電器が設置されている傾向があります。
日本政府は2030年までに30万口の充電器設置を目標にしている
日本政府は2035年までに乗用車新車販売で電動車(EV・FCV・PHEV・HEV)100%の実現を目指しています。それに伴い、2023年には充電設備の整備促進に向けた指針を策定しました。指針の中では、具体的な数値目標として、充電器設置目標を2030年までに30万口にすることが明記されています。
2024年3月末時点までに整備した数は約4万口なので、充電設備の整備は今後も大幅に進められる見通しといえるでしょう。
自宅(戸建て・集合住宅など)
自宅に充電設備を設置している場合は、帰宅後に充電できます。戸建ての場合は、充電設備の設置工事が必要です。集合住宅の場合は、独断での設置は難しいでしょう。しかし、集合住宅の駐車場の各区画に、EV充電設備を設置している業者もありますし、今後電気自動車の需要が増えれば、集合住宅での充電設備も増加すると考えられます。
自宅で充電する場合は急ぐ必要がないので、比較的安く設置できる充電用コンセントや、普通充電器でも十分に運用できるでしょう。
電気自動車(EV)の充電時間は?充電方式ごとに解説
電気自動車の充電時間は、充電する設備によって異なります。ここでは、普通充電と急速充電の特徴や設備による違い、充電時間などについて解説します。
普通充電
普通充電とは、100Vまたは200V程度の電圧で充電する方式で、自宅や宿泊施設など時間をかけて充電できる場所で採用されています。
まずは、普通充電に使用される設備として、「充電用コンセント」「スタンドタイプ」について解説します。
充電用コンセント
電気自動車を自宅で充電する際の充電設備としては、普通充電器やV2H、充電用コンセントが一般的です。中でも、充電用コンセントは最も費用が安く、手軽に設置できます。充電する際に使用するのは、車載充電ケーブルです。
充電用コンセントには100Vと200Vの2種類がありますが、ユーザーの多くは出力の観点から200Vを選択しています。200Vの出力は3.0kW程度で、バッテリー容量が30kWhの電気自動車であれば満充電までにかかる時間は約10時間です。一方、100Vの出力は0.6kWから1.2kW程度で、10時間充電しても半分も充電できません。
ガソリン車の「燃費」にあたる指標を、電気自動車では1kWhあたりの走行距離を示す「電費」で表します。一般的な電気自動車の電費は6km/kWh程度なので、バッテリー容量が30kWhの満充電であれば180km分です。日常の移動手段として利用するには、十分といえるでしょう。
スタンドタイプ
充電用コンセントは壁などに設置されるのに対し、独立して設置される普通充電器もあります。普通充電器には、充電ケーブルとコネクターが付いているため、通常、車載充電ケーブルは使用しません。主に駐車場と距離がある自宅や、商業施設などに設置されています。
普通充電器には6.0kW以上の高出力で充電できる製品もあり、このタイプであれば(6.0kWでの充電に対応した電気自動車に限り)約5時間で30kWhの電気自動車を満充電にすることが可能です。
V2H
V2Hとは、電気自動車の蓄電池に貯めた電力を、走行用だけでなく住宅用の電源として利用するための設備のことで、「Vehicle to Home」の略です。V2Hの主なメリットを以下に紹介します。
- ・充電スピードが速い
- ・電気代の節約になる
- ・災害や停電時に蓄電池として利用できる
- ・太陽光発電との相性がよい
V2Hは、最大6kWの出力で充電できるため、普通充電の200Vコンセントと比較して、短時間での充電が可能です。また、夜間の電気代が割安な時間に蓄電して、電気代が割高になる昼間の時間帯にその電力を利用すれば、電気代の節約につながります。
さらに、災害時や停電などの際には、蓄電した電力を復旧するまでの間、家で利用することができますし、スマートフォンの充電などもできるため安心です。
太陽光発電を導入している家では、太陽光電池モジュールで発電した直流電流をそのまま電気自動車(EV)に充電できます。
急速充電
急速充電は、家での充電とは別に、主に目的地への移動途中で行う経路充電としての役割を担っています。設置場所は、サービスエリアやパーキングエリア、コンビニなどです。現在設置されている一般的な急速充電器の出力は20kWから50kW程度ですが、より高出力の90kWから150kWの急速充電器の設置も進められています。
高出力の急速充電器は、充電時間を大幅に短縮できます。50kWの急速充電器の場合、25kWhを充電するのにかかる時間は30分です。ただし、高出力の急速充電はバッテリーに負荷がかかるため、急速充電器と電気自動車が通信して出力を制御します。電気自動車の車種によっても充電時に対応する最大電力が定められているため、車種によって充電量に違いが生じます。
電気自動車(EV)の充電にかかる費用はいくら?
ここからは、電気自動車の充電設備の設置や充電費用について解説します。
充電設備を自宅に設置するための初期費用
充電設備の設置に必要な初期費用の目安は、充電器の種類や設置場所などの条件によって異なります。おおよその目安は以下の表を参照してください。
種類 | 費用 |
---|---|
充電コンセント | 製品・施工費用合わせて 10万円前後〜 |
スタンドタイプ | 製品・施工費用合わせて 30万円前後〜 |
V2H | 製品・施工費用合わせて 85万円前後〜 |
- * 設置環境によって工事費用は異なる
- * 製品により本体価格は異なる
- * 2024年7月時点の情報
V2Hの設置に関しては、クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラなど導入促進補助金などもあるので、確認してみることをおすすめします。
充電費用
電気自動車の充電費用は、自宅で充電する場合と、外出先などで行う場合とでは異なります。充電費用について、自宅充電と外部充電に分けて解説します。
自宅充電
自宅で充電する際は、1kWhあたりの電気代によって費用が異なります。公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している目安単価の「31円/kWh(税込)」(2024年7月時点の情報)を基準にすると、40kWhのバッテリー容量を持つ電気自動車を満充電にするには1,240円程度必要です。
電費が6km/kWhの場合は、240kmの走行が可能であり、1日30kmの走行で約8日間利用できます。
ただし、この金額は電力料金のみで、基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味されていません。また、走行距離はエアコンをはじめ多くの電力を消費した場合や、走り方によっても違いが生じます。
外部充電
自宅以外で充電する際は、多くの場合、自動車メーカーや電力会社などが発行している充電カード(認証カード)が必要です。料金は加入しているカードの種類やプランによって違いがあり、月額制か都度払、急速充電か普通充電などによっても異なります。時間当たりの料金目安は、普通充電が3から5円/分程度、急速充電が20から60円/分程度です。
- * カード発行手数料や月額費用を除く
- * 2024年7月時点の情報
まとめ
電気自動車の充電スポットは今後さらに拡充していくでしょう。充電時間はガソリンの給油に比較すると長く感じるかもしれませんが、自宅で充電すれば給油へ行く時間と手間が省けますし、電気料金の安い夜間に充電すると割安感も得られます。
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執筆年月日:2024年8月2日