「雹(ひょう)」や「霰(あられ)」で車が被害を受けたら

2017年7月、東京都の一部で大粒の雹(ひょう)が観測されました。その勢いはすさまじく、駅の屋根が大破する被害にまで及びました。
車への被害も大きく、筆者の周りにも、駐車していた車のボディにおびただしい数の凹みができ、自動車保険の補償内容が不十分であったために泣く泣く修理代を自己負担することになった、という方がいます。
このコラムでは、雹(ひょう)や霰(あられ)でお車が被害を受けた場合のお話をいたします。

まず、雹(ひょう)と霰(あられ)について簡単にご説明しましょう。
雹(ひょう)と霰(あられ)は、積乱雲の中で作られます。積乱雲の内部は、地上から上空に向かって強い風が吹いています。この風で吹き上げられた空気は急速に冷却され、氷の粒になります。最初は小さな氷の粒ですが、雲の中にある細かい水の粒が付着して、少しずつ大きく重くなります。重くなった氷の粒は、地上へ落ちようとするのですが、積乱雲の中の激しい上昇気流に、再び上へと戻されます。このように何度も上昇(上がったり)と下降(下がったり)を繰り返すうち、氷の粒は更に大きく膨れ上がり、とうとう地上に落下します。

雹(ひょう)と霰(あられ)の違い

この氷の粒のうち、直径5ミリ以上のものを雹(ひょう)、直径5ミリ未満のものを霰(あられ)といいます。特に雹(ひょう)は、2000年に千葉県北部でゴルフボール大の大きさのものが確認されたことがあり、また大正6年には、カボチャの大きさの雹(ひょう)が降った記録も残っているようです!

空から地上への落下速度ですが、直径5センチの大きな雹(ひょう)になると、その落下速度は時速100キロを超えます。農作物被害や家屋被害はもちろん、頭部に直撃した場合には脳震盪になったり、死の危険性さえあります。発生する季節は春や秋が多いのですが、近年では夏でも度々観測されており、1年を通していつでも降る可能性があります。

雹(ひょう)や霰(あられ)による車の被害

それでは、雹(ひょう)や霰(あられ)による車への被害について考えてみましょう。
当然のことですが、落下物が直撃する可能性のある部分の被害が大きくなります。セダンタイプでいうと、前からボンネット、フロントガラス、ルーフ、リアガラス、トランクといった部分です。このボンネット、ルーフやトランクの外板部分のパネルの多くは、鉄の鋼板で作られています 。この鋼板の厚みは0.7ミリ程度と非常に薄く、雹(ひょう)や霰(あられ)が勢いよく降ってきた場合、それを跳ね返すほどの強度はありません。
ボンネットやバンパーのパネル部分には多数の凹みができますし、ガラス部分が割れることもあります。

修理費用はどのくらい?

修理費用はどのくらい?

雹(ひょう)や霰(あられ)によりお車が傷ついた場合、ボンネットとトランクはボルトで固定されているため、比較的簡単に交換することができます。フロントガラスやリアガラスも、シール材で接着されているので交換が可能です。
それに対し、ルーフについてはボディの一部なので、簡単に取り外して修理することができません。交換する場合はいったんボディを切断し、その後に新しいルーフを溶接することになります。費用もボンネットやトランクの交換と比べると、その数倍かかる可能性があります。
このように被害箇所によっては、修理代金がとても高額になってしまうのです。

雹(ひょう)や霰(あられ)の被害に自動車保険で備えるには?

雹(ひょう)や霰(あられ)の被害に自動車保険で備えることは可能なのでしょうか?
答えは簡単で、自動車保険に加入する際に車両保険を付帯しておけば安心です。

SBI損保の車両保険は、補償範囲が広い「一般車両」と補償範囲が一部限定された「車対車+限定A」があります。

一般車両 車対車+限定A
車やバイクとの衝突・接触

自転車との衝突・接触

×

電柱・建物などとの衝突や接触(単独事故)

×

あて逃げ

×

転覆・墜落

×

火災・爆発・台風・洪水・高潮など

盗難・いたずら・落書き

窓ガラスの損害・飛び石による損害

「○」:補償されます。「×」:補償されません。

「車対車+限定A」の場合は相手の車とその運転者または所有者が確認できる場合に限ります。

上記の表をご覧いただくとわかりますが、「一般車両」タイプのほうが、「車対車+限定A」タイプより補償の範囲が広くなっています。
それでは、雹(ひょう)と霰(あられ)はどちらのタイプで補償されるのでしょうか?
答えは、どちらのタイプの車両保険に加入していても補償されます!

一般車両 車対車+限定A
雹、霰による損害

車両保険には免責金額を設定する場合がありますが、その免責金額をご自身で負担することで、契約している車両保険金額を上限に、保険金で車を修理することが可能です。

保険を使うと、次年度の保険料はどうなる?

保険を使うと、次年度の保険料はどうなる?

自動車保険を使って車を修理する際、次年度以降の保険料が気になる方も多いと思います。
一般的に、個人で契約する自動車保険では、事故(保険金請求)歴に応じて、保険料の割増引きがおこなわれる「ノンフリート等級」と呼ばれる制度が採用されています。

無事故で1年経過するごとに1等級上がり、20等級を上限として保険料の割引率もあがっていきます。そして、事故などで保険を使用した場合は、翌年度の等級が下がり、割引率も低下、つまり次年度の保険料は高くなってしまいます。

等級が下がる事故の分類は、「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故」があり、雹(ひょう)、霰(あられ)による被害で保険を使用した場合、「1等級ダウン事故」となります。

3等級ダウン事故と1等級ダウン事故は、車を運転する方の走行リスクによって分類されます。突然雹(ひょう)や霰(あられ)が降り出してきて車が被害に遭ったケースは、車を運転する方の走行リスクではなく、偶然その場を走っていたこと自体が不慮の事故と言えます。そのため、1等級ダウンが適用されるのです。ちなみに、保険を使っても翌年度の等級が下がらない「ノーカウント事故」というものもあり、これは主に特約のみの請求の場合などで適用されるものです。

走行中に、または屋外に駐車中、雹(ひょう)や霰(あられ)が降ってきてしまったら…、大切なお車のことを考えるとゾっとしますよね。ですが天候の急変は、必ずしも予測できず、誰でも遭遇する可能性があります。そのような場合にお役にたてるのが車両保険です。自動車保険に加入する際は、雹(ひょう)や霰(あられ)のリスクも考慮して、ご自身に必要な補償内容を選ぶことをお勧めします。

執筆:H.S 損害サービス第1部
(当時・損害サービス業務部)

大学・大学院と自動車のエンジンの研究を行い、卒業後は自動車メーカーで設計を行うも、損害保険会社に転職。損害保険では損害サービス部門で保険金支払い業務に携わり18年が経過。近年の自動車の開発スピードに知識がついていけるよう勉強中。