満期日が近づいてきたり、保険期間の途中であっても車を買い替えたりしたときに、保険料が高いなどの理由から自動車保険の乗り換えを検討される方も多いのではないでしょうか。
ここでは等級の引き継ぎや手続きのタイミングなど自動車保険を乗り換えるときの注意点をお伝えします。
目次
自動車保険の乗り換え、いつから検討すべき?
自動車保険の乗り換えは、満期日の2、3か月ほど前からの検討をおすすめします。情報収集自体は、たとえば半年前などもっと早くてもいいですが、保険料が改定される場合などもあるので、正しく検討できないこともあります。自動車保険の等級の引継ぎを考えた場合、満期日に合わせた乗り換えが理想です。おおよそ2か月ほど前に契約中の保険会社から満期日と更新のお知らせが届くはずなので、そのお知らせをきっかけに自動車保険の乗り換えを検討するとよいでしょう。以上の理由から自動車保険の検討時期は、早ければ満期日の3か月前から始め、遅くとも2か月前にはしっかりとした資料集めをしておくべきです。
自動車保険を乗り換えるメリットとデメリット
自動車保険の乗り換えにはメリットだけでなくデメリットもありますので、それぞれ確認していきましょう。
自動車保険を乗り換えるメリット
最大のメリットとして、保険料が安くなる可能性があることがあげられます。
自動車保険は、保険会社によって補償内容が同じであっても保険料が異なることが通常です。また、補償範囲を限定したり、年齢条件や運転者限定、使用目的を適切に設定したりなど、自分のカーライフにあわせて条件を選ぶことで保険料を節約することも可能ですので、まずは見積りをしてみることをおすすめします。
自動車保険は「代理店型」と「ダイレクト型」に分かれていますが、支社・支店や代理店を介する代理店型に比べて、ダイレクト型では人件費などのコストを削減することで割安な保険料を提供しています。代理店を通じて自動車保険を契約している方は、ダイレクト型に変えることで保険を安く見直せる場合があるので検討してみてもよいでしょう。
また、自動車保険の乗り換えによって、より充実した補償やサービスを受けられる可能性があるというのもメリットになります。保険会社によって補償やサービスはさまざまで、保険を見直した結果、自分に合ったよりよい補償やサービスを受けられる自動車保険と出会うこともあるでしょう。ライフスタイルに合わせてベストな自動車保険を選択できるのも乗り換えの魅力の一つです。
自動車保険を乗り換えるデメリット
自動車保険の乗り換えのデメリットとして、乗り換えのタイミングによっては等級面で不利となる場合があります。たとえ乗り換え前に無事故であったとしても、乗り換え後1年間、無事故の状態を維持しなければ等級が上がらない可能性があるため、乗り換えのタイミングには注意が必要です(詳細は後ほどご説明します)。
また、自動車保険の補償内容は一見同じであっても、保険会社によって補償の範囲や保険金額が異なる場合もあります。乗り換えた場合に、必要な補償が外れてしまっていたということにならないように、しっかり吟味して選択する必要があります。きちんと補償内容を確認しないまま、自動車保険を乗り換えてしまうのはおすすめしません。
等級の引き継ぎはタイミングと事故歴に注意
自動車保険は「等級」(および無事故・事故有区分)によって、保険料の割引・割増があります。等級は事故歴などによって決まり、次年度の等級に影響する事故がなければ、次の継続契約にて等級が上がり割引率も高くなるしくみになっています。
自動車保険をほかの保険会社に乗り換える場合でも、今の契約の等級を引き継ぐことができますが、現在の保険期間中の事故の有無によって次年度の等級が変わりますので注意しましょう。
現在の保険期間中に事故がない場合
契約の満期日にあわせて乗り換えをした場合には、乗り換え後の契約の等級は上がり、割引率が高くなります。一方、満期日を待たず保険期間の途中に乗り換えた場合は、現在の等級のまま乗り換え後の契約がスタートします。つまり、満期日に乗り換えをしたほうが早く等級を上げ、割引率を高くすることができます。
現在の保険期間中に事故があった場合
現在の保険期間中に事故がある場合には、どのタイミングで乗り換えをしても、現在の等級から事故の内容(3等級ダウン事故または1等級ダウン事故)と事故件数に応じて、等級が下がります。このため、満期日に乗り換えをしたほうが等級を下げるのを遅れさせることはできます。ただし、乗り換え後の保険会社のほうが等級の割引以上に保険料やサービス面で乗り換えメリットが出るのであれば、保険期間中の解約も1つの方法です。
なお、このように保険期間中の事故の有無によって等級の引き継ぎが変わるのは、対面で契約する代理店型でも、インターネットなどで自ら申込みをするダイレクト型でも対応は同じです。
満期日に自動車保険の乗り換えがおトク
自動車保険の乗り換えは、満期日が最も適したタイミングとなります。
その理由は、先に記載したとおり、新たな自動車保険に1つ上がった等級を引き継ぐことが可能であるからです。現在の自動車保険の満期日を迎えるタイミングで乗り換えすることで、無事故であれば等級が1等級上がります。これは、乗り換えずに契約を継続した場合も同様です。もし等級が下がる事故を起こした場合は、満期日以前に乗り換えると、下がった等級での乗り換えとなるため、等級が下がるタイミングが早くなってしまいます。
また、満期日の翌日から起算して7日を超えた段階で乗り換えると、等級の引継ぎができずに6等級からスタートとなってしまうので注意が必要です。
そのため、自動車保険の乗り換えをおトクに行うなら満期日をもって乗り換えるようにすることが重要です。自動継続にしていれば継続しない旨の連絡が必要となりますが、自動継続でなければ連絡も不要です。中途解約をして満期日よりも前に乗り換えを行う場合も、等級の引継ぎはできます。しかしながら、乗り換え先の自動車保険の等級が上がるのは1年間経過した後になり、満期日以外に乗り換えてしまうと等級が上がるタイミングが遅れてしまうことになります。
なお、満期日に乗り換える場合や契約を解除して乗り換える場合のどちらでも、重複期間と無保険期間が生じないようにすることが乗り換えのコツです。重複期間がある場合はそもそも契約ができませんので、まずは重複をしないようにしましょう。また、どうしても次の契約まで期間が空いてしまう場合は、最大10年間、等級維持ができる中断証明書を発行してもらってください。中断証明書の発行には条件があるので、事前に確認しましょう。
自動車保険を任意解約(中途解約)する場合の注意点
現在の保険期間中に解約をして他社やほかの商品に乗り換えをする場合には、以下の3つの点に注意しましょう。
まず、解約返戻金です。解約をした場合には、返還されるお金(解約返戻金)がある可能性があります。しかし、一般に月単位で計算されるため解約のタイミングによってはまだ経過していない期間のお金でも戻ってこない場合があるので注意です。 また、年間保険料を一括で支払っていた場合、解約返戻金は保険会社ごとに定めた「短期率」を用いて計算されるので、経過していない期間に対応する割合より少ない額しか返戻されません。保険料が月払の場合は解約月以降の保険料は支払いませんが、そもそもの保険料が一括払より多く設定されていることが少なくありません。解約返戻金の金額も含めてメリットがあるのかを考慮し、乗り換えのタイミングを検討しましょう。
次に、保険の空白期間にも注意しましょう。保険の乗り換えによって補償されない期間(保険の空白期間)が発生してしまったら、当然その間の事故には保険金が出ません。解約と同時に次の保険が開始できるように設定しましょう。
そして反対に、重複契約にも注意です。解約日以前に次の保険の補償をスタートさせてしまったら補償が重複した契約になります。重複した期間にたとえ事故が発生したとしても、保険金は重複して支払われません。解約日と新たに加入する次の補償開始日(保険始期日)を合わせるようにしましょう。
自動車保険を乗り換えるときの手続方法の注意点
保険会社を乗り換える場合、現在の契約に関する手続きはどうしたらよいのでしょう。
もし、現在の契約が契約更新の際に手続きが必要な場合は、基本的には現在の保険会社への連絡などの手続きは必要ありません。しかし、自動継続特約などが付いていて、手続きなしで自動的に現在の契約が更新されるしくみになっている場合は、更新しない旨の連絡・解約手続きが必要です。
自身の契約がどのようになっているか分からない場合は、現在の契約保険会社が設置している各種相談窓口や、契約者ページ・マイページなどで確認しましょう。
自動車保険を乗り換えてから次の契約まで期間が空く場合の注意点
現在の車を廃車にして新車納車まで期間があるなど、保険の契約も解約から次の契約まで期間が空く場合には「中断証明書」を取得しましょう。
自動車保険における等級は引き継げると先にお伝えしましたが、次の契約の開始日まで原則7日以内でなければならず、これを越えると等級を引き継ぐことができません。このような場合で次の契約が7等級以上となるときは、解約する保険会社に連絡をして中断証明書を発行すれば、10年程度まで等級を引き継ぐ期間を延ばすことができます。
自動車保険の中断証明書の発行手続き
中断証明書は、中断の理由によって提出する書類が異なります。車の廃車・譲渡・返還など車を手放す場合と、海外渡航の場合で異なります。保険会社によっては妊娠によって中断できるものもあります。
以下、参考にSBI損保での書類例を表にしました。
横スクロールできます
必要書類の例 | 備考 | |
---|---|---|
廃車・譲渡・返還などの場合 |
|
− |
海外渡航の場合 | 基本的には不要だが、お電話でのお手続きの場合「変更手続依頼書」が必要なことも | 契約を再開するときに以下の書類が必要
|
自動車保険の乗り換えについてのよくある質問
自動車保険の乗り換えに関して、よくある質問にお答えします。
- 他社の自動車保険利用中にも乗り換えできるの?
-
他社の自動車保険利用中にも自動車保険の乗り換えは可能です。一番おトクに乗り換えできるタイミングに合わせて乗り換えを行ってください。ただし満期日前に中途解約のうえで乗り換える場合には、満期日に乗り換えるよりも手続きの手間が増えるので注意が必要です。
- 自動車保険の乗り換えは何か月前からできるの?
-
自動車保険の乗り換え自体はいつでもできますが、現在の自動車保険の満期日と新しい自動車保険の保険始期日を同じ日にすることをおすすめします。
まとめ
自動車保険の契約の乗り換えでどの保険会社にするか迷っている場合には、一括見積りサイトなどでまずは保険料を比較してみてはいかがでしょうか。
保険料やサービス面でメリットがありそうな保険会社が見つかったら、いつ乗り換えするのが最も効果的か確認しましょう。タイミングによって等級や解約返戻金がどのように異なってくるのか、次の保険までの空白期間はないか、あるのであれば等級を引き継ぐため現在契約している保険会社から中断証明書を発行してもらうことに注意しましょう。
執筆年月日:2017年1月
(最終更新日:2023年6月9日)
執筆:松原 季恵(まつばら きえ)
CFP®、マイアドバイザー登録ファイナンシャルプランナー。銀行、損害保険会社での勤務経験を経て、FPとなる。現在はお客様サイドに立ち、執筆・セミナーを中心とした情報提供をしている。住宅ローンや生損保商品に詳しく、「お金で楽しい毎日を」を心がけている。
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