がん保険は何歳から入るのが適切でしょうか

がんは「大人がかかるもの」と思っている方が多いかもしれません。しかし、実際には、がんは小さい子どもでも発症する可能性がある病気です。つまり、がんの罹患リスクは誰しもが抱えているということです。ここでは、がんの罹患リスクやがん保険の必要性などについて、年齢という観点に着目してご説明していきます。

目次

年齢によってなりやすいがんは違う

がんは年齢によって罹患率が変わります

統計的には、若いときほどがんにかかる可能性が低く、年齢を重ねれば重ねるほど少しずつ罹患率が上がっていきます。

また、国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」最新がん統計(2015年)の統計によると、男女間でも、がんの罹患率には差があります。

女性は20代の後半から徐々に罹患率が上がります。一方、男性は30代あたりから徐々に罹患率が上がっていくのが特徴です。意外に思うかもしれませんが、50代に入るまでは、男性より女性の方が罹患率は高いのです。

ここからは、がんの罹患リスクについて、年代ごとに詳しく見ていきます。何歳からがん保険に加入するのかを検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

生まれてから中学生くらいまで

がんの治療方法は徐々に発達しています

10〜14歳の子どもたちの死因の1位はがんです。日本では、1年間で約2000〜2500人の子どもが、がんに罹患しています。生まれてから中学生くらいまでの年代の子どもたちが罹患するがんは、一般的に「小児がん」と呼ばれており、大人が罹患するがんとは異なる性質を持ちます。

大人が罹患するがんの多くは、不規則な食生活や喫煙などの「生活習慣」が原因です。一方、小児がんは、「生活習慣」が発症のきっかけとなることはありません。遺伝によるものや、胎児のときに別の組織に成長するはずだった細胞が出生後に異常増殖するなどといった原因で罹患します。

代表的な小児がんには白血病、脳腫瘍、リンパ腫などがあります。そのなかでも血液のがんと呼ばれる白血病は、全体の約40%を占めています。症状や生存率はがんの種類によって異なりますが、現在では抗がん剤治療や放射線治療が発展しており、かつては不治の病と恐れられてきたような種類のがんでも生存率が大幅に上昇しているものもあります。

しかし、子どもの頃にがんの治療を受けると、薬や放射線の副作用で成長が遅れたり、卵巣や精巣など、将来子どもを持つための重要な臓器にダメージが加わり、障がいが残ることもあります。また、再発の可能性もあるため定期的な検査を行わなければならず、治療は長期にわたると考えてよいでしょう。

高校生から20代

女性特有のがんは進行してから診断される場合があります

15歳から30歳頃までの世代は、AYA(Adolescent and Young Adult)世代と呼ばれており、この世代に発症するがんは小児がんよりも生存率が低いことが分かっています。AYA世代では小児がんを発症することも、通常のがんを発症することもあります。そのため、罹患する可能性のあるがんの種類が多いのが特徴です。

AYA世代の女性はこの頃から少しずつ、女性に特有の子宮頸がんや卵巣がん、乳がんの罹患率が上昇します。

特に子宮頸がんは、25〜29歳の女性が発症するがんの1位であり、AYA世代の患者数が年々増えていると言われています。乳がんは25〜29歳の女性が罹患するがんのうち3位に位置しており、20代前半から罹患率が上昇し始めます。

これらの女性特有のがんは、初期には症状が現れにくいのが特徴です。がん検診の対象年齢でない場合には、がんが進行して症状が現れるまで見逃されることも少なくありません。

また、この世代のがん治療は、今後の生活に大きな影響を残してしまうこともあります。学業や就職で多忙な時期に、場合によっては入院や手術を伴う苦しい治療を行わなければならず、結婚などのライフステージに円滑に進むことができないケースもあります。

子宮頸がんは将来の妊娠の可能性を奪う結果となることが多く、その他のがんでも抗がん剤や放射線治療によって卵巣などの生殖機能を著しく低下させることがあります。将来のためにも、AYA世代のがん治療は患者を支える周囲の協力が必要不可欠なのです。

30代から40代

がんにかかった時の経済的ダメージを鑑みてがん保険に加入する人が多くなります

この世代では、小児がんを発症する確率は極めて低くなりますが、大人が発症するがんの多くで罹患率の上昇が見られます。

男性は胃がんの罹患率が上昇し始めます。また、女性は子宮頸がんの罹患率がピークを迎えて、乳がんの罹患率も大幅に上昇します。さらにこの世代は、すべてのがんにおいて死亡率が徐々に上昇し始める世代でもあり、がん検診の対象年齢でもあります。

30代から40代は、結婚して新たな家族や子どもを持つ人も多く、いままでの「守られる」立場から「守る」立場へ変わる世代です。がんの治療に際しては、自分の病状だけを考えていればよい若い世代と異なり、養う家族や子どもに対する責任を伴うのです。

がんの治療は保険適用となるものが多いですが、先進医療などを組み合わせると高額な自己負担治療費がかかります。30代以降の人にとって、がん保険を契約する理由は、罹患する可能性が高まるからだけではありません。「守る」べき者への保障を確保するためにも、がん保険は必要なのです。公益財団法人生命保険文化センターが発表している、「生活保障に関する調査」(平成28年度版)によると、がん保険への加入率が最も高いのも30代、40代となっています。

[出典]平成28年度「生活保障に関する調査」(公益財団法人生命保険文化センター)

50代以降

医療機関での検診も定期的に受けるようにしましょう

全部位合計のがんの罹患率は、女性の30代後半から50代前半にかけては男性より高いものの、50代後半で逆転します。そして、男女とも50代から増加し始め、高齢になるほど高くなります。特に、60歳代に入ると、男性の罹患率が一気に上昇します。

晩婚・晩産の昨今、50代はまだまだ子どもにお金がかかる年代です。がんにかかったときの治療費用を貯蓄で補うのは厳しいと思われます。そして、70代以上の世代は、貯蓄はあってもがんの治療費用で取り崩すと老後に資金不足を招くかもしれません。治療法にもよりますが、がん治療は先進医療や自由診療を選択すると自己負担が大きくなってしまうためです。それに、入院や通院による治療が長引くことがあり、継続的に医療費がかかり続ける可能性もあります。やはり、がんの治療費用はがん保険、特に自由診療も補償される保険で準備しておきたいと考えます。

執筆年月:2018年6月

執筆者

執筆:医師・成田亜希子

国立大学医学部を卒業後、一般内科医として勤務。育児の傍ら、公衆衛生分野にも従事し、国立医療科学院での研修を積む。感染症や医療問題にも精通している。

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