がん保険は年末調整で生命保険料控除を受けられる?控除の基礎知識を解説

年末に近づくにつれ、よく耳にする「年末調整」。しかし「年末調整」とは実際にどのようなものなのか、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
年末調整とは所得税の過不足を調整する手続きのこと。生命保険料控除などの所得から差し引かれる内容を申請することで、多く徴収されていた所得税の一部が戻ってくる可能性もあります。

がん保険は年末調整で生命保険料控除を受けられる?控除の基礎知識を解説

そのため、生命保険やがん保険の加入者が利用できる生命保険料控除は、年末調整では重要なポイントです。
本記事では、年末調整や生命保険料控除の基礎知識を踏まえ、がん保険の控除額や手続方法、控除を受ける際の注意点などを解説しています。

会社員に対する「年末調整」とは?

会社員に対する「年末調整」とは?

年末調整とは、会社員が給与から天引きされた所得税の過不足を調整するための手続きのことです。
会社員は、毎月の給与から税金が差し引かれていて、会社が社員の代わりに所得税をまとめて納税する「源泉徴収」という制度で納税を行っています。

本来、この所得税は、給与の額や家族構成(配偶者・扶養者の有無)などにより異なりますが、大勢の社員の所得税を個別で毎月計算するのはとても手間のかかる作業。そのため、おおよそで計算した所得税が毎月の給与から天引きされています。年末調整で、支払っていた所得税の過不足調整を行うというしくみになっています。

1年間の所得が確定する12月頃、正しい所得税と概算で天引きされていた所得税の差額を調整するために年末調整は行われ、還付金がある場合には、12月中に所定の口座に振り込まれるケースが多いです。

本来であれば、毎年2月から3月に開催される「確定申告」で課税金額を確定させますが、年末調整で所得税の過不足調整が行われるため、給与以外の所得が無い場合は、確定申告が不要になります。
なお、年末調整は、会社員だけでなく公務員も対象ですが、自分で所得税を申告する個人事業主は年末調整の対象とはなりません。年末調整の対象とならない場合は、確定申告を忘れずに行いましょう。

がん保険は年末調整で生命保険料控除の対象になる!

年末調整の際に重要なポイントになるのが生命保険料控除。生命保険料控除は、死亡保険や医療保険だけでなく、がん保険も対象になります。では、生命保険料控除とはどのようなことなのでしょうか?

がん保険は年末調整で生命保険料控除の対象になる!

生命保険料控除のしくみ

生命保険料控除とは、1月1日から12月31日までの一年間に支払った保険料によって、所得税や住民税が軽減されるしくみです。

生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3つの区分に分かれており、それぞれの区分で控除される上限が定められています。

なお、2012年(平成24年)1月1日以降に締結した保険契約は新制度、2011年(平成23年)12月31日以前に締結した保険契約は旧制度が適用されるため、申告時には注意が必要です。

生命保険料控除の限度額

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  新制度 旧制度
一般生命保険料控除 4万円 5万円
介護医療保険料控除 4万円
個人年金保険料控除 4万円 5万円
控除上限 12万円 10万円

「No.1140 生命保険料控除」(国税庁)
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)を加工して作成

  • 新契約と旧契約の双方に加入している場合は、旧契約の支払保険料等の金額によって控除額の計算方法が変わります。計算方法の詳細はリンク先をご確認ください。

所得税が控除される対象は、保険料の支払いをしている人です。そのため、保険契約者でなくても該当保険の保険料を支払っている人であれば、生命保険料控除を利用できます。

年末調整で受けられるがん保険の控除額

では、がん保険に加入している場合、年末調整で受けられる控除額はどのくらいなのでしょうか?控除される金額は、以下の表のように年間の支払保険料に応じて段階的に変わります。

2012年(平成24年)1月1日以降に締結したがん保険は介護医療保険料控除の対象です。
介護医療保険料控除にはがん保険のほかに介護保険や医療保険も含まれるため、これらの保険に加入している場合は、すべての保険料を合算して以下の表に照らし合わせてください。

なお、2011年(平成23年)12月31日以前に締結したがん保険は、旧制度の一般生命保険料控除区分が適用されます。

新制度|所得税

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年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等全額
20,000円超40,000円以下 (支払保険料等×1/2)+10,000円
40,000円超80,000円以下 (支払保険料等×1/4)+20,000円
80,000円超 一律40,000円

旧制度|所得税

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年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等全額
25,000円超50,000円以下 (支払保険料等×1/2)+12,500円
50,000円超100,000円以下 (支払保険料等×1/4)+25,000円
100,000円超 一律50,000円

「No.1140 生命保険料控除」(国税庁)
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)を加工して作成

たとえば、2020年に契約した保険料月額4,500円のがん保険に加入している場合、年間の保険料は、4,500円×12か月=54,000円。控除額は、(54,000円×1/4)+25,000=38,500円。38,500円がその年の所得から控除されます。

上記の表は、「一般生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」に共通する内容です。そのため、それぞれの区分で上限金額が控除された場合、新制度では最大12万円、旧制度では最大10万円が控除されます。

また、生命保険料控除は所得税・住民税の両方が対象ですが、年末調整では所得税の過不足のみ調整されます。

年末調整でがん保険の控除を受ける方法

年末調整でがん保険の控除を受ける方法は以下のとおりです。

  • 1.
    10月から11月頃に会社から渡される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入する
  • 2.
    保険会社が発行する「生命保険証控除証明書」と「給与所得者の保険料控除申告書」を会社へ提出する

給与所得者の保険料控除申告書には、主に以下の内容を記入します。

  • 保険会社名
  • 保険の名前や種類
  • 契約者の名前
  • 受取人の名前
  • 1年間に支払った保険料額

上記の内容は生命保険証控除証明書に記載があるので、書き写せば問題ありません。もし、生命保険証控除証明書を紛失してしまった場合は保険会社に連絡し、再発行してもらいましょう。

がん保険の保険料を給与天引きで支払っている場合は、生命保険証控除証明書を提出する必要はありません。

年末調整でがん保険の控除を受ける場合の注意点

年末調整でがん保険の控除を受ける場合、あらかじめ知っておくべき注意点が2つあります。後から慌てることのないよう、しっかり確認しておきましょう。

控除を受けるには条件がある

1つ目の注意点は、控除を受けるための条件を把握することです。年末調整でがん保険の控除を受ける場合には、主に以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 実際に保険料の支払いをしている
  • 保険金の受取人が「契約者・配偶者・6親等以内の血族・3親等以内の婚族」の契約である

上記の条件を満たしていれば、生命保険会社だけでなく、損害保険会社で加入しているがん保険も控除の対象になります。ただし、外国の保険会社と国外で契約した保険は、控除対象外です。

会社員でも確定申告が必要な場合がある

2つ目の注意点は、会社員でも確定申告が必要なケースを把握することです。以下に該当する場合は、年末調整を行う場合でも確定申告が必要になります。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合
  • 20万円を超える副収入がある場合
  • 2か所以上の企業から給与収入がある場合
  • 会社の年末調整の締め切り後に入社した場合
  • 年間110万円を超える贈与を受けた場合 など

「確定申告が必要な方@給与所得がある方」(国税庁)
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm)を加工して作成

確定申告とは、その年の所得に対する税金を計算し、税務署に申告・納税する手続きのこと。
翌年の2月16日から3月15日までに行う必要があります。

確定申告の必要があるにもかかわらず放置している場合は、税金の加算などのペナルティが科されることもあるため注意が必要です。

がん保険の年末調整でよくある疑問

最後に、がん保険の年末調整でよくある疑問を一緒に解決していきましょう。

年の途中でがん保険を解約・変更したらどうなる?

年の途中でがん保険を解約・変更した場合でも、その年に支払った保険料は控除の対象になります。

控除証明書

控除証明書が発行される前に解約した場合は、申告額に解約するまでの保険料が印字されているので、そのまま使用できます。

控除証明書が届いた後で年内に解約した場合、申告額には12月まで支払う予定の保険料が印字されているため、申告額が変わります。提出する勤務先によっては、申告額が相違していると使用できない場合があるため、手元にある控除証明書の使用可否を勤務先へ確認しましょう。

届いた控除証明書をそのまま使用できる場合は、実際に支払った年間保険料を申告します。
控除証明書に記載してある金額は、12月まで保険を継続した場合の見込み年間保険料のため、途中で解約した場合、そのまま転記しないように注意してください。
たとえば、毎月の保険料が1,000円で、途中で解約して11月まで保険料を支払っている場合、「申告額」に12,000円と印字されていても、「申告額」は11,000円となります。

届いた控除証明書をそのまま使用できない場合は、保険会社に連絡し、正しい「申告額」が印字された控除証明書を再発行してもらいましょう。

また、別の保険会社に切り替えた場合も、変更前と変更後の両方の保険料が控除対象です。手続きには両方の保険会社の控除証明書が必要になるので、両方提出しましょう。

住民税は年末調整されない?

答えは「はい」です。住民税は前年の所得に基づき算出されるため、概算で給与から天引きされる所得税のような年末調整は行われません。

ただし、生命保険料控除は所得税と住民税の両方に適用されるため、住民税が軽減される効果も期待できます。

手続きが年末調整に間に合わない場合はどうする?

手続きが年末調整に間に合わない場合は、まず会社に相談しましょう。会社が実際に納税の手続きを行うのは1月以降のため、多少の遅れなら対応してもらえる場合があります。

会社で対応してもらえない場合は、会社から源泉徴収票をもらい、自分で確定申告の手続きを行いましょう。ただし、確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があるため、期限に注意してください。

期限を過ぎても申告は可能ですが、無申告課税や延滞税の対象となり罰金が発生してしまうため、できるだけ期限内に申告するよう心がけましょう。

これは、個人事業主やフリーランスの人も同様です。

契約者と保険料支払者が異なるがん保険は支払者の会社で年末調整できる?

生命保険料控除を受けられるのは、実際に保険料を支払っている人のみです。そのため「契約者=妻」の保険契約でも、支払っているのが夫であれば、夫の会社の年末調整で控除を受けられます。

ただし、会社によっては保険料が引き落とされている口座の写しなど、保険料の支払いを証明する書類の提出を求められる可能性もあるため、該当する場合は勤務先に事前に確認したほうが安心です。

がん保険の生命保険料控除の区分は?

がん保険は以下のように契約をした時期により、生命保険料控除の区分が異なります。

  • 2011年(平成23年)12月31日以前に締結したがん保険→旧制度の一般生命保険料控除
  • 2012年(平成24年)1月1日以降に締結したがん保険→介護医療保険料控除(※)
  • 「介護医療保険料控除」は新制度ですが、「一般生命保険料控除」の新制度として申請をしないように注意しましょう。

年末調整でがん保険の控除を受けて節税しよう!

年末調整でがん保険の控除を受けて節税しよう!

今は2人に1人はがんにかかる時代と言われています(※1)。医療技術の進化により多様な治療方法が選べる今、がんに罹患したときに、お金の心配をせず、安心して治療が受けられるがん保険の必要性は高まっています。

さらに、がん保険は生命保険料控除の対象になるため、所得税や住民税を軽減させる効果も期待できるのです。

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執筆年月日:2022年9月6日
(最終更新日:2024年1月4日)

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2023年12月 23-0449-12-002