先進医療は、将来のがん治療における選択肢の1つとなりますが、治療にかかる「技術料」は公的医療保険の対象外となるため、高額な自己負担が生じる場合があります。いざというときに「費用が用意できなかった」とならないよう、先進医療のしくみや備え方をあらかじめ理解しておくことが大切です。
本記事では、先進医療の種類や費用の目安、治療費のシミュレーションに加え、先進医療の受け方について解説します。また、がん治療の先進医療に保険で備えるときの注意点をわかりやすくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
先進医療とは厚生労働大臣に認められた最新の医療技術
「先進医療」は、厚生労働大臣が認めた高度な医療技術で、安全性や効果が確認されると、公的医療保険制度の適用が検討される治療法です。特定の大学病院や特定機能病院などの大規模な医療機関で研究・開発されています。先進医療を実施している医療機関は厚生労働省のWebサイトで公開されています。
私たち人間には、発病のメカニズムがわからない、ゆえに治療法も確立されていない難病がたくさんあります。また、治療法はある程度確立されていても、より身体への負担が軽い治療法の開発が待たれている病気も少なくありません。こういった難病などの新しい診断・治療・手術といった最新の医療技術が研究・開発されることで、これまで診断や治療が難しかった病気の診断・治療ができるようになる、身体への負担が少ない治療が受けられるようになるなどのメリットがたくさんあります。
先進医療の種類
現在、先進医療は69種類あります(2026年6月24日現在)。新しい治療法や技術が研究・開発されると追加され、健保適用になったり、効果が確認できない場合は削除されたりと変動するため、その種類は一定ではありません。
先進医療は「先進医療A」と「先進医療B」の2種類に分けられます。
先進医療Aは、未承認の医薬品・医療機器を使用しない医療技術が基本です。ただし、未承認の体外診断薬や検査薬を使用する場合でも、人体への影響が極めて小さいと認められるものは先進医療Aに分類されます。
具体的には、がん治療に用いられる粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療)や、不妊治療に用いられる子宮内膜刺激術などが該当します。
先進医療Bは、未承認の医薬品・医療機器を使用する技術に加え、未承認品を使用しない場合でも安全性・有効性等の観点から実施環境や効果について、特に重点的な観察・評価が必要と判断されたものです。
具体的には、大腸がんの術後のアスピリン経口投与療法や、うつ病に用いられる反復経頭蓋磁気刺激療法 などが挙げられます。
先進医療の技術料は全額自己負担
先進医療の技術料は、公的医療保険制度の対象外となるため、全額自己負担となります。一方で、それ以外の診察料や画像診断料、投薬料、入院料など公的医療保険が適用される部分については、医療費の一部を負担します。
つまり、先進医療を受けると、公的医療保険適用の医療費の一部負担分と、先進医療の技術料を合計した金額を負担するというしくみです。
なお、先進医療の技術料は高額療養費制度の対象外となります。高額療養費制度は、1か月の医療費が一定額を超えた場合に超過分が払い戻される制度ですが、先進医療の技術料はこの計算に含まれません。
高額な治療を受けた場合でも、先進医療の技術料分は全額自己負担のままとなるため、事前に対応を検討しておくことが重要です。
先進医療の費用の目安
先進医療の技術料は数千円から数百万円までさまざまで、中でも特に高額なのは主にがんの治療に用いられる陽子線治療や重粒子線治療です。技術料は医療機関で異なりますが、陽子線治療は270万円前後、重粒子線治療は300万円前後と高額です。
厚生労働省「令和7年6月30日時点における先進医療に係る費用」をもとに、1件あたりの技術料の目安を以下にご紹介します。
| 技術名 | 技術料(1件の平均額) | 年間実施件数 | 実施医療機関数 |
|---|---|---|---|
| 陽子線治療 | 2,780,895円 | 739件 | 20機関 |
| 重粒子線治療 | 3,189,452円 | 303件 | 7機関 |
| 内視鏡的胃局所切除術 | 222,970円 | 53件 | 12機関 |
| 子宮内膜受容能検査1 | 135,371円 | 5,406件 | 238機関 |
| タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 | 41,608円 | 98,871件 | 307機関 |
先進医療の治療費をシミュレーション
では、先進医療を受けた場合にかかる治療費を、具体例でシミュレーションしてみましょう。
Aさん(男性・60歳)は、前立腺がんにかかり、重粒子線治療を受けました。30日間の入院で健保適用の治療費は約69万円でしたが、公的医療保険の高額療養費制度が適用され、自己負担は約8万円でした。Aさんが負担した治療費は、約8万円と、全額自己負担の重粒子線治療の技術料295万円を合計した303万円でした。
このように、先進医療では高額な費用負担が発生するケースもあるため、必要に応じて保険などによる備えを検討しておくことも重要です。
- ※治療費は医療機関とSBI損保の調査をもとに算出。
先進医療の受け方
先進医療は、さまざまな病気に適用されますが、どのような病気にも認められているわけではありません。病気の種類や症状(状態)、がんの場合は発症した臓器、発症場所、進行度などによって受けられるかどうか判断されます。また、実施できるのも、最新の医療機器や人材が整った大学病院・医療センターなど、限られた医療機関のみです。
ここでは、先進医療の治療を受けるときの流れや費用の払い方を解説します。
受診から実施までの流れ
主治医と治療方針を相談する中で先進医療を検討する場合は、まずは紹介状を書いてもらいましょう。紹介状なしに大病院(一般病床200床以上)を受診すると、特別の金額がかかってしまうため、主治医に紹介状を書いてもらうことが必要です。
もし、主治医が先進医療についてよく知らない、あるいは消極的という場合は、加入している保険の付帯サービスの1つ、セカンドオピニオンサービスを利用することができます。そのうえで、先進医療を受けるのが妥当と判断されたら、先進医療を行っている医療機関宛の紹介状を書いてもらうことが必要です。紹介状を持って実施医療機関を受診し、担当医が適応と判断した場合は、先進医療を受診する手順になります。
費用の払い方
技術料の支払いタイミングは医療機関で異なりますが、陽子線治療や重粒子線治療などの高額なものは治療開始前に一括払を求められる場合もあります。治療の前でも後でも、技術料の領収書は保管しておきましょう。なお、先進医療の中には、通院のみで実施されるものもあります。
がん治療の先進医療には保険で備えられる
前項の表のとおり、陽子線治療・重粒子線治療の年間実施件数はそれぞれ数百件程度となっており、実際に受けることになるかどうかは分かりません。しかし、受けることになった場合の技術料は高額となるため、経済的な負担は大きくなります。
「先進医療の治療を受けたいのに費用が用意できない」という事態を避けるためにも、がん保険で事前に備えておくことが大切です。
先進医療の補償は、特約として付加できる保険が一般的ですが、主契約の補償に組み込まれている商品もあります。がん保険や医療保険の加入を検討する際は、補償期間のタイプ(終身型・定期型)や、医療機関に直接支払うか、契約者が立替しなければならないかを各保険会社で比較しておくとよいでしょう。
たとえば、終身型は保険料が変わらず一生涯の保障が続きます。一方、定期型は当初の保険料を抑えやすいものの、更新のたびに保険料が上がることが一般的です。
また、先進医療の技術料は数百万円にのぼる場合もあるため、保険会社から医療機関へ直接支払われる商品もあります。こうした商品であれば、高額な技術料を立て替える必要がなく安心です。
なお、SBI損保のがん保険は、一定の条件を満たした場合、先進医療にかかった治療費を無制限で補償します。また、一定の条件を満たした場合は、先進医療でかかった費用を医療機関に直接支払うことも可能です。そのため、高額な先進医療を受ける場合の経済的負担に備えることができます。
がん治療の先進医療に保険で備えるときの注意点
先進医療に保険で備える際は、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。せっかく備えても、条件を把握していないと給付金を受け取れないケースもあるため、加入前にしっかり理解しておきましょう。
先進医療特約は重複して付けられない
先進医療の補償は1社1商品です。そのため、たとえば、同じ保険会社で医療保険とがん保険に入る場合は、先進医療特約はどちらか一方にしか付けられません。
先進医療の補償を検討する際は、現在加入している保険の補償内容を確認し、すでに先進医療に関する補償が付いていないか確認しておきましょう。
がん保険の免責期間は給付の対象外となる
先進医療に保険で備えるときは、保険始期から補償が開始するまでの免責期間を確認しましょう。がん保険では、契約が成立しても90日または3か月程度の免責期間が設けられていることが一般的です。免責期間が終了した翌日から補償が開始するため、免責期間中にがんと診断された場合は、免責期間終了後に先進医療を受けても給付の対象外となります。そのため、契約時には免責期間を確認しておくことが大切です。
免責期間については、下記のページをご覧ください。
がん保険の免責期間は?加入条件や加入前に知っておくべきポイント
先進医療の対象から外れると給付されない
先進医療の内容は定期的に見直されており、補償を受けたいタイミングでは、契約時に対象だった技術が先進医療から外れる場合があります。治療開始時点で先進医療として認められている技術が給付の対象となるため、あらかじめ理解しておきましょう。
先進医療の費用負担を理解し、無理なく備えよう
先進医療の技術料は全額自己負担となるため、陽子線治療・重粒子線治療などでは200〜300万円程度の費用がかかります。実際に先進医療を受けたくても、費用が用意できなくて受けられないという事態を防ぐためには、先進医療に備えられる保険で事前に備えておくことが重要です。
加入の際は、免責期間中にがんと診断された場合は、その後に先進医療を受けても給付対象外となることなども理解しておきましょう。
SBI損保のがん保険は、一定の条件を満たした場合、先進医療にかかった治療費を無制限で補償するため(通院治療は保険期間5年ごとに1,000万円が上限)、高額な技術料にも対応できます。また、実額補償タイプで、がん治療で実際にかかった費用が全額支払われるため、入院治療費の自己負担額を実質0円にすることができます(一部例外となる場合があります)。先進医療も含め、がんへの備えを検討したい方は、この機会に無料でできるがん保険のお見積りをしてみてはいかがでしょうか。将来の備えについて考えるきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
執筆年月:2016年8月28日
(最終更新日:2026年7月14日)
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※[出典]国立がんセンター がん対策情報センター