見直しの際に留意するポイントは3つ

しっかりと整理してから見直しを
2014年4月の消費税増税を控え、各種媒体の方などから、保険の見直しについて尋ねられることが増えています。
家計を考えると、保険料の出費は長期に渡り発生する「固定費」ですから、たしかに注視すべき項目だと感じます。
見直しの際、留意したいのは次の3点です。
- 1.保障の対象に優先順位をつける
- 2.一生涯の保障に拘らない
- 3.貯蓄性を求めない
まず、優先順位を明確にすることです。判断基準は「発生頻度と経済的打撃の大きさ」です。
たとえば死亡と入院では、発生頻度は、当然、後者のほうが高くなります。しかし、小さな子どもがいる世帯主が急死する場合と短期間入院する場合では、経済的な打撃に大きな差があります。
したがって、自立していない子どもがいる家庭では、世帯主の死亡に備える保険が最優先で、入院に備える保険は後回しにします。介護に備える保険にしても、一般に70代後半から起こりやすくなる事態に備えることになると認識すると、現役世代における優先順位は下がるはずです。
先の発生頻度と経済的打撃の大きさに加えて、保険の必要性が考えられる事態が「いつ起こるか」もポイントになってくるということです。
次に、一生涯の保障に拘らないことも大切だと考えます。加入者から集めたお金を何かあった人や家庭に分配する保険のしくみは、老後の大病や入院など「リスクが高まること」への備えには不向きだからです。
日常的に負担しやすい額の保険料で手厚い保障を得るには、高齢になるまでの期間限定で、10年単位より5年、5年より1年といった短期の契約が適しているのです。
保険会社で働く人たちに、料金設定は5歳刻みで1年更新の「団体保険」の愛用者が多いのは、このような原則をよく理解しているからでしょう。さらに、更新時の「値上がり」があまり話題にならないのも、そもそも長期間の利用を前提にしていないからだと思われます。
3番目に、保険に貯蓄性を求めないことも重要です。現状、低い金利で長期の契約を結ぶことになる保険商品での貯蓄は望ましくありません。低金利下で長期契約が有利なのは、住宅ローンなどお金を借りる場合だからです。
「終身保険」や「養老保険」などのように、資産形成目的でも案内される保険についても、「保障のためのお金がかかる分、資産形成面での効率が落ちるだろう」とシンプルに考えましょう。
保険に加入する理由とは・・・
以上、まとめると、保障の対象を絞り込んだうえで期間限定での利用が望ましいということです。逆に、幅広い保障を長期間確保することによる安心感を求めると、お金がいくらあっても足りなくなるので要注意です。
特に営業現場では「不安の有無」によって保険加入が勧められがちですが、大きな間違いだと思います。保険は「保険の利用がふさわしいから入る」ことにすべきなのです。

なんで保険に入るの・・・?
保険の見直しは、頻繁に行う必要がなく、効果が得られやすい点にも特長があります。この機会にご一考なさることをおすすめします。

執筆:後田 亨(うしろだ とおる)
「保険相談室」代表、(社)バトン 代表理事
執筆・講演・セミナー講師と保険相談を主な業務内容として、売手の都合から離れた情報発信を継続中。