【法人向けがん保険コラム】第2回 早期発見とそのためのがん検診の重要性 - SBI損保のがん保険

【法人向けがん保険コラム】第2回 早期発見とそのためのがん検診の重要性

株式会社M&F パートナーズの高橋です。
第1回のコラムでは「日本はがん大国である!」というお話をさせていただきましたが、一方で、がんも早期発見することができれば克服できる病気にもなってきています。
では早期発見のためには何が必要でしょうか?必要なのは、がん検診の定期的な受診です。

皆さんは、「がん検診」をお受けになっていらっしゃいますか?
第2回目では、「早期発見とそのためのがん検診の重要性」についてお話をさせていただきます。

昭和の時代、がんは「不治の病」と言われていました。がん患者さんに対してがんの告知をしない時代だったのですが、それはなぜだったのでしょうか?
それは、がんが死を意味する病気だったからです。
でも今は違います。早期発見することができれば、がんも克服できる病気になっています。

日本で最も多くの方が罹患し、肺がんに次いで多くの方が亡くなっている、また女性が最も多く亡くなっている大腸がんを例にとり、早期発見の重要性について確認していきます。

皆さんは5年生存率という言葉をお聞きになったことがありますか?簡単に説明すると5年生存率とは、がんと診断された患者さんのうち、診断から5年経過後に生存が確認できた患者さんの割合をいいます。
なお、あくまでもこの数値はがん診断から5年経過後に生存していた患者さんの割合であり、がんを克服できた患者さんの割合ではないことには注意が必要です。

さて皆さんに質問があります。大腸がんが早期(大腸がんのステージが1の場合)で、発見された場合の5年生存率はどのくらいだと思われますか?想像してみてください。

①98.8% ②90.9% ③85.8%

実は大腸がんの場合、転移のない状態で見つかった場合の5年生存率は98.8%です。(※1)
転移のない状態で見つかった大腸がんで、人は亡くならなくなってきているとも言われています。

一方で同じ大腸がんが末期、これは大腸がんがほかの臓器に転移した状態のことを言うのですが、そうした状態で発見された場合の5年生存率はどこまで下がると思われますか?

①35.4% ②23.3% ③15.2%

残念ながら5年生存率は、23.3%まで下がってしまいます。(※1)
この2つの数字を見ていただくだけで、いかに早期発見が大切かをご理解いただけると思います。
もちろん、早期発見が大切なのは大腸がんだけではありません。ほかのがんもすべて同じです。がんがほかの臓器に転移していない状態で発見された場合の5年生存率と、がんがほかの臓器に転移した状態で発見された場合の5年生存率は大きく異なっています。
特に注目していただきたい点は、男性が最も多く罹患する前立腺がんと女性が最も多く罹患する乳がんの5年生存率の高さです。

この2つのがんに関しては転移がない状態で発見できた場合、国は5年生存率100%という数字を発表しています。(※1)

  • ※1
    全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)

早期発見の重要性については十分にご理解いただけたと思いますが、その早期発見に必要なものががん検診の定期的な受診です。

皆さんに質問があります。がん検診を行う目的は何でしょうか?もちろんそれは、がんを発見し治すことです。一般的にがんは完治という言い方はしません。寛解とか治癒という言い方をするのですが、がん検診はがんを見つけて治すために行います。
ところが日本には、「がんが見つかると嫌だから」「がんが見つかると怖いから」と言って、自らがん検診をお受けになっていない方もたくさんいらっしゃいます。おそらく皆さんの周りにもいらっしゃると思います。

内閣府が発表した、興味深い調査データがあります。
これはがん検診を「2年以上前に受診した」、または「今までがん検診を受診したことのない」方856人に対して、「なぜがん検診を受診しないのですか?」と質問をした際の回答です。(※2)

  • ※2
    内閣府 がん対策に関する世論調査(平成28年11月調査)

一番多かった回答は「受ける時間がない」でしたが、本当でしょうか?
残念ながらこれが、一般の方のがん検診に対する認識です。日本はこれまで、学校でがん教育を行ってきませんでしたが、ようやく2017年から順次、全国の小学校・中学校・高等学校でがん教育が開始されました。
このコラムをお読みの方も、学校でがん教育はお受けになっていらっしゃらなかったと思います。
早期発見ができれば克服できる病気になっているにもかかわらず、そのことすら多くの方はご存じないのだと思います。

是非皆さんからも、がん検診の重要性についての発信をしていただきたいと思います。
もし何年もがん検診を受診せず、いきなり転移した末期がんが見つかり余命宣告をされてしまった、このような状況に皆さんやご家族が直面してしまった場合、皆さんは納得してそうした状況を受け止めることができるかどうか、ぜひ、自分のこととして考えてみていただきたいと思います。

今回は早期発見の重要性と、そのためのがん検診の重要性についてお話をさせていただきました。
こうした状況の中、何をすれば会社と大切な従業員さまをがんから守ることができるのでしょうか?

第3回のコラムでは、今回のコラムのメインテーマとなります、なぜ「がん治療と仕事の両立支援」が必要なのかについてお話をさせていただきます。

執筆者 高橋 義人(たかはし よしと)

株式会社M&Fパートナーズ代表取締役

がん治療支援者/がんファイナンスアドバイザー

一般社団法人 日本遺伝子治療医学研究会 
医療コーディネーター

https://mfpartners.co.jp/

1988年に明治大学を卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、がんの治療相談・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師として「がんに備えるマネープラン」「最先端がん治療とがんファイナンス」「あなたの知らないがん治療最前線」「会社をがんから守る社長さんのためのがんファイナンス」「お客様をがんから守る10ヶ条」等の講演を日本社大手生命保険会社や外資大手生命保険会社、MDRT日本会、ライオンズクラブ、一般企業の人事部などからの依頼により、日本全国で年間150回以上行っている。

2024年6月 24-0140-13-004