保険に詳しい人は終身型ではなく定期型を選ぶことが多い

値上がりする保険のメリットは?(図)

値上がりする保険のメリットは?

「1年更新、保険料は5歳刻みで設定されているので、契約内容を変更しない場合、10年間で2回、値上がりします。」

このように案内される保険がある場合、一般の消費者にはあまり歓迎されないと思います。市場では「一生涯の保障があり、保険料はずっと変わりません」と説明される終身型の保険の人気が高いからです。

しかし、冒頭に書いたような定期型の保険を好む人たちもいます。他でもない保険に詳しい人たちです。また、従業員を対象に募集している「団体保険」などにも好んで加入する人が多いのです。

団体保険の保障内容は団体によって違いますが、18〜65歳くらいまで一定期間の死亡保障や入院保障がつく程度で、極めてシンプルです。特長は保険料が安いことです。個人向けに販売されている商品の半額程度というケースもあります。(中高年が多い業界などでは、それほど安くないこともあります)

「いくら安くても5歳刻みで保険料が上がるのは避けたいはず」と思われる向きもあるかもしれませんが、そもそも一生涯の利用を考えていないのです。これは重要なポイントです。

たとえば、死亡保障に関しては、子供が自立するまで、あるいは現役の間、安く保障が確保できれば良いわけです。実際、子供が0歳の時と18歳の時では、必要となる保険金額は後者の方が少なくて済むはずです。したがって、年齢とともに保険料が上がるとしても、保険金額を下げることで大幅な値上がりは避けられる、というわけです。

入院保障にしても考え方は変わりません。「健康保険にも加入しているのだから、入院治療費を賄える程度の貯蓄が出来た時点で入院保障は持たなくてもいい」という認識があるため、「更新型の保険では何度も値上がりする時期を迎えて困ったことになってしまう」という前提がないのです。

賢明な選択だと思います。保険の価値は言うまでもなく、保険料と保険金の差額にあります。仮に診断給付金100万円が支払われる「がん保険」が、保険料一括払いのみ99万円で販売されていたら加入する人などいないはずです。

「一生涯保障」の盲点

保険が機能する期間が長期になるほど、保険金支払いの確率が高まるため、保険料と保険金の差額は小さくなります。

また、保険金の価値も遠い将来になるほど不透明なものになります。加入から1年目に支払われる保険金の価値は現時点と大差がないかもしれませんが、たとえば30年後ともなると、物価の上昇等により大きく価値が下がっている可能性もあります。

将来の医療はどうなっている…?(図)

将来の医療はどうなっている…?

入院保障にしても、医療現場の状況が変化することで、入院日数が短期化し通院治療が増えると存在意義は薄れます。このように、長期契約においては、先々、保険が役に立つ度合いが不確かなものにならざるを得ない分、その価値は割り引いて評価する必要があるのです。

「値上がりする保険」を愛用する人たちから私が学んだのは、保険に保険ならではの機能を求めるのであればより短期間の契約が好ましいという考え方です。

執筆者

執筆:後田 亨(うしろだ とおる)

「保険相談室」代表、(社)バトン 代表理事
執筆・講演・セミナー講師と保険相談を主な業務内容として、売手の都合から離れた情報発信を継続中。

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