がん保険は保障内容も様々

がん治療は高額になることがあるため、保険でしっかり備えておきたいもの。商品も多様化しており、その保険を選ぶときに、「定期タイプか終身タイプか」など悩むポイントはいくつもあります。「掛け捨て型か、貯蓄型か」もそのひとつといえるでしょう。ここでは掛け捨て型と貯蓄型のメリット・デメリットから、がん保険の選び方について説明します。

目次

掛け捨て型のがん保険とは

掛け捨て型のがん保険とは、途中で解約する場合、解約返戻金がない(または、あってもごくわずか)タイプの保険です。「保障(補償)に重点をおく保険」ともいえるでしょう。解約返戻金とは、解約時に保険会社が契約者に払い戻すお金のことで、解約払戻金、解約返還金などと呼ばれることもあります。掛け捨て型は、がん保険以外では定期保険(死亡保険)や医療保険などで多く見られます。貯蓄性はほとんどないといえます。

掛け捨て型のメリット

掛け捨て型のがん保険には、次のようなメリットがあります。

1.貯蓄型より保険料が安い。

2.保障(補償)に特化しているため、小さな保険料で大きな保障(補償)を得ることができる。

3.保険そのものの見直しがしやすい。

1.の保険料の安さは、掛け捨て型の最大のメリットといえます。例えば、加入時にこどもの教育費や住宅ローンの負担が大きく、保険料を最小限にしたい場合もあるでしょう。
そんなとき、掛け捨て型は家計に優しくとても役に立ちます。

2.も見逃せません。貯蓄型より保険料が安いので、浮いた分を他の目的で使うことも可能です。資金効率がよいといえます。

3.も大きなメリットです。最近のがん保険は、従来の一時金重視タイプ以外にもいろいろな商品が出ています。例えば、先進医療だけでなく自由診療も治療費を実額補償してくれる商品や、がんのステージ別で診断給付金額が異なる商品など、バリエーションが急速に増えています。そのため、がん保険に加入したものの、数年経って「別の商品に入り直したい」という場合もあるでしょう。そのようなとき、貯蓄型であれば、貯蓄部分について元本割れの程度が高くなることに注意する必要がありますが、掛け捨て型であれば、新しい保険への切り替えがしやすいです。

掛け捨て型のデメリット

一方、掛け捨て型のがん保険には、次のようなデメリットがあります。
 

掛け捨て型は保障期間に気を付けましょう

1.途中で解約する場合、解約返戻金がない(または、あってもごくわずか)。

 
2.保険期間に注意する必要がある。
 

1.は、掛け捨て型の一番のデメリットといえます。これは、保険料が安いことの裏返しといえますが、途中で解約する場合、「何も戻ってこないのは寂しい」と感じる人もいるかもしれません。

2.について、掛け捨て型には、保険期間が「5年」、「10年」というように定期タイプの商品があります。このタイプは保険期間満了時に、更新するか、あるいは解約して他の保険に切り替えるか決める必要があります。

なお、更新する場合は保険料が上がりますが、この定期タイプは、更新前の保険料がそもそも終身タイプよりも低めに抑えられています。
 

貯蓄型のがん保険とは

貯蓄型のがん保険とは、途中で解約する場合、解約返戻金があるタイプの保険です。「保障(補償)と貯蓄を兼ねた保険」ともいえるでしょう。保険料のうち積み立てに充てられる部分が多いので、契約時に確定した解約返戻金を受け取ることができます。貯蓄型は、がん保険以外では終身保険や養老保険などが代表格です。こども保険(学資保険)も貯蓄型の保険のひとつです。返戻率(払込保険料総額に対する解約返戻金の比率)が高い商品は、貯蓄性が高いといえます。

貯蓄型のメリット

貯蓄型のがん保険には、次のようなメリットがあります。

1.途中で解約する場合、解約返戻金がある。

2.1つの契約で保障(補償)と貯蓄を兼ねることができる。

3.非常時には、契約者貸付や自動振替貸付を受けることができる場合がある。

1.は、貯蓄型の最大のメリットといえます。例えば、何らかの事情でがん保険を解約せざるを得ない場合、一般的には経過年数に応じた解約返戻金が戻ってきます。解約返戻金の使途には何ら制限はないため、医療費だけでなく、こどもの教育費に使ったり、住宅ローンの繰り上げ返済の原資に充てたりする人もいるでしょう。いずれにしても、家計にとっては大きな支えになります。なお、がん保険では、保険料一時払タイプが最も貯蓄性が高いですが、現在はほとんどの会社が取り扱っていません。

2.も重要です。保険を保障(補償)のみならず貯蓄・運用ととらえる人もいるでしょう。がんへの保障(補償)と資産運用を1つの契約で行うことができる点はメリットといえます。

3.は見逃しやすいメリットです。契約者貸付とは、「解約返戻金の範囲内で、保険会社から貸し付けを受けることができる制度」です。契約者貸付を受けても、一般的には保障(補償)は継続します。自動振替貸付とは、「解約返戻金がある契約で、何らかの事情で保険料を払い込むことができない場合に、解約返戻金の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替える制度」です。自動振替貸付を受けても、契約は存続します。月払の契約であれば、「口座の残高が少なくなっているのをうっかりした」ということもあるかもしれません。そんなときに自動振替貸付は助かりますね。ただし、契約者貸付も自動振替貸付も、その時点での解約返戻金の額によっては利用できないことがあります。

貯蓄型のデメリット

一方、貯蓄型のがん保険には、次のようなデメリットがあります。
 

貯蓄型は解約返戻金がもらえる保険です

1.掛け捨て型より保険料が高い。

2.途中で解約すると損になることが多いため、保険そのものの見直しがしにくい。

3.加入時に、その保険会社の経営状態に注意する必要がある。

1.は、貯蓄型の一番のデメリットといえます。これは、解約返戻金があることの裏返しといえますが、掛け捨て型よりは毎月の保険料負担はやはり重くなってしまいます。低解約返戻金特則を付加して保険料を引き下げる選択肢も考えられますが、この場合は通常、保険料払込期間中の解約返戻金が減少(もしくは、なくなる)します。

2.にも注意する必要があります。貯蓄型の保険は通常、解約返戻金は年を追うごとに少しずつ増えていきます。そのため、契約から短期間のうちに解約する場合、解約返戻金が払込保険料を大きく下回る可能性が高くなるため、保険そのものの見直しがしにくいというデメリットがあります。 加えて、貯蓄型といってもがん保険はその商品性から、終身保険や養老保険のような高い返戻率は一般的に期待できないことも覚えておきましょう。

3.は、貯蓄型特有のデメリットです。貯蓄型のがん保険に加入し、万一保険会社の経営が破綻した場合は、解約返戻金が全額は戻ってこない可能性があります。そのため、保険会社の経営状態を確認しておく必要があります。保険会社破綻時の処理スキームなど詳細についてはここでは割愛しますが、1997年以降、日本では生命保険会社が8社、損害保険会社が2社破綻し、貯蓄型に加入していた人に損失が発生したケースが多くあったことは覚えておきましょう。

なお、がん保険のなかには、一定年齢までに給付金の支払いが発生しなければ一定額(健康還付給付金などと呼ばれることが多いです)が戻ってくるタイプの商品がありますが、これは必ずしも貯蓄型とはいえないので注意しましょう。このタイプは、健康還付給付金部分については解約返戻金がありますが、基本保障部分には解約返戻金がないのが一般的です。そして、健康還付給付金の分はもともと保険料に上乗せされています。

どちらを選ぶべきか

保険はしっかり検討しましょう

ここまで見てきたように、「掛け捨て型のメリットは貯蓄型のデメリット。貯蓄型のメリットは掛け捨て型のデメリット」となっていることが多く、両者は表裏一体の関係にあるといえます。ファイナンシャル・プランナーや保険代理店など専門家の間でも、掛け捨て型派と貯蓄型派がおり、どちらがよいかは一概にはいえないところです。

しかし、現在の日本の経済状況や金利水準、がん保険商品の動向を総合的に勘案すると、今は、「掛け捨て型のほうが有利」といえるのではないでしょうか。前述のとおり、貯蓄型といっても、がん保険自体のそもそもの商品性や現在の金利情勢を勘案すると、高い返戻率は期待しにくいのが実情です。「保険料の払い方にかかわらず、解約返戻金はなし」という商品も増えています。

また一般的に、保障(補償)と貯蓄(運用)を切り離すことは、手数料などのコストを考えても理にかなっているといえます。なぜなら昨今、保険以外の資産運用手段としてNISA(少額投資非課税制度)やDC(確定拠出年金)など、大きな税制優遇措置がある制度が普及しているからです。「がん保険はかけ捨て型にして保障(補償)だけを確保し、資産運用は他の手段で」という考え方が広まっているように思えます。 ただし、この考え方は、社会情勢や経済状況、金利水準により今後変わる可能性も十分あります。 そしてもう一点、「その人の状況に合わせて判断する」ことを忘れないようにしましょう。例えば、「年齢が若く、こどももまだ小さい。家計には余裕がないが、がん保険には入っておきたい」と考える人は、迷わず掛け捨て型に加入すべきでしょう。

逆に、「家計に余裕はあるが、資産運用には詳しくないので、保障(補償)と貯蓄(運用)の観点からがん保険に加入したい」と考える人には、貯蓄型が向いています。

つまり、その商品の保障(補償)内容と保険料のバランスを確認し、長期的なライフプランニングの観点から、自分にはどちらが合っているのかを検討することが重要です。

迷うようであればそれぞれのメリット・デメリットを書き出し、項目ごとに点数付けして比較してみることをお勧めします。がん保険への加入はリスクマネジメントの観点からもとても重要ですので、しっかり検討したいものですね。

執筆者

執筆:一色 徹太(いっしき てつた)

日本生命でのファンドマネージャーや法人営業の経験をいかし、22年間の勤務後、独立系FPに転身。現在、一色FPオフィス代表として、個人相談や執筆、講演に従事。生命保険をはじめ、DC(確定拠出年金)、債券、ETF、デリバティブ、企業年金に特に精通。

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