乳がんの自己触診

乳がんは女性の11人に1人がかかります(※)。超音波検診で何度も同じところを見られて、不安になった経験がある人もいるのでは?しかも、初期はしこりや赤み、痛みなどの自覚症状がないことも。早期発見・治療のために、リスクを上げる要素や自己触診をご紹介します。

※ [出典]国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

目次

乳がんは女性の11人に1人がかかる

2012年の統計データによると、女性の部位別がん罹患数第1位は乳がんで、約7万4千例となっています。これだけを見れば、乳がんは恐ろしい病気と映るかもしれません。

がんと診断されてからの5年生存率上位5疾患 女性版

部位 5年生存率

甲状腺

94.9%

皮膚

92.5%

乳房

91.1%

子宮体部

81.1%

喉頭

78.2%

[出典]全国がん罹患モニタリング集計 2006-2008年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター,2016)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書を基に作成

しかし乳がんの診断後、5年生存率は91.1%で第3位。罹患者数に5年生存率を掛け合わせた5年後の推定生存者数で見ると、群を抜いて第1位です。つまり、乳がんは日常生活に戻れる人が多い病気といえます。

年齢階級別がん罹患率(2012年・女性・人口10万人対)

年齢階級別乳がん罹患率

[出典]国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

さらに最新の統計データから乳がんの罹患年齢を見てみると、20代後半から徐々に増え始め、30代後半、40代前半と急速に増えていき、最も多いのは45〜49歳です。50代では少し減り、60代前半で再度ピークを迎えます。働き盛りの子育て世代が中心といえそうですが、閉経やそれにともなうホルモンバランスの変調等と、密接な関係があるのかもしれません。

乳がんの特徴

乳がんは乳腺(乳管や小葉)にできるがんです。できやすい部位があったり、進行がゆっくりだったりと、他のがんとは異なる傾向があります。詳しく見ていきましょう。

できやすい部位

乳がんのできやすい部位

女性の乳腺は、半数近くが外側上部にあつまっていると言われています。そのため、乳がんもその部位(図の@部分)にできやすい傾向があります。各部位の発生割合(※)は、@が53%、Aは19%、Bは14%、Cは6%、Dは4%と言われており、2か所以上に発生することもあるのです。
意外に思われるかもしれませんが、男性も乳がんに罹患します。男性の場合は乳輪周辺に乳腺が集中していると言われているため、乳輪や乳頭付近にできることが多いのです。

※ [出典]公益財団法人日本対がん協会「乳がんの基礎知識」

「非浸潤がん」が進行して「浸潤がん」になると転移の危険性が

乳管や小葉の中にとどまってくれるがんを「非浸潤がん」といい、乳管や小葉を包む基底膜を突き破り外へ出てくるがんを「浸潤がん」といいます。比率は「浸潤がん」の方が圧倒的に多く、全体の8割近くを占めます。
「非浸潤がん」はその場にとどまるため、手術で摘出すれば当面は安心です。一方「浸潤がん」は活発で、血管などを通して転移する可能性があります。そのため、全身に広がらないよう化学療法等で微細ながん細胞まで徹底的に叩くという対処をします。

進行は比較的ゆっくり

乳がんは、何もないところに突如出現するわけではありません。乳腺にできる嚢胞(のうほう:液体が入った袋状の膜)や腫瘤(しゅりゅう:コブ、組織の塊)が変異し、がん化していくことが多いようです。一般的に、乳腺嚢胞はできてもいずれ消失していきます。気づかぬうちに、できては消える、を繰り返しているのです。腫瘤やしこりが複数できる多発性嚢胞であっても、がんの心配は低いと考える専門医も多くいます。 一般に乳がんは発生から顕在化まで10年近い時間を要すると言われています。このように、乳がんはゆっくり進むがんなのです。

乳がんの症状

前述のように、「進行が遅い」=「症状が顕在化してくるまで時間がかかる」ということです。初期には肩こりなど、日常で起こりがちな症状として現れることもあります。それでは具体的に、どんな症状が現れるのか見てみましょう。

しこり

しこりは自分で見つけることもできます。ただし、見つかったしこりの全てががん、というわけではありません。また悪性のしこりには、硬い・動かない・いびつな形という特徴があります。

痛み

脇がチクチクと痛んだり、かゆみを感じたりすることもあるようです。しかし、がんによる痛みを感じるのは、ある程度進行してからです。むしろ、がんではない乳腺症において、痛みを感じることも多いようです。

赤み

赤みの原因は腫れです。特に、腋の下あたりにあるリンパ節に赤みや腫れが見られるようなら、検査を受けてみましょう。

えくぼ

乳房の表層部近くにがんができた場合、皮膚がひきつれて見えたり、えくぼのような窪みが現れたりします。ただし、これも全てが悪性というわけではありません。

転移症状(末期)

乳がんは他の臓器(骨や肺、脳など)に転移することがあります。こういった転移するがんは、リンパ節を介していく場合が多いでしょう。乳房にしこりを見つけた後、首筋のリンパ節あたりに腫れや痛みを感じるようなら、乳がんの転移の可能性もあるため早めに検査を受けましょう。

乳がんの原因とは? −リスクを高める要素−

乳がんの原因には諸説あります。月経・妊娠・出産・授乳といった特有の生殖行動と女性ホルモンであるエストロゲンは密接に関係しており、乳がんの発症リスクとも関係してきます。
また、女性の社会進出にともなう晩婚化や高齢出産なども、何らかのリスクになっていると考えられています。

食生活の欧米化

欧米の食事ハンバーガー

食生活が欧米化し動物性脂肪などを多く含んだ食品の摂取量が増えた結果、カロリーやコレステロールが高くなったことで、初潮が早くなったり閉経が遅くなったりしていることが関係しているという説があります。
初潮が早まり閉経が遅くなれば、必然的に一生のうちで月経が起きている期間が長くなるということになります。ということは、乳がんの発症に起因する可能性が高い女性ホルモンの分泌量が増えるということに比例します。そのあたりも、原因のひとつといえるのかもしれません。

妊娠期間の減少

出生率・出生数が減少しているということは、1人の女性が一生の間に妊娠している期間が短くなっていることを意味します。出産の経験や回数と乳がんの関係は、医学的また統計学的に実証されています。ただし、子どもを多く産んだ人は乳がんにならない、というわけではありません。

閉経後の肥満

これについても、医学的統計学的に実証されています。その根拠は、乳がんの発症と深く関わるエストロゲンという物質の産生量に由来しているようです。
つまり、閉経後も油断せずカロリーや体重をしっかり管理している人は、乳がんになりにくいと考えられます。

遺伝

乳がんの発症に、遺伝が関係しているという説も有力です。もちろん、がん細胞が遺伝していくわけではありません。例えば、乳がんを招きやすい女性ホルモンが多いという体質が遺伝することで、乳がん発症のリスクが遺伝していくという考え方です。
家族に乳がんを発症した人がいる場合、特に注意して日常的な健康管理に努めるべきでしょう。

飲酒と喫煙

アルコール飲料に含まれる成分に発がん性があるとされています。また、喫煙はさまざまながんのリスク因子とされています。飲酒と喫煙は乳がんの発症リスクが増加することはほぼ確実との研究結果が出ています。

早期発見・治療をするために検診+セルフチェックを

前述の通り、乳がんは比較的進行の遅いがんです。とはいえ、漫然と放置していたのでは手遅れになってしまいます。早期に発見し治療を始められれば、それだけその後の見込みがよくなるわけですし、大切な乳房を温存していくことも可能になってくるはずです。

検診は2種類ある

乳がん検診は、超音波検査(エコー)と放射線を使った画像診断のマンモグラフィを併用すれば安心が高まります。
単にしこりを見つけるだけならエコーで充分ですが、石灰化しつつあるがん細胞を正確に見つけようと思えば、乳房をしっかり挟んで映し出すマンモグラフィが必要です。ただし30歳未満の若年者のマンモグラフィは十分な根拠がないため注意して受診してください。
残念なことに、日本人女性の乳がん検診受診率は低迷を続けており、諸外国に大きく遅れをとっています。

セルフチェックの習慣で、小さな変化にも気づける

乳がんのセルフチェック

鏡に向かって両手を上げると、左右の違いやひきつれなどを自分で発見することができます。
大切なのは習慣化することです。生理の予兆を、乳房の張りや痛みで感じるという話をよく耳にします。これは乳腺への血流が増えるなどして、乳腺組織が活発になるためと思われます。同様に、乳腺にある嚢胞も乳腺に血流が増えることで大きくなりやすいのです。そのため、閉経前の場合は月経周期に合わせてセルフチェックする日を決め、閉経後の場合は毎月任意の日を決めセルフチェックするようスマートフォンのカレンダーにスケジューリングしていきましょう。

終わりに

乳がんは発症率が高い一方、5年生存率も高く、予後のよいがんといえます。とはいえ、実際に乳がんの宣告を受けた人は、やはり不安になってしまうでしょう。いくら進行の遅いがんとは言え、末期になれば転移してしまう可能性もあります。そのため、日々のセルフチェックや生活習慣の見直しを行い、予防と早期発見をすることが大切です。

執筆:神河 啓(かみかわ けい)

大手流通業界勤務を経て、200床規模の民間病院事務長。医療現場での実務経験を活かし、医療福祉ライターに。主に医療関連企業のWEBサイトやメルマガを起稿。 現在は首都圏で訪問介護事業を営む会社の役員と二足の草鞋。昭和三十年代生・産地九州地方・雪中テント泊をこよなく愛する山男。

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