先進医療とは

先進医療とは実際にどのようなものなのでしょうか?

「先進医療は最新の治療法」、「高額な治療費がかかる」といったぼんやりとしたイメージはあるかもしれませんが、実際にどのようなものかよく知らない方も多いのではないでしょうか? 最近、よく耳にする言葉だからこそ、理解しておきたいものですよね。

先進医療は最新の医療技術!

「先進医療」は、厚生労働大臣が定める高度な医療技術で、安全性や効果が確認されると、健康保険(以下、健保)の適用が検討される治療法です。特定の大学病院や医療センターなどの大規模な医療機関で研究・開発されています。先進医療を実施している医療機関は厚生労働省のホームページで公開されています。

厚生労働大臣が定める高度な医療技術

厚生労働大臣が定める高度な医療技術

私たち人間には、発病のメカニズムがわからない、ゆえに治療法も確立されていない難病がたくさんあります。また、治療法はある程度確立されていても、より身体への負担が軽い治療法の開発が待たれている病気もあります。こういった難病などの新しい診断・治療・手術といった最新の医療技術が研究・開発されることで、これまで診断や治療が難しかった病気の診断・治療ができるようになる、治療で受ける体への負担が軽くなり病気が治せるなどのメリットがたくさんあります。

先進医療はどこでも、誰でも受けられるわけではない

先進医療は、最新の医療機器や人材が揃っている医療機関でなければ研究・開発できません。ですから、必然的に実施しているのは、大学病院や医療センター、研究センターと名の付く大きな医療機関ということになります。これらの医療機関が近所にあるとは限りませんね。また、費用がかかります(費用負担のしくみは次で説明)。つまり、どこでも、誰でも受けられるわけではないということです。

ただ、先進医療が研究・開発されることで、みなさんやみなさんの家族が難病にかかったときの治療内容の選択肢が増えるという意味で注目しておきたいことと言えます。

なお、同じ技術であっても厚生労働省に申請して認めてもらっていないものは先進医療にはなりません。

先進医療の技術料は全額自己負担に!

健保制度では、健保適用の診療と適用外の診療(これを自由診療と言う)を併用して実施することを原則、禁止しています。もし、治療の途中で適用外の診療を受けると自由診療となり、初診にさかのぼって医療費の全額が自己負担となります。すると、医療費が高額になってしまいます。そこで、例外的に併用が認められている診療があります。先進医療も、その1つです。

例外として認められると、先進医療の技術料は全額自己負担になるけれど、それ以外の診察料や画像診断料、投薬料、入院料などは健保が適用されて、医療費の一部を負担すればいいことになります。つまり、先進医療を受けると、健保適用の医療費の一部負担分と、技術料全額を合計した金額を負担するしくみということです。

先進医療の技術料は数万円から数百万円までさまざまです。中でも、特に高額なのは主にがんの治療に用いられる粒子線治療です。粒子線治療には、陽子線治療と重粒子線治療があります。技術料は医療機関で異なりますが、陽子線治療は260万円前後、重粒子線治療は300万円前後と高額です。

なお、2016年4月から、手術が難しい骨軟部腫瘍(骨のがん)の重粒子線治療と、小児がんの陽子線治療については有効性が確認され、健保適用の治療になりましたので、これらについては健保の一部負担のみですみます。

先進医療を受けた場合の治療費

先進医療の治療費をシミュレーションしてみると…

では、先進医療を受けた場合にかかる治療費を、具体例でシミュレーションしてみましょう。

Aさん(男性・60歳)は、前立腺がんにかかり、重粒子線治療を受けました。30日間の入院で健保適用の治療費は約69万円でしたが、健保の高額療養費制度が適用され、自己負担は約8万円でした。Aさんが負担した治療費は、約8万円と、全額自己負担の重粒子線治療の技術料295万円を合計した303万円でした。

先進医療を受けた場合の治療費

※治療費は医療機関とSBI損保の調査をもとに算出。

先進医療で受けられる治療の種類は入れ替わる

現在、先進医療の種類は100です(平成28年7月1日現在)。新しい治療法や技術が研究・開発されると追加、健保適用になったり効果が確認できないと削除されたりで変動します。各技術の概要は厚生労働省のホームページで公開されています。

先進医療が適用される病気は、がんをはじめとして、白内障、子宮腺筋症、頭蓋・顔面または頸部の変形性疾患、閉そく性動脈硬化症またはバージャー病、家族性アルツハイマー病などさまざまです。下表は、先進医療Aの年間実施件数の上位5つです。最も実施件数が多いのは白内障治療ですが、がん治療で注目されている陽子線治療は3位、重粒子線治療は4位にランクインしています。

先進医療Aの年間実施件数上位5件

技術名 年間実施件数(件)

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術

9,877

前眼部三次元画像解析

7,788

陽子線治療

3,012

重粒子線治療

1,889

実物大臓器立体モデルによる手術支援

607

[出典]第38回先進医療技術審査部会 平成27年度実績報告(平成26年7月1日〜平成27年6月30日)

先進医療はどうやって受ける?

先進医療は、さまざまな病気に適用されますが、どんな病気でも受けられるわけではありません。病気の種類や症状(状態)、がんの場合は発症した臓器、発症場所、進行度などによって受けられるかどうか判断されます。

また、冒頭で触れたように、実施しているのは大きな医療機関で、紹介状なしに大病院(一般病床500床以上)を受診すると定額負担(初診料5,000円、再診料2,500円)が発生するので、まずは主治医に相談して紹介状を書いてもらいましょう。

もし、主治医が先進医療についてよく知らない、あるいは消極的という場合は、加入している保険の付帯サービスの1つ、セカンドオピニオンサービスを利用する手もあります。その上で、先進医療を受けるのが妥当と判断されたら、紹介状を書いてもらいましょう。紹介状を持って実施医療機関を受診し、担当医が適応と判断したら受けるという手順になります。

まずは主治医に相談して紹介状を

実施しているのは大きな医療機関。 まずは主治医に相談して紹介状を

技術料の支払いタイミングは医療機関で異なりますが、陽子線治療や重粒子線治療などの高額なものは治療開始前に一括払いすることが多いようです。治療の前でも後でも、技術料の領収書は保管しておきましょう。

なお、先進医療の中には、通院のみで実施されるものもあります。

がん治療で先進医療を受けるかも…には保険で備える

がんの治療は日進月歩で進歩していて、新しい治療法が日々、研究・開発されています。中には、先進医療に認定して安全性や効果を確認してから健保適用にするかどうかを判断する治療法もあるでしょうから、がん治療に先進医療が用いられることが多くなると予想されます。

先進医療の技術料は全額自己負担となることは先ほど説明しました。数万円であればさほど負担には感じないかもしれませんが、300万円近くとなると、せっかく先進医療が受けられる状態であっても、お金の用意ができなくてあきらめることになるかもしれません。

お金の用意ができなくて、あきらめないために

お金の用意ができなくて、あきらめないために

後で何かあったとき「あのとき受けておけば…」と、ご自分もご家族も後悔したくないですよね。少なくとも、お金が用意できないことがあきらめた理由にはしたくないもの。そのためには、先進医療を保障する保険を選択することをおすすめします。現在、多くの保険会社で先進医療を保障する保険を販売しています。

陽子線治療・重粒子線治療を受ける可能性は低いけれど…

先進医療の中でも、陽子線治療と重粒子線治療は技術料が高額な治療の双璧と言えます。では、がんにかかって、これらの治療を受ける可能性はどの程度あるのでしょうか?

がん治療を受けている推定患者数は、入院129.4万人、通院171.4万人を合計した300.8万人(厚生労働省:平成26年患者調査)です。平成27年度の陽子線治療と重粒子線治療の実施件数は、合計で4,901件。可能性は極わずかなことがわかります。しかし、受けることになったときの費用負担は大です。このような、極わずかな可能性――つまり、リスクは低いけれど、そのリスクが現実のものになったときの経済的ダメージは大きいものの保障を少ない保険料で得ることは保険の得意とするところです。

陽子線治療と重粒子線治療はそう何回も受けられるものではありませんが、先進医療の保障のある保険に入っておけば、その保険の上限額まで、何度でも給付金が支払われます。もちろん、がん以外で先進医療を受けても、上限額まで支払われます。

特約でつける?主契約に組み込まれた保険を選ぶ?

先進医療の保障は、特約でつけるかつけないかを選べる保険と、主契約の保障に組み込まれた保険があります。どちらかというと、特約扱いの保険会社が多いようです。

先進医療の保障は各社ごとに微妙に異なるので、保障期間のタイプと技術料以外の一時金があるかどうか、給付金の支払いタイミングを比較して選びましょう。

保障期間のタイプは終身型と更新型(10年が一般的)があり、保険料は前者がずっと変わらないのに対して、後者は更新時に変わる可能性があります。一時金は先進医療を受ける医療機関に通う交通費や宿泊代の一部に充てられるもので、これはないよりあった方がいい程度と考えます。

支払いタイミングは、治療開始時に保険会社から医療機関に直接払いしてくれる商品(保険会社指定の病院に限るケースが多い)と、治療後にその他の給付金と一緒にまとめて請求・受け取る商品があります。直接払いであれば、高額な技術料を立て替える必要がなく助かりますね。先進医療の中でも、陽子線治療と重粒子線治療の技術料は300万円前後と高額なことから、医療機関へ直接払いする保険会社が増えています。

なお、上限額は、現在は2,000万円が主流ですが、SBI損保のがん保険は無制限です。

別々の保険会社で医療保険とがん保険に入る場合はどうする?

先進医療の保障は1社1商品です。ですから、例えば、同じ保険会社で医療保険とがん保険に入る場合は、先進医療特約はどちらかにしかつけられません。ですが、別の会社の商品であれば、それぞれに特約をつけることができます。この場合、先進医療を受けると、それぞれの保険から給付金が支払われます。つまり、2商品に加入していれば2倍、3商品に加入していれば3倍もらえるということ。

ただ、複数商品に加入すれば、それだけ特約保険料を払う必要があるわけですし、かかった技術料以上のお金をもらう目的で入るものでもありません。どれか1つに保障がついていれば十分です。

では、医療保険とがん保険に別々の会社で入るとしたら、どちらにつければいいのでしょうか?医療保険につける方が賢明です。がん治療の先進医療も含めて保障されるからです。がん保険につけると、がん治療のための先進医療しか保障されないのです。

先進医療がメインで入院や手術給付金が少ない保険はある?

先進医療の保障は特約扱いの会社が多いので、先進医療だけをメイン(主契約)にした保険はありませんが、入院・手術・通院・先進医療・自由診療までを保障するがん保険はあります。

なお、陽子線治療と重粒子線治療を複数回受けても、保険ごとに設けられている上限額まで給付金が支払われます。例えば、重粒子線治療なら、古いタイプの1,000万円限度の保険は3回、2,000万円限度の保険は6回まで支払われます。

がん保険に入っておくことは、ご自分のため、ご家族のために必要なこと

がん保険に入っておくことは、ご自分のため、ご家族のために必要なこと

今や、日本人の2人に1人は、一生の間にがんにかかる時代です。がんにかかると治療が長くなることがあり、健保があっても治療費はかさみます。ですから、先進医療も含めて納得のいく治療を受けるための費用に備えてがん保険に入っておくことは、ご自分のため、ご家族のために必要なことと言えます。まだ入っていない方はすぐに加入を。すでに入っている人は、今のがん治療にあったがん保険かを点検しましょう。

執筆:ファイナンシャル・プランナー 小川千尋

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー。 1994年、AFP資格取得。独立系ファイナンシャル・プランナーとして、主にマネー誌、一般誌のマネー記事の編集・執筆・監修などで活動。オールアバウトのガイドも務めている。親の生命保険に関する部分や、子どものニート問題に詳しい。

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